新たな有権者諸君に呼びかける
- 2016年 7月 1日
- 時代をみる
- 澤藤統一郎
私のブログの記事は、転載・引用大歓迎である。
昔、労働事件に携わっていた頃、日刊で「分会ニュース」を発行している組合がいくつかあった。ビラにして、これを毎日門前で出勤の労働者に手渡すのだ。あるいは、始業前に各従業員の机に配布する。その熱意と努力には敬服せざるを得ない。そんなニュースの発行者は、常に記事のネタ探しに苦労していた。私の拙いこのブログの記事が、形を変えて今もあるそのような「ミニ・ニュース」の埋め草に使ってもらえたら、本望というもの。事々しく出典を明示する必要はない。一部だけの引用でも使いやすいように変えていただいても結構。使いまわしていただけたら、なおさらありがたい。
そんな思い入れで、今回参院選に新たに有権者として権利を行使する若者への呼びかけの一文をものしてみたが、身近な人に読んでもらって評判がよくない。「上から目線の説教調が鼻につく」というのだ。で、第2バージョン、第3バージョンなどをつくってみた。使えるものなら、どこかを使っていただきたい。もちろん、ノリとハサミで作り直していただいてもいっこうにかまわない。
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若者よ。
未来は君たちのものだ。
君たちがこれから生きていく社会は、
君たち自身がつくるものとなる。
だから、若者よ。
君たちのよりよい未来をつくるために、
まずは選挙に参加しよう。
投票に行こう。
若者よ。
理想を語ろう。
この世に生まれたすべての人が、
意義ある生を送ることのできる社会について。
すべての個人に人間としての尊厳を保障する社会について。
人が自由で平等とされる社会について。
弱い者すべてに暖かい手を差し伸べる社会について。
人に優しく持続的な環境が大切にされる社会について。
そして、なによりも平和について。
戦争がないだけでなく、
貧困や差別や抑圧のない真の平和について。
そのようなよりよい未来について
理想を語り合おう。
若者よ。
この社会の現実を見つめよう。
厳然と存在する、貧困と格差を。
一方に奢侈と浪費があり、
もう一方に窮乏と絶望のある不合理を。
富が一極に集中し、
集積した富が権力を構成して、
不平等を再生産し拡大するこの理不尽な悪循環を。
不合理な差別が意識的につくられ利用されているおぞましさを。
尊大で傲慢な政治が、平等と自由を掘り崩している理不尽を。
政治が金で動かされている、この薄汚さを。
個人が自立せず、権威や権力に盲従する不甲斐なさを。
貧困・格差・搾取・差別・偏見が原因となっている
国際社会の混乱を。
よりよい未来を作るために、
現実を理想に近づける努力をしよう。
だから、若者よ。
新たな有権者よ。
選挙に参加しよう。
投票に行こう。
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新たな有権者の諸君
冷静に過去を見つめよう。
私たちの国と社会が、
かつてどのようなものであったか。
どのようなことをしたのか。
そして70年前に、
筆舌に尽くしがたい戦争の惨禍から、
どのように再出発をしたのかを。
「再び政府の行為によって戦争の惨禍を繰り返さない」という決意は、
今忘れられずに維持されているだろうか。
「戦後レジームからの脱却」を呼号する権力を
このまま許しておいてよいのか。
新有権者諸君
選挙に参加するとは、単に投票することではない。
主体的に、社会と政治に関わることだ。
理想に照らして、現実の矛盾を見定めること。
そして、議論し行動することだ。
説得することであり、されることでもある。
そうして、考えた末の投票をすることだ。
選挙をきっかけに、社会を考えること。
主権者としての自覚と自分の意見をもつことだ。
そのようにして、
君たち自身の手で、
政治を変え社会を変え、
君たちのよりよい未来をつかみ取ることができる。
だから、若者たちよ。
選挙に参加しよう。
投票に行こう。
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新しく有権者となった君たちに訴える。
君たちが頼りだ。
君たちこそ希望だ。
君たちがよりよい未来をきっとつくる。
君たち自身のよりよい人生のためにも、
是非とも選挙に参加をお願いしたい。
投票所に足を運んでいただきたい。
今ある社会は、大人たちが作った。
理想にはほど遠い。
今の大人たちは、
多くのしがらみに足を取られて
理想を語ることができない。
この社会を理想に近づけるのは、
君たち若い世代だ。
しがらみのないまっさらな感覚で理想を語り、
君たちがこれから長く生きるこの社会を
君たち自身の手で、よりよいものにして欲しい。
だから、君たちに訴える。
よりよい未来をつくるために、
是非とも選挙に参加をお願いしたい。
投票所に足を運んでいただきたい。
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新有権者諸君
諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか
それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である
諸君はこの時代に強いられ率いられて
奴隷のように忍従することを欲するか
権力と資本に屈服することを潔しとするか
むしろ諸君よ
更にあらたな正しい時代をつくれ
諸君よ
時の政権が平和の理想をなげうって
国粋・排外の論調が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか
じつに諸君はこの地平線における
あらゆる形の山嶽でなければならぬ
新たな詩人よ
雲から光から嵐から
透明なエネルギーを得て
理想の社会の形を暗示せよ
新しい時代のコペルニクスよ
余りに重苦しい社会的重力の法則から
この銀河系を解き放て
新たな時代のマルクスよ
これらの盲目な衝動から動く世界を
素晴らしく美しい構成に変へよ
諸君の手にある政治参加の権利
新たに手にした有権者としての資格
それを用ひ尽くして
諸君は新たな社会の形成に努めねばならぬ
ああ諸君はいま
この颯爽たる諸君の未来圏から吹いて来る
透明な風を感じないのか
(2016年6月30日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2016.06.30より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=7105
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye3513:160701〕
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