本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(126)
- 2016年 7月 1日
- 評論・紹介・意見
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恐怖心の消滅
数年前に、「一寸先は光である」という話を伺ったが、当時は、「そんな馬鹿なことはあるか?」というのが、偽らざる感想であり、また、「無理やりにでも、そう考えなければいけないのではないか?」とも感じた次第である。しかし、現在では、「まさに、この通りではないか?」と考え直し始めたのだが、「なぜ、このような変化が起きたのか?」については、実際のところ、「恐怖心の消滅」が指摘できるようである。
具体的には、誰もが最も恐れる事態が、「死」であり、この事実については、誰も避けることができない運命にあるが、私自身の「意識や認識の変化」としては、「肉体と精神とを分けて考えること」でもあった。つまり、「肉体は必ず滅びるが、精神は永遠に生き続ける」という理解により、「死は、決して、恐れることではなく、反対に、来世に期待できるのではないか?」と考え直したのである。
また、次に恐れることは、「病気」などの「不幸な目に遭うこと」だったが、この点についても、「人生の宝物は経験であり、現在の痛みや辛さ、あるいは、悩みや苦しみは、将来、または、来世の財産になる」と理解できるようになったのである。つまり、「見方」や「考え方」が変わると、「人生観」や「行動」が変化するようにも感じたが、この点を、「人類の歴史」に当てはめると、実に、興味深い事実が浮かび上がってくるようである。
つまり、「世の中には、市場経済と共同体の二つしか存在しない」という考え方のことだが、このことは、「お金が全てである」と考える人と、「無償の愛が、人生で最も大切である」と理解する人の違いである。別の言葉では、「西暦1200年から西暦2000年」までが、徐々に、「お金を大切にする人」が増えていった時代だと考えているが、その結果として起きたことが、「実体経済の成長」と「マネーの大膨張」だったのである。
別の言葉では、「社会の分断化」や「人間関係の希薄化」などにより、「心の闇」が深くなっていった時期だったようだが、これから想定される社会は、「共同体の復活」であり、実際には、「時は命である」と考える人が増える時代でもあるようだ。つまり、「貧乏」や「死」に対する恐怖心が無くなり、反対に、「喜び」や「楽しみ」が増える時代を想定しているが、現在のような「時は金なり」、そして、「お金がなければ生きていけない」と考える人が主流の時代では、全くの「絵空事」とも理解されるようである。ただし、これから想定される「お金が、神から紙になる時代」においては、この点に対する理解を持った人々が、世の中を主導するようにも思われるのである。 (2016.6.4)
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史上最大の仕手相場
今まで、数多くの「仕手株」を見てきたが、このことは、「仕手」と呼ばれる人々が、「特定の銘柄に対して、大量の買い付けを行い、株価を暴騰させる」という手法のことだった。そして、「値上がりした株価に釣られ、多くの人が参加した時に、その株を売り抜ける」という目的が存在したのだが、この方法は、必ずしも成功するとは限らず、失敗に終わった銘柄も、数多く存在したのである。また、このような方法で値上がりした銘柄については、例外なく、その後、株価が暴落したわけであり、そのために、私自身としては、決して、仕手株に投資しないことをお勧めしてきたのである。
そして、このような観点から、現在の金融市場を見ると、現在の仕手銘柄は、「世界の国債」ではないかと考えているが、ご存知のとおりに、今まで、「世界各国の中央銀行が、大量に国債を買い付けることにより、マイナス金利の状態にまで、国債価格が暴騰している状況」となっているのである。つまり、力づくで、「国債価格」を押し上げたために、極めて異常な状態になっているわけだが、実際には、「量的緩和」という名のもとに、「政府が取るべき、当然の政策である」とも考えられているのである。
また、「なぜ、このような事態が発生したのか?」については、ご存知のとおりに、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれた「デリバティブ(金融派生商品)」に関して、「2008年のリーマンショック」前後に、残高の増加が止まった点が、理由として挙げられるようである。つまり、「国債を買い支えることにより、デリバティブ崩壊の表面化を防ぐ」という目的が存在したものと思われるが、現在では、そろそろ、「国債の買い支え」も、限界点に近付いてきたようである。
その結果として、今後は、「人類史上、最大の仕手相場」とも言える「世界的な国債バブル」が崩壊するものと考えているが、「仕手銘柄の特徴」としては、前述の「必ず、崩壊の運命が待ち構えている」という点に加え、「崩壊後には、スタート地点にまで、価格が暴落する」という状況も想定されるのである。
そして、この点を、今回の「国債価格」や「金利」に当てはめると、「リーマンショック前の状態だった、約5%の短期金利」が考えられるようである。ただし、今回は、いったん、「国債価格の暴落」が世界的に始まると、「金融システム」や「通貨制度」までもが、崩壊する可能性があるために、実際には、「その時以上の金利上昇」を想定する必要性があるものと考えている。 (2016.6.6)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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