井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会 新着情報No.10~12
- 2016年 7月 5日
- 評論・紹介・意見
- 井上合金事件大村泉東北大学
新着情報 No.12 2016年7月1日
『金属』誌(Vol.86(2016), No.7, p.637-644)で高橋禮二郎世話人(元東北大学教授)らの論説「井上明久氏による特許の不正出願疑惑とJST、東北大学の対応」が公表されました。その概要は下記の通りです。詳細は同誌をご覧下さい。
[高橋論説概要]
(1)下記の2つの特許の出願書類には、特許請求を裏付けるバルク金属ガラス作製の実施例が付されており、その実施例を得るには、大型で特殊な溶解鋳造工程を有する装置が必要不可欠である。当該実験装置が東北大学に納入されたのは1995年2月であったことが、新技術事業団(現科学技術振興機構、以下JST)と東北大学の間で交わされた文書に基づいて確認されている。ところが、両特許の出願は、装置が納入された1995年2月以前、すなわち1994 年10 月14 日および1995 年1 月25 日になされていた。両特許の出願書類に明記されたバルク金属ガラス作製の実施例は、どのようにして得た結果であるのか極めて疑問であり、架空であったことが強く疑われる。
(2)同上装置の作製費用はJSTが提供し、同装置を井上氏に貸与したことが確認されている。JST はこの装置に関連する特許出願を行い、井上氏は発明者として名前を連ねている。ところが、この特許の出願前に、井上氏はJST に秘匿し、JST 抜きで民間企業と共同で同種の特許出願を行っていた。そのため JST を出願人とする特許は、先願されていた井上氏を出願人兼発明者とする特許の「発明と同一」(特許庁発信「拒絶理由通知書」)であることを主たる理由に不成立となった。このことはJST に対する重大な背信行為である。JST の予算は、国税から出されているから、国民は重大な関心を持っている。
(3)JST は、特許庁からJSTを出願人とする特許について、2005 年10月31日付で「拒絶理由通知書」を受け取る以前には、井上氏の背信行為に気づかず、同上装置の作製費用は無論、それ以降、ERTO プログラム・井上過冷金属研究プロジェクト(1997 ~ 2002 年)に対する約18 億円を筆頭に、多額の研究費を井上氏に提供していた。また、JST が太鼓判を押したために、他の機関も井上氏に多額の予算を支給した事実も認められる。しかし、JST は井上氏の背信行為を知って以後も、調査は無論、井上氏に抗議をすることも、ペナルティーを科すことも全く何もしていない。JST は井上氏の背信行為の犠牲者とも言えるが、JST が井上氏に提供した研究費の原資が国税である以上、JST がこのような事実関係を放置し続けることは、タックスペイヤーに対するJST の社会的な説明責任放棄とならざるを得ないであろう。
【特願平6-249254】発明の名称:差圧鋳造式金属ガラスの製造法
出願日:1994 年10 月14 日 出願人:井上明久、㈱真壁技研
発明者:井上明久、張 涛 代理人:弁理士 渡辺望稔(外1 名)
【特願平7-28720】 発明の名称:金型で鋳造成形された棒状または筒状のZr 基非晶質合金および製造方法
出願日:1995 年1 月25 日 出願人:新技術事業団
発明者:井上明久、増本健、張涛、篠原吉幸
代理人:代理人:弁理士 小倉亘
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新着情報 No.11 2016年7月1日
フォーラムは、高橋禮二郎世話人(東北大学元教授)らの論説「井上明久氏の研究不正疑惑に対する東北大学・日本金属学会の不公正・不明瞭な対応:X線回折曲線の不正流用」(『金属』Vol.86,No.6(2016),p.534-540)のフルテキスト電子版を公表します。
高橋世話人は、日野秀逸フォーラム代表(東北大学名誉教授)、大村泉フォーラム世話人(東北大学名誉教授)、松井恵氏(弁護士)と共同で標記の論説を『金属』誌の本年6月号で公表されました。今回共著者、及び『金属』誌編集部のご厚意を得て、本論説の電子版をHPで公表することになりました。
本論説では、高橋世話人らが、2010年2月10日付けで日本学術振興会(JSPS)宛に行った井上明久氏のX線回折図形の流用疑惑に関する研究不正告発が、その後どのように措置されたのかを、高橋世話人らが情報開示請求を繰り返すことによって入手した東北大学の内部文書などに基づいて、克明に追跡し、当時の東北大学関係者、日本金属学会の関係者が、この告発を如何に不透明で不公正に扱い、井上氏の研究不正に関する学術的疑義を葬り去ったかを明らかにされています。
詳細は高橋世話人らの論説電子版をご参照下さい
電子版のダウンロードは、このページの一番下のファイル集から次のファイルを選んで、ダウンロード(右の方の下向き矢印をクリックして下さい。
『金属』Vol.86,No.6(2016),p.534-540.pdf : 金属Vol.86, No.6(2916), p.534-540
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新着情報 No.10 2016年7月1日
フォーラムは、新着情報No.7-9で検証してきた、齋藤文良、矢野雅文両東北大学名誉教授の論説「井上明久氏らの二重投稿および同疑惑論文一覧の公表要望によせて」(『金属』Vol.86, No.5(2016), p.445-450)のフルテキスト電子版を公表します。
東北大学名誉教授 齋藤文良、矢野雅文両氏は、『金属』2016年5月号に上記論説を寄稿し、既に学協会から二重投稿の認定を受けた論文12編と共に、「二重投稿の認定がなされる可能性が十分」と考えられる論文13編を加え、総計25編の情報を一覧表示されました。フォーラムは新着情報No.7-9でこの一覧表に盛られた井上明久氏の疑惑論文について検証を行いましたが、このほど、両著者並びに『金属』誌編集部のご厚意により、本論説のフルテキスト電子版の本HPでの公表が可能となりましたので、公表します。
なお、井上氏の二重投稿論文の検証は、基本的に類似なので3回で終了とします。井上氏の二重投稿論文は、同じ図を、その図が報告されている元論文を引用せずに、あるいはオリジナル論文が判別できない形での引用の形にして、別論文で使用して、論文数を増やしているばかりではなく、①図の改ざんが認められること、あるいは②同一データの図でも、図中の表記を変更したりしていることが顕著な特徴です。この事実は、意図的な再使用を裏付ける証拠であり、井上 氏のケースは単純ミス・不適切な事例には該当せず、「研究倫理違反」に相当する行為の可能性が高いと思われます。検証の結果、そのような事例が、学士院賞授賞要旨に代表的論文 としてリストアップされている中に複数見出されることは、驚きを隠せませんでした。
齋藤、矢野両名誉教授論説のダウンロードは、このページの一番下のファイル集から次のファイルを選んで、ダウンロード(右の方の下向き矢印をクリックして下さい。
金属Vol.86, No.5(2016), p.445-450.pdf : 金属Vol.86, No.5(2016), p.445-450
初出:「東北フォーラムホームページ 井上[元]総長の研究不正疑惑の解消を要望する会」より許可を得て転載:https://sites.google.com/site/wwwforumtohoku3rd/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6179:160705〕
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