国民は、またしても争点隠し選挙に騙されるのか
- 2016年 7月 9日
- 交流の広場
- 熊王 信之
本日(7月8日)のブルームバーグのニュースでは、巷の選挙戦では、またしても安倍政権の似非経済政策が衆目の関心の的になっているようですが、ニュースの見出しにあるように、政治的焦点は、改憲発議に必要な3分の2に改憲派が到達するかどうか、です。
従って、国民の関心の的である争点と、選挙戦において隠された真実の争点が相違したまま投票日を迎えることになりそうです。
参院選が10日投開票へ、「改憲勢力」で3分の2に届くかが焦点 Bloomberg 2016年7月8日 07:00 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-07/O9XF6Q6JIJUU01
そもそも、安倍政権の言うところの「アベノミクス」なるものは、私には、空中楼閣に見えますし、今では、外国で「バンザイノミクス」とまで酷評されているものです。 学究肌の内橋氏は、実態を良く捉えて「見せ掛けの経済政策」と呼ばわっておられる処ですが、何れにしてもその実態は、単なる国債増発に過ぎません。
安倍政治を問う〈8〉:見せ掛けの経済政策 経済評論家・内橋克人さん 神奈川新聞 公開2014/12/08
http://www.kanaloco.jp/article/73389
ただ、加えて悪質なのは、年金資金(GPIF)他の資金を費消して株価騰貴を煽り、好況を演出したことです。 年金資金の株式投資比率を高めた時期が、日本株市場が既に騰貴した後であったことで、割高局面で買い出動したことになり、その後の反落局面で大幅な損失を蒙る結果になったのでした。
日本株市場で日経平均が二万円に迫る時点では、バフェット指標等の諸種の指数に依り観ると既に、割高であり、内外投資家が一斉に売りに出たことで、それは裏書きされました。
この事態は、金融投資の識者より警告されていたにも拘わらず、政権の景況を演出したい政治欲がリスクを凌駕したのでしょうか。 結果は、国民の年金基金を毀損した訳です。
一時的な消費増税延期を掲げて、改憲の魂胆を隠し、人気取りの経済政策紛いの国債増発・財政破綻政策を継続せんとする政権を頂く国の行く末を危惧された富裕層は、既に資産の逃避を図っているようです。
例えば、金投資です。
「『日本の行く末を憂慮し、国内で金地金を保有するのはリスクと考え、スイスに保管しておきたいという顧客は多い』。 ホワイトハウス佐藤氏は4日、都内でブルームバーグに対して述べた。日本銀行による今年1月のマイナス金利の導入決定後、特にこうした関心が高まったといい、日本からの2016年前半の資金入金件数は15年後半と比べ6割増加した。」
金をスイスで保管、日本からの資産逃避じわり-英ブリオンボールト Bloomberg 2016年7月8日 06:00 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-07/O9TK2N6JTSEE01
金融機関勤務の長い知人に依ると、外国通貨建て預金も、この処の円高局面で増えているそうですし、同じく外国通貨建て債券の購入も増えているそうです。 私も勧められましたが、元金が無いので残念ですが購入は不可能です。 でも確かに、この処の円高は、この国が財政破綻する前の最後の買い局面かも知れない、とは思います。
争点隠しの選挙で政権が勝利した後、国民が梯子を外されればどうなるのでしょうか。
2013年の参議院選挙でも同等の企みがあり、識者からの警告がありました。 現下の日本には、近未来を見据えて解決を図る難課題が山積しています。 視線を逸らせてもリスクは解消しないのです。
「民意に従って日本の改革を進めることは重要だ。指導者に目指す目標が何であるかを伝え、指導者の責任を問うのは、有権者や野党の政治家の責任だ。安倍氏に白紙委任状を与えることになれば、日本人は投票後に強い後悔の念にさいなまれることになろう。」
このコラムニスト・ぺセック氏の警告を無視してはならない、と信じます。
【コラム】自民に白紙委任なら有権者は選挙後に後悔-ペセック コラムニスト:William Pesek Bloomberg 2013年7月16日 14:40 JST
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