65年前の夏、日本は朝鮮戦争のさなかにあった!
- 2016年 8月 17日
- 時代をみる
- アメリカ加藤哲郎核兵器終戦記念日
日本の外交的「独立」は、想定された第3次世界大戦とソ連の対日核攻撃・北海道侵攻への対抗を含む、当時の米国世界戦略の一環でした。日本側は、その全体像も核軍事作戦計画も知らされずに、軍事的要衝基地にされました。朝鮮戦争勃発時に作られた警察予備隊も、米軍指揮下で国内治安維持ばかりでなく対ソ防衛にあたる「軍隊」としての性格を刻印されていました。やがて保安隊・自衛隊へと、人員を増やし装備を拡張していきます。かつて統治権と一体で天皇に託されていた「統帥権」=軍事大権は、事実上米国に移管されました。昭和天皇自身、米軍基地存続を求め、沖縄を切り捨てていたことは、その後の研究でも柴山氏の書物でも、確認されています。最近、平成天皇のビデオメッセージをめぐって、「第二の玉音放送」とも「第二の人間宣言」とも言われ、「象徴天皇制」論議が始まりました。日本国憲法第1条~9条も、象徴天皇制も自衛隊も、1945−52年の日本占領期=米英・ソ中にとっての世界再編期に創られ、歴史的にかたちづくられました。冷戦史の文脈での問題は、天皇個人ではなく世襲天皇制、災害救援の自衛隊ではなく米国軍事戦略下で活動する「軍隊」です。今日、大新聞の号外が出たそうです。戦没者追悼式典でも安倍内閣閣僚の靖国神社参拝でもなく、地球の裏側のオリンピックでの日の丸と銅メダルだとか。街ではパチンコ屋の駐車場がいっぱい。南スーダンでのPKO犠牲者速報でなかったことで、良しとすべきなのか。1937年とも、1951年とも比較したくなる、10年ぶりの日本での憂鬱な夏です。
7月16日に明治大学で行われた伊藤淳さんの『父・伊藤律 -ある家族の「戦後」-』(講談社)出版記念シンポジウムでの私の報告「ゾルゲ事件と伊藤律ーー歴史としての占領期共産党」のレジメ・資料が、論文ではなく「覚え書」のかたちで、活字になりました。国書刊行会から、『近代日本博覧会資料集成《紀元二千六百年日本万国博覧会》」全4巻+補巻が刊行されました。高価な本ですので、監修者の私の解説のみ、本サイトにアップしておきます。昨年現代史料出版から刊行した加藤哲郎編集・解説『CIA日本人ファイル』全12巻についても、高価な資料集ですので、「解説」のみ本サイトにアップしました。概要は、「機密解除文書が明かす戦後日本の真の姿:GHQ文書」(『週刊 新発見 日本の歴史』44号、2014年5月18日)に書き解説しています。幸い好評で、国内外の大学図書館等に入れていただき、さらに要望があるとのことで、この3月に刊行された続編『CIA日本問題ファイル』全2巻の概要も、ビラと「解説」で紹介しておきます。 この間、情報収集センター(歴史探偵)の「731部隊二木秀雄の免責と復権」(2015夏版)の延長上で、2015年10月15日に神田・如水会館・新三木会で「戦争の記憶」、10月18日に日本ユーラシア協会で「ゾルゲ事件と731部隊」の公開講演を行いました。このうち「戦争の記憶」の話のテープ起こし原稿をもとに、講演内容を吟味し、画像付きで臨場感ある講演記録「戦争の記憶」になりましたので、公開しておきます。『図書新聞』2015年6月20日号に松田武『対米依存の起源–アメリカのソフト・パワー戦略』(岩波現代全書)の書評、『週刊読書人』10月9日号にロベルト・ユンク『原子力帝国』再刊本(日本経済評論社)の書評を書きましたのでアップ。平凡社の隔月刊雑誌『こころ』30号(2016/4)には、「『五族協和』の内実を追う」と題して、話題の三浦英之『五色の虹ーー満州建国大学卒業生たちの戦後』(集英社)へのやや長めの書評を寄せています。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://members.jcom.home.ne.jp/tekato/home.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye3602:160817〕
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