「戦争法廃止!」 雨にも負けず歳にも負けずの国会前行動
- 2016年 9月 20日
- 時代をみる
- 澤藤統一郎
本降りの雨中国会前集会となった。あの日からちょうど1年にあたる今日、国会前に2万3000人が抗議の声を上げた。「戦争法廃止!国会正門前行動」である。
たまたま、今日は敬老の日。若者の遠慮の故か、あるいは高齢化社会を反映してのことか、圧倒的に高齢者の集会となった。ご近所誘い合わせての参加者も、敬老会並み。恐るべし、冷雨の中の熟年パワー。
野党各党の代表、そして学者、弁護士、旧シールズ、ママの会、元自衛官、沖縄、などなどからのスピーチが続いた。アベ政権の理不尽に抗議するとともに、野党の共闘に期待する声が高い。シュプレヒコールも「野党は共闘、市民と野党は共闘を」と繰り返された。
戦争法施行でさしあたり明確に変わることは、南スーダンへの派遣自衛隊の任務に駆けつけ警護が加わることだ。確実に「殺し殺される事態」が現実のものとなるだろう。多くの人がそう語った。そのとき、日本の世論はどうなるのだろう。ボルテージが高まることは当然として、だから「海外派兵には反対」の方向に向かうのだろうか、むしろ「もっと強い武力の整備を」ということになるのではないだろうか。
この集会参加者には、明らかに危機感が共有されていた。戦争法成立一週年の今日、戦争法廃止という目標の達成はなく、そのメドも立っていない。違憲の法律が運用されようとしていることは、平和が脅かされようとしていることなのだ。平和だけでなく、人権も民主々義も形骸化されようとしている。それどころか、国会は両院ともに、改憲勢力が3分の2を占めるに至っている。違憲な法律の横行というだけでなく、憲法そのものが変えられかねない。そういう危機感がある。このような憲法の危機、平和の危機の時代に、アベ政権の支持率が下がらないということが、危機感に拍車をかけている。
今日のスピーチでも繰り返されたが、個々の具体的な政策ではアベ政権が民意をつかんでいるわけではない。アベノミクスでも、税制でも、TPPでも、核廃絶政策でも原発再稼働でも、農政でも、震災復興でも、雇用政策でも、あるいは福祉、介護、教育でも、そして沖縄問題でも、けっしてアベ政権が国民の信頼を得てはいない。だから、平和を願う勢力がけっして勝てないはずはない。これまで野党が分裂状態で、小選挙区制のマジックが与党に高い下駄を履かせた国会議席分布をつくってきたが、事態は一刻の猶予も許さない。唯一の打開策が、「野党は共闘、市民と共闘」なのだ。
今や切所にさしかかっている。グスグズしてはおられないのだ。改憲阻止のためには野党共闘しか手段はない。具体的には、改憲阻止・戦争法廃止・立件主義回復に向けた選挙共闘を形づくって選挙に勝つ以外に選択肢はない。参院選でも、全一人区で4野党共闘が成立した。その具体的事情に応じてのさまざま形で、各選挙区での共闘の成立は、与党勢力と拮抗する力量を見せつけた。その再現と進展が今必要だ。
さあ、これから衆議院議員の補欠選挙が行われる。10月23日に投開票予定の、福岡6区と東京10区。いずれも、野党の選挙共闘が不成立なら到底勝ち目がない。市民は、野党に強く共闘を呼びかけている。この2選挙区補選での共闘を跳躍台に、全小選挙区での野党共闘に踏み出していただきたい。
もし、野党の中で共闘に背を向ける政党があるとすれば、自らの首を絞めるに等しい愚挙というほかはない。冷たい雨の中、2時間近くも立ち尽くした高齢者の怒りをまともに受けることになる。これは、恐いぞ。
(2016年9月19日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2016.09.19より許可を得て転載
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