【抗議声明】規制委発足後4年の抗議声明 発足後4年を迎える原子力規制委員会の「再稼働推進」と「被ばく強要」を糾弾し、解散を要求する!
- 2016年 9月 20日
- 評論・紹介・意見
- kimura-m
9月19日は4年前に原子力規制委員会が発足した日です。
発足時から「原子力ムラ」出ていけと批判され、国会承認が5か月近く遅れる、難産の発足でした。
私たち再稼働阻止全国ネットワークは、規制委発足4年目を迎え抗議声明を発表しました。
多くの皆さんにも知っていただきたく送信します。
原子力規制行政の基本理念を裏切るような業務を行ってきている原子力規制委員会に対して、
引き続き監視し、批判し、抗議し、解散を要求していきましょう。
抗議声明
発足後4年を迎える原子力規制委員会の
「再稼働推進」と「被ばく強要」を糾弾し、
解散を要求する!
2016年9月19日(月)
再稼働阻止全国ネットワーク
(TEL:070-6650-5549、東京都千代田区三崎町2-6-2 ダイナミックビル5F
info@saikadososhinet.sakura.ne.jp、http://saikadososhinet.sakura.ne.jp/rn/)
2012年9月19日に発足した原子力規制委員会は、この4年間に、福島の人たちに被ばくを強要し、原発の再稼働を推進してきた。私たちは、怒りを込めて原子力規制委員会の解散を要求する。
1 年間被ばく100mSvで安全、20mSv地域への帰還、を撤回しなさい
2 緊急作業時被ばく限度250mSvを撤回しなさい
3 川内1、2号機の稼働を直ちに止めなさい
4 伊方3号機の稼働を直ちに止めなさい
5 高浜原発3,4号機の合格を撤回しなさい
6 全ての原発の審査を中止し、イチエフ事故を検証し世界の規制を調査の上、 「新規制基準」を作り直しなさい
7 さもなくば、原子力規制委員会は解散しなさい
4年前に「原子力ムラ」出ていけと非難され続け民主党政権による国会同意も得られずに難産で発足した原子力規制委員会は、東電福島第一原発事故(以下、イチエフ)の検証も収束作業も廃炉化も被害者救済もなおざりにしたまま、「科学的・技術的」と称して実は「政治的」な提言を出して福島の人たちに被ばくを強要してきた。
さらに、これまでの原子力発電によって生じた使用済み核燃料の安全保管・管理方法・場所の問題を放っておいたまま、「緩やかに過ぎ合理性を欠く」(福井地裁)「新規制基準」を作り、「違法」「黒枠白抜き偽装」「耐震偽装」の甘い甘い適合性審査により、川内原発・高浜原発・伊方原発に合格証を出して再稼働を推進している。
3.11以後の過去5年半を振り返ってみよう。
3.11後の5年間~政府、経産省、原子力規制委員会の施策~
(表は省略)
すなわち、表の太字が示すように、また以下に示すように、原子力規制委員会は「被ばく強要委員会」「再稼働推進委員会」である。
(1)「国民」に被ばくを強要する原子力規制委員会
・拡散シミュレーション結果の図からUPZ30kmを定めた
・検討チームの提言の中に年間100mSvで安全を滑り込ませた
・検討チームの決定文の中に年間20mSvで帰還を滑り込ませた
・原子力規制委員会により緊急時労働者被ばく限度を250mSvに引き上げた
(2)イチエフ汚染水対策、廃炉計画を放っておく原子力規制委員会
・安倍首相のアンダーコントロール・ブロックできている大嘘発言を後押しした
・凍土壁凍らずなど、汚染水対策も廃炉計画も全く目途がたっていない
(3)使用済み核燃料問題(トイレなきマンション)を無視する原子力規制委員会
日本学術会議の提言(抜本的見直し、総量管理、高レベル放射性廃棄物問題を考慮事 項に入れた上で原子力政策について考えるべき)を無視
(4)既存原発を稼働させるための「新規制基準」
イチエフ事故検証せずに10カ月で作成
田中委員長「適合性審査に合格しても絶対安全とは言わない」
川内博史(元衆議院議員)「電源車、ポンプ、ドリル」を買えばいい!
福井地裁「緩やかに過ぎ」「合理性を欠く」 世界最低水準!
(5)「違法」かつ「不当」な適合性審査
(川内原発1,2号機、高浜3,4号機、伊方3号機)
設置変更許可、工事計画認可、保安規定認可、使用前検査=>合格証、修了書
「行政不服審査法」に基づく異議申立を無視
工事計画の補正資料は「黒枠白抜き」だらけで耐震偽装
(6)老朽原発の延長稼働(60年間)を容認
老朽原発フル稼働と新増設をもくろむ政府のエネルギー基本計画に沿う60年稼働へ の道筋をつけた
以下に、上記を補足する。
【既存原発を稼働させるための「新規制基準」】
既存原発を稼働させるための「新規制基準」は、イチエフ事故検証もせず、津波対策の為に「電源車とポンプとドリル」を買えばいいと揶揄されるほどで、米国で対応済みの15個の規制項目が無視されていて、正に日本国内50基近くの既存原発を稼働させるための甘い甘い基準であり、「世界最高水準」でなく「世界最低水準」である。
例えば、耐震対策はあまりに緩く、基準地震動が小さすぎることを多くの地震学者が早くから指摘してきた。さらに、熊本大地震が続く中で、何と基準作成をした島崎前委員長代理でさえ熊本大地震を受けて基準地震動の見直しを進言し、岡村高知大教授・長沢大阪府立大学名誉教授・政府の地震調査研究所などが揃って基準地震動の過小評価を指摘しているにも拘らず、基準地震動の推定方法を何ら見直しもせず審査を続行している。また、地震や火山の予知ができないとの専門家・学会の警告も無視し続けている。
さらに、複数基立地・同時稼働を容認し、ストレステストやコアキャッチャーや受動的安全装置や放射能汚染水対策等を義務付けていない。また、立地指針を無視している。さらに避難計画(IAEA深層防護第5層)は、第4層過酷事故収束策の目標達成を前提としていて深層防護の考えに反するばかりか、規制委の審査の対象にもせず、計画が絵に描いた餅で終わっていても稼働を容認している。
また、米国では定性的・定量的に提示されている安全目標がいまだに不明瞭なままで、提示した目安(セシウム137換算100TBq超えが100万炉年に1回程度)は施設の性能目標に過ぎないばかりか、審査ではこの目安すら確認されない。
【適合性審査に合格しても安全ではない】
したがって、「新規制基準」の適合性審査に合格した原発が安全である訳がない。高浜原発3・4号機の稼働について、福井地裁や大津地裁が稼働差し止めの決定をしたのは当然であり、川内原発と伊方原発についても稼働差止を求める訴訟を各地の住民が起こしている。おまけに、例えば、川内原発は、本年3月に建設されているべき免震重要棟が着工もされていないのに稼働が容認され、伊方他も免震重要棟を造らないことを規制委が容認している。
【避難計画は絵に描いた餅】
原子力規制委員会は発足直後に原子力災害対策指針を作成しておきながら、避難計画の適否を評価しない。イチエフ事故とその避難を目の当たりにした各原発立地と周辺の住民の大半は、今の避難計画を全く信用していない。自宅退避が非現実的、ヨウ素剤配布困難、道路寸断・道路渋滞を無視、原発近くを通る避難経路、種々の天候変化や日夜別などへの対応不可能、受け入れ先準備無し、逃げられても家財を捨て故郷を失う避難、…、避難計画は絵に描いた餅でしかなく、誰も実現性を信じていない。
【「安全文化」欠如の原子力規制委員会】
大津地裁により高浜原発が止められているにも拘らず、規制委は規制行政を見直すことをしない。また、4月に熊本大地震が起こり中央構造線に火がついたにも拘らず、近くで震度5弱を記録した川内原発を止めようともせず稼働を容認している。さらに中央構造線と南海トラフの地震がいつ起こってもおかしくない中で伊方原発3号機の8月12日の再稼働を許した。そればかりか、6月20日には高浜1・2号機の20年延長を認可して「例外中の例外」のはずの老朽原発の60年稼動への道筋をつけた。また、三反園鹿児島県知事が川内原発を一旦停止せよと九電に要請しても「安全上の問題の観点からは、何も問題はないと思っています。」と九電の稼働継続を支援した。
最後に、原発事故を防ぐことは不可能です、電気は足りています、電気を得る為に使用済み核燃料をこれ以上増やすことは許されません、自然災害を防げませんが原発事故は動かさなければ防げます、原発を即時全廃することこそが原子力防災です。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6264:160920〕
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