<原発輸出>JBIC/NEXIによるコンサルテーション会合報告…内閣府による「要綱」のズサンさが明らかに
- 2016年 9月 22日
- 交流の広場
- 杉原浩司
満田夏花さんのメールを転送します。ちなみに、私も参加して内閣府の参事官
に質問もしましたが、とても「3.11」後とは思えない答弁が連発されました。
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みなさま(重複失礼、拡散歓迎)
FoE Japanの満田です。
本日、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)の原子力関連プロジェクト
にかかる情報公開指針(仮称)作成に関する第3回のコンサルテーション会合が
開催されました。
これは、JBIC/NEXIが、原発輸出に対して公的信用を付与(つまり、融資や保険
をつける)際の情報公開に関しての指針をつくるため、広く関心を有する人たち
の意見をきこうとして開催しているものです。私は、JBIC/NEXIが、合意形成や
透明性を重んじてこのようなプロセスをもつこと自体は高く評価したいと思います。
NGO4団体は、JBIC/NEXIに対して、原発輸出を支援すべきでないという前提にた
ちつつも、指針に関しては、情報公開にとどまらず、プロジェクトごとに立地特
性などに即した実質的な安全確認をするべきだとして、今年1月、以下の提言書
を提出していました。
http://www.foejapan.org/energy/news/160128.html
JBIC/NEXI側は、指針の内容を情報公開に限る理由として、「安全配慮確認は国
が行う」としていました。
しかし国(内閣府)が実施する安全配慮確認は、原子力安全条約などの加入や加
入意思、IAEAの総合規制評価サービス(IRRS)の受け入れを確認するだけであり、
極めて形式的なものにすぎません。
詳しくは以下の要綱をご覧ください。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/pdf/1006siryou3.pdf
本日の会合では、NGO側がかねてから求めていた国による「安全配慮確認」に関
して、内閣府からの説明が実現しました。
説明は概ね、上記の要綱の内容をなぞっただけですが、とりわけ、印象に残った
のは、「安全配慮確認」を以下のようにきわめて限定的に定義しているというこ
とです。
1) 相手国又は地域における原子力安全の確保、放射性廃棄物対策及び原子力
事故時の対応に関する国際的取決めの遵守及び国内制度の整備
2) 当該原子力施設主要資機材の供給事業者による国際標準に適合した品質の
確保に係る契約の締結及び安全関連サービス提供態勢の整備
3) 発電用原子炉施設の設置の場合における IAEA(国際原子力機関)の実施す
る主要な評価サービスの受入れ及び関連する許認可の取得
その後の質疑で、以下のようなやりとりがありました。(そのうちJBICのサイト
に議事録が公開される予定です)。総じて、現在の内閣府による確認体制が、
「形だけ」であることが明らかになったと思います。
・立地や耐震性などプロジェクトに即した実質的な安全確認はしないのか
→一義的には、安全確認は相手国が行うもの。日本としては、相手国が条約に加
入していること、または加入の意思があること、IAEAのレビューを受けているこ
と、または同等の措置を行っていることを確認する。
・原子力安全条約・IAEAレビューだけでは実質的な安全は担保できない。現に同
条約に加入し、IAEAレビューを受けている日本でも事故が起こった。福島原発事
故を繰り返さないというのが国是ではないのか
→明確な答えなし。
・内閣府に置かれた「審議官級」の会議では、実質的な安全確認はできない。根
本的に見直すべき
→組織的に対応するという意味。見直すつもりはない。
・議事要旨を事後に公開するだけでは不十分。議事録を公開し、傍聴・中継を認
めるなど、原子力規制委員会が行っているような対応をすべき
→自由な議論をさまたげないように、議事要旨のみの公開としている。
・パブリック・コメントを行うなど国民の意見の収集・反映に努めたのか。
→国民の権利・義務にかかわることではないので、パブコメは不要。
・実際に調査票を埋める外部専門家とはだれか?
→IAEAにつとめた経験のある専門家など。
・外部専門家の氏名・レポートは公開されるのか。
→まだきまっていない。
・15億円以下は安全配慮確認の対象としないのは問題ではないのか?
→行政コストの合理化という観点から。ネジ一本に至るまで確認することはでき
ない。OECDのコモンアプローチも考慮した。
・被ばく労働など社会的な配慮に関する評価は行わないのか
→相手国が行うことである。
福島原発事故を繰り返さない、そのことさえ、蔑ろにされています。少なくとも
内閣府の参事官は一度もそれを口にしませんでした。
また、「事業の安全配慮確認の責任は一義的には相手国が担うこと」…総じて、
この内閣府によるやる気のない「要綱」はそこから出発しているようです。
しかし、日本が総力をあげて、国として、事前調査から多額の税金を投入し、オー
ルジャパンで海外の原子力事業をすすめようとしている中、それは無責任きわま
りない論でしょう。
数十年前、日本のODAを含む投融資が海外で甚大な人権侵害・環境破壊を引き起
こしていたとき(そしてその状況はまだ続いているのですが)、ともかくも「い
や、実施国だけではなく、資金を提供する日本にも相応の責任がある」とコンセ
ンサスがえられた時代に逆もどりしたような状況です。
みなさん、今後もこのプロセスに注目してください。
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満田夏花(みつた・かんな)/携帯:090-6142-1807
国際環境NGO FoE Japan(認定NPO法人)
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
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