本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(135)
- 2016年 9月 30日
- 評論・紹介・意見
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イエレン議長のホンネ
8月26日の「イエレン議長の演説」には、たいへん驚かされたが、その理由としては、今までとは違い、「半分程度のホンネ」が語られていたからだ。つまり、今までは、決して「ホンネ」を語らず、単に、「歴代のFRB議長は、たいへん素晴らしい仕事をしてきた」、そのために、「従来の方針を引き継ぎ、雇用の確保とインフレの調整に邁進する」というようなコメントに終始し続けてきたのだが、今回は、全く態度を変えて、「過去、現在、そして、将来の金融政策」について、詳しく説明を始めたのである。
具体的には、「2007年までが過去の金融政策」であり、この時には、「単純な金融調節を行うだけだった」とも述べられているが、問題は、「2007年後半からの現在の金融政策」でもあったようだ。つまり、私が想定するように、この前後に、「デリバティブの大膨張」が停止したために、その後は、従来の金融政策では、混乱に対応できなくなったようだが、この点に関して、「イエレン議長」は、「従来の金融政策には、二つの欠点があった」ともコメントされているのである。
つまり、「個人や企業に、資金供給をする方法の欠如」であり、また、「ゼロ金利下では、資金供給の方法が限定される状況」のことである。そのために、「準備預金に金利を付け、また、資産買い付けにより、従来とは違う資金供給の方法を構築した」ともコメントされているが、この時の問題点は、「FRBのバランスシートが大膨張したために、出口戦略が難しくなった状況」だったようである。
そのために、「2013年5月」から、いわゆる「テーパリング」を示唆し、かつ、実際に行いながら、その後、「2015年12月」に、「利上げ」を実行したのだが、この時の問題点は、「世界全体への影響度が理解できなかった点だった」とも述べられているのである。つまり、「FRBが利上げを継続し、また、国債売却を実行すると、世界全体に、おおきな影響が及ぶ状況」を危惧されたようである。
このように、今回は、「2007年から現在までの金融政策」について、赤裸々に説明を始めたのだが、一方で、「将来の金融政策」については、たいへん歯切れが悪い状況でもあった。そして、このことは、「全ての金融政策が行き詰まりを見せたために、後は、紙幣の大増刷で問題の解決を図る」という「メッセージ」だったようにも感じているが、この点については、間もなく、「国債価格の暴落」が、実際に、世界的に始まった時に、答えが出るものと考えている。イエレン議長のホンネ
8月26日の「イエレン議長の演説」には、たいへん驚かされたが、その理由としては、今までとは違い、「半分程度のホンネ」が語られていたからだ。つまり、今までは、決して「ホンネ」を語らず、単に、「歴代のFRB議長は、たいへん素晴らしい仕事をしてきた」、そのために、「従来の方針を引き継ぎ、雇用の確保とインフレの調整に邁進する」というようなコメントに終始し続けてきたのだが、今回は、全く態度を変えて、「過去、現在、そして、将来の金融政策」について、詳しく説明を始めたのである。
具体的には、「2007年までが過去の金融政策」であり、この時には、「単純な金融調節を行うだけだった」とも述べられているが、問題は、「2007年後半からの現在の金融政策」でもあったようだ。つまり、私が想定するように、この前後に、「デリバティブの大膨張」が停止したために、その後は、従来の金融政策では、混乱に対応できなくなったようだが、この点に関して、「イエレン議長」は、「従来の金融政策には、二つの欠点があった」ともコメントされているのである。
つまり、「個人や企業に、資金供給をする方法の欠如」であり、また、「ゼロ金利下では、資金供給の方法が限定される状況」のことである。そのために、「準備預金に金利を付け、また、資産買い付けにより、従来とは違う資金供給の方法を構築した」ともコメントされているが、この時の問題点は、「FRBのバランスシートが大膨張したために、出口戦略が難しくなった状況」だったようである。
そのために、「2013年5月」から、いわゆる「テーパリング」を示唆し、かつ、実際に行いながら、その後、「2015年12月」に、「利上げ」を実行したのだが、この時の問題点は、「世界全体への影響度が理解できなかった点だった」とも述べられているのである。つまり、「FRBが利上げを継続し、また、国債売却を実行すると、世界全体に、おおきな影響が及ぶ状況」を危惧されたようである。
このように、今回は、「2007年から現在までの金融政策」について、赤裸々に説明を始めたのだが、一方で、「将来の金融政策」については、たいへん歯切れが悪い状況でもあった。そして、このことは、「全ての金融政策が行き詰まりを見せたために、後は、紙幣の大増刷で問題の解決を図る」という「メッセージ」だったようにも感じているが、この点については、間もなく、「国債価格の暴落」が、実際に、世界的に始まった時に、答えが出るものと考えている。(2016.9.1)
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マネタリーベースと株価
最近、いろいろなところで、「マネタリーベースが増えても、株価が上がらない」というような意見が聞かれるが、この点には、大きな誤解が存在するようだ。つまり、「マネタリーベース」とは、「中央銀行が、民間銀行に出す資金」のことであり、「信用創造」における「基になる資金」でもあるからだ。そして、この資金を使い、民間金融機関は、さらなる「信用創造」を行うのだが、この時に重要な指数は、「マネーストック」であり、現在では、主に「M2」が重要視されているようだ。
そして、これらの数字を具体的に把握しながら、現状理解をすることが、投資の基本だと考えているが、実際には、「7月末」で、「マネタリーベースが約400兆円」、そして、「M2が約941兆円」という数字となっている。別の言葉では、「日銀」が出した「お金」が、「民間金融機関」により、「約2.3倍」にまで膨らんでいるのだが、この時に重要な点は、「民間金融機関」と「企業や個人」との関係性とも言えるようだ。
つまり、「日銀」は、基本的に、「民間金融機関」としか取引をしないために、「マネタリーベースが、どれほど増えようとも、企業や個人には影響が存在しない状況」となっているのである。別の言葉では、「マネーストックが増え、市中に資金が出回ると、株価の上昇につながり、景気が良くなる状況」が想定されるのだが、現在では、ほとんどの資金が、「日銀の当座預金」に吸い上げられ、結果として、「市中に、資金が出回らない状態」となっているのである。
このように、現時点で、最も重要なことは、「約500兆円のGDP」に対して、「約941兆円のM2」が存在するために、本来は、「資金が株式市場に回り、過剰流動性相場の発生も想定される」という点である。しかし、実際には、「約300兆円の資金」が、「当座預金」の形で「日銀」に還流した結果として、市中に、資金が出回わらず、また、この資金で、日銀が国債を大量に買った結果として、未曽有の規模での「国債バブル」が発生している状況とも言えるのである。
そのために、今後、重要な点は、「国債バブルの崩壊」と「金利の急騰」により、「日銀が吸い上げた約300兆円の当座預金」が、一挙に、市中に還流する状況だと考えている。つまり、大量の資金が、株式市場などに出回り、結果として、未曽有の規模での「過剰流動性相場」が発生する可能性のことだが、今後は、いち早く、この点に気付いた人が、本当の勝ち組になるようだ。(2016.9.2)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion6279:160930〕
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