本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(139)
- 2016年 11月 11日
- 評論・紹介・意見
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お金の謎が解けない理由
金融や投資業に携わり、今年で40年目の年を迎えたが、この間、一貫して追求してきたテーマの一つが「お金の謎」を解くことだった。つまり、「今まで、誰も、お金の謎を解いたことがない」ということが、経済学の定説とも考えられているのだが、幸いなことに、10年ほど前、この問題は解決できたものと考えている。しかし、この時に感じた不思議な点は、「お金の謎」を追求する人が、時間とともに減少し、反対に、「お金を欲しがる人」が、世界的にも、加速度的に増えていったという事実である。
世界中の人々が、お金を求めると、当然のこととして、お金の量は、天文学的な数字にまで増える。一例として挙げると、「日本を売れば、日本以外の全世界の土地が買える」と言われた「日本の土地バブル」の時、当時の「時価総額」は、約2500兆円にすぎなかった。しかし、現在では、「デリバティブ(金融派生商品)」という妖怪が世界を徘徊し、2007年前後のピーク時には、約8京円という金額にまで大膨張したのである。しかも、このお金を保有しているのが、「世界の国家」と「一握りの金融機関」という、きわめて異常な状態となっているが、ほとんどの人は、この点に気付いていないのである。
かつて、「自動車王」と呼ばれた「ヘンリー・フォード」は、次の言葉を戦前に残している。「国民が銀行や金融システムを理解していないことが重要だ。なぜならば、かりに理解したら、明日の朝にも革命が起こると思われるからだ」というものであり、逆説的で真理を突いた言葉とも言えるが、当時と比較すると、現在の「お金の時価総額」は、「蟻と鯨ほどの規模の違い」となっているのである。
つまり、「お金の謎」が解けると、「お金を保有している人々」の既得権が失われるとともに、多くの国民が、「騙されていた」という感想を抱くことが危惧されているようだが、現在、最も興味深い点は、「現代のお金は、影も形も存在しない、単なる数字に変化した」という事実である。そして、「コンピューターマネー」となったお金が、世界中を駆け巡り、さまざまな金融商品に、瞬時に変化しているが、ほとんどの人にとっては、「目の前の一万円札が、本当のお金である」と、いまだに信じ込まされているのである。
換言すると、「裸の王様」の物語のとおりに、純粋な目を持った一人の子供に、「王様は裸だ」と言われるのを恐れている人々が、「お金の謎」を解けないように、さまざまな妨害をしているようにも感じられるが、一方で、「王様の耳はロバの耳」という物語のとおりに、「真実は、必ず、暴露される」ということも間違いのない事実でもあるようだ。(2016.10.15)
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最終段階を迎えた「世界の掃除」
かつて「ペンクラブの会長」をされ、また、「大江健三郎氏」をノーベル賞に推薦された「芹沢光治良先生」に、いわゆる「神シリーズ」と呼ばれる「8冊の著書」がある。そして、その中で、「1987年」から「世界の掃除」が始まり、最初に、「日本のバブル」を崩壊させ、次に、「ソ連の崩壊」が起きたと説明されているが、残念ながら、「芹沢先生」は、「1993年」に逝去されたために、その後の展開については、自分自身で検証せざるを得なかったが、現在では、「いよいよ、最終段階に近付いているのではないか?」とも感じている。
つまり、「1990年の日本バブル崩壊」により、「不良債権」が発生したが、その後の展開としては、「民間企業」から「民間金融機関」、そして、「国家や日銀」へ移行しているのである。しかも、この時、時間の経過とともに、「不良債権の規模」が大きくなり、現在では、紙幣の増刷でしか処理ができないほどの規模となっているのである。また、「1991年のソ連崩壊」については、ご存知のとおりに、「社会主義」に対する否定を象徴する事件であり、その後の展開としては、「中国」や「ロシア」などの国々が、実質的に、「資本主義国」となったことも理解できるのである。
この結果として、「2007年から2008年」にかけて、「デリバティブ(金融派生商品)」を中心にした「金融資産の大膨張」が、世界的にも、かつ、歴史的にも「ピーク」を付けたのだが、問題は、その後の「世界各国の対応」にあったようだ。つまり、問題を隠すために、中央銀行のバランスシートを大膨張させて、国債などの資産を、大量に買い付けた状況のことだが、この結果として発生したことは、世界的な「マイナス金利」であり、また、「国債価格の世界的なバブル」だったのである。
そして、現在では、「国債バブルの崩壊時期」が近くなっているようにも感じているが、このことを、「世界の掃除」の観点から考えてみると、結局は、「世界中の人々が、お金の呪縛に捕らわれた結果として、史上最大のバブルを作り、そして、崩壊する過程」でもあったようだ。別の言葉では、いまだに解けていないと言われる「お金の謎」を解明するために、これ程までの壮大な実験が、数十年、あるいは、数百年という期間にわたり、行われてきたようにも感じているが、やはり、これから想定される変化は、「1600年頃」に誕生した「時は金なり」という「市場経済」を代表する思想が終焉の時を迎え、その後は、「共同体」を代表する思想である「時は命なり」という認識を、世界中の人々が持ち始める状況とも言えるようである。(2016.10.15)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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