(報告)もっかい事故調オープンセミナー「つぎつぎに認められる“ゾンビ原発”の再稼働 -その危険な側面-」(原子力資料情報室主催 11/26)
- 2016年 12月 4日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
- (イベント情報)もっかい事故調オープンセミナー「つぎつぎに認められる“ゾンビ原発”の再稼働 -その危険な側面-」(2016年11月26日)
- (資料)11-26 もっかい事故調オープンセミナー「つぎつぎに認められる“ゾンビ原発”の再稼働 -その危険な側面-」 原子力資料情報室(CNIC)(ここにレジメがあります:田中一郎)
- 蓮舫代表「脱原発、卒原発。再生エネ、進めよう」:朝日新聞デジタル
当日の録画はありませんが、下記の原子力資料情報室HPに4人の講師さんの各レジメが掲載されておりますので、ぜひご覧ください。私は今回は特に原子力産業であるGEの元技術者で現在は原子力コンサルタントの佐藤暁(さとし)さんの講演に注目しました。日本の原発・原子力規制当局=つまり原子力規制委員会・規制庁は、老朽化した原発の現況点検や検査・審査をきちんとやらずに、アメリカNRC(原子力規制委員会)のレギュレイション・シート(規制基準)を翻訳しただけのものを形だけつくって、いい加減なことで危険極まりない老朽化原発の寿命延長・再稼働をパスさせていることがわかりました。レジメの中で佐藤暁さんは下記のような審査上の具体的なチェックポイントをいくつか挙げて日本の規制当局の不十分さを指摘したうえで、「危険なジャンガ遊びをしていないか」と警告を発しています(今回挙げられたチェック項目は全部ではないそうです)。しかし、こうしたことも、現在の原子力規制委員会・規制庁は安全確保上の懸念を払拭できるだけの十分なチェックや点検をしていないようです。(「ジャンガ遊び」=積み木崩し:田中一郎)
<佐藤暁さんが具体例として挙げた老朽化原発のチェック項目>
*コンフィギュレーション・マネジメント(⇒ 設定・配置などの意味:田中一郎)
*オブソレッセンス・マネジメント(⇒ 利用度減少による老朽化:田中一郎)
*環境評価
*披露評価の見直し(ASME設計披露曲線では十分保守的ではない)
*LBB評価(Leak Before Break)(LBBパラメータが日本はアメリカよりも大幅に小さい)
*中性子照射脆化(原子炉圧力容器と炉内構造物)
*ボルト予荷重の弛緩(炉心支持板ボルト)
また当日、このセミナーに参加されていた井野博満東京大学名誉教授からは、「老朽化原発の稼働期限40年の延長の際には通常の原発規制とは別に老朽化原発用の規制というモノはあるのか、あるとしたら、それはどういうモノか」との会場からの質問に対し、「老朽化原発は、まず稼働から30年を経過した時に「高経年化対策」(下記参照)を行い、その後、稼働から40年が経過したら、「特別点検」を行って運転期限延長に耐えられるかどうかのチェックを行い、原子力規制委員会に期限延長の申請することになっている。しかし、原子力規制委員会・規制庁は、高浜原発1,2号機や美浜原発3号機の運転期限延長審査に於いて、かなりいい加減なことをしている」との発言がありました。原子炉圧力容器をつくる金属の脆性遷移温度の問題や蒸気発生器の耐震性の問題、基準地震動の過小評価や繰り返し襲ってくる地震の揺れに対する耐震性の問題などなどです。
信じがたいことですが、日本の老朽化原発の安全性は全くといっていいほど確保されておりません。近い将来の再びの原発過酷事故を予想させるものがあります。原子力規制委員会・規制庁は、もはや原発・核施設の安全確保をつかさどる規制当局としては機能しておらず、危険極まりない事態が現出し始めているのです。
https://www.data-box.jp/pdir/ab156eaf8b0f45aca2c184890d960554
<関連サイト>
(1)美浜3号老朽新基準規制に合格 40年超え、高浜原発に続き2例目 原発 福井のニュース |福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/106136.html
(2)高経年化対策とは:高浜3,4号の例(美浜の会)
http://www.jca.apc.org/mihama/takahama/takahama_kokeinenka20150827.pdf
(3)アメリカ合衆国原子力規制委員会 – Wikipedia
(4)原子力資料情報室 HP
(5)美浜の会 JP
http://www.jca.apc.org/mihama/
<原子力規制委員会 HPより)
(1)平成26年08月26日実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用ガイド【PDF:160KB】
https://www.nsr.go.jp/data/000069250.pdf
(2)平成26年08月26日実用発電用原子炉の運転期間延長認可申請に係る運用ガイドの一部改正【PDF:90KB】
https://www.nsr.go.jp/data/000069280.pdf
(3)高経年化対策概要 原子力規制委員会
https://www.nsr.go.jp/activity/regulation/reactor/unten/unten3_1.html
(4)実用発電用原子炉の運転期間延長等に係る審査 原子力規制委員会
https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tekigousei/power_plan
ts/untenkikanencho/index.html
(5)(参考:(3)(4)のサイトがある場所)
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律関連 原子力規制委員会
(このページの「実用発電用原子炉に係る許認可等の手続きに関連する内規」のところ)
https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kettei/02/02_01.html
(参考)上記サイトの検索の仕方
原子力規制委員会HP ⇒ 原子力規制委員会決定一覧 ⇒ 法令の制定及び改正に関する原子力規制委員会決定のジャンルの中の「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律関連」
<追>この発言はいったい何なんだ!!
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http://www.asahi.com/articles/ASJC64D0YJC6UTFK001.html
(一部抜粋)
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原子力規制委員会の厳しい安全検査を通ったものだけを再稼働しましょう。
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国会事故調がその報告書で「規制する立場とされる立場の「逆転関係」が起き、規制当局は電気事業者の「虜(とりこ)」となっていた」と厳しく指摘した3.11福島第1原発事故、その悲惨な結果を受け、もう二度と原発事故は起こすまいと誓ってスタートしたはずが、それから早6年近い歳月が流れ、今日においては、もうすっかり福島第1原発事故のことは忘却の彼方のごとしである。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6395:161204〕
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