トランプ大統領、公約にあくまで拘り、それが怖い
- 2017年 1月 27日
- 交流の広場
- 熊王信之
近年の阪神・タイガース、如何にも阪神らしく弱いのでタイガースでは無くて、我が家の猫さん並みになってしまっています。 私は、いくら貶しても仕方が無いので、最近はメジャーリーグのデトロイト・タイガースの試合を観るようになりました。 メジャーの試合の方が負けても面白いのです。
処で、メジャーのタイガースの本拠は、デトロイトにあり、本拠地の球場は、コメリカ・パーク(Comerica Park)です。 グーグル・ストリートビューで観ますと、壮大な球場で圧倒されます。
2006 ウィザーレル・ストリート
しかしながら、球場周辺から視野を転じて見て観ますと、人通りも無く、窓辺を塞がれた可成り年月の経過した建築物が林立している地区が多いのに気付きます。 これが、所謂、市街地の空洞化と言われる現象でしょう。 更に、市の中心部の周囲には、古い工場の建物が放置されているのも目立ちます。 廃れた製造業の跡でしょう。
デトロイトは、ラストベルト(錆ついた地帯)と呼ばれる中に在るのです。 財政破綻した犯罪都市として有名です。
元々、同市は、米国の自動車製造業の拠点ですが、賃金の安いメキシコで製造された日本車等に市場を奪われてしまい見る影もないのでしょうか。
ラストベルトの失われた製造業の再生を公約の一つにされて当選されたトランプ大統領ですが、そのためには、低価格で製造された輸入品を規制しなければ自国の製造業は廃れる一方であり、必然的に安全保障上の大問題に直結します。 それは、食糧生産を他国に頼ると安全保障上の問題が生じるのと同様です。
そのために米軍の軍需物資は自国産に限定されていますが、それが困難になると自国防衛に欠陥が生じます。 当然ですが、戦闘服から弾丸までメイドインチャイナではいざと言う時には困窮するのです。 トランプ大統領が製造業の再生を目指されるのは当然でしょう。
しかしながら、ラストベルト一般の話になると、聊か話は違って来ます。 一言で言いますと、製造業は廃れたが代わりの産業が出来た、と言うことです。
トランプの票田「錆びた工業地帯」、実は目覚ましく復活 DIAMOND online 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
http://diamond.jp/articles/-/115463
ともあれ、トランプ新大統領は、就任即日から製造業再生のために各種規制の撤廃に動きました。 環境関連の化石燃料規制撤廃も、その内の一つです。
そもそもトランプ新大統領は、二酸化炭素地球温暖化仮説を信じておられず、選挙戦中よりその仮説に基づく規制撤廃を主張されていましたので驚くに値はしません。 しかしながら、この新自由主義を彩る似非環境科学を廃されるのは道理ですが、同時に多くの先達から受け継いできた米国に伝来する自然環境保全施策を排されては、湯水と共に赤子を流す愚かな行いとなることでしょう。
例えば、米国全土に在る国立自然公園の保全です。 この国とは相違して国立公園では厳正な自然環境保護をされ、銃器携帯のレインジャーがパトロールしています。
個人的には、自身が米国の自然環境保護団体であるシェラ・クラブの会員である処から、この方面に注意が向いてしまいます。 近年では、同団体が地球温暖化論に染まってしまい苦々しく思っていたのですが、そのために長年の運動成果が雲散霧消してしまえば元も子もありません。 是非とも、伝統的運動に回帰して欲しいものです。
さて、安全保障上の問題も含めての製造業再生が命題であるならば、トランプ政権の施策は、軍部からも支持をされることでしょう。 道理で選挙戦中には軍人からの支持が多数に上ったのでしょう。 同政権を評して、「軍事政権」等と揶揄される如く軍人出身が要所に配されています。 イスラム国の撲滅を掲げたトランプ政権ですので、そのためにはロシアとの和睦と軍事協力も視野に入れた施策を展開されることでしょう。
どちらにしても、トランプ政権下では、あくまで公約実行を目指されることが明らかです。 例のメキシコとの国境に壁を建設するとの公約も同じで、本日のツイートでは、こうあります。
“If Mexico is unwilling to pay for the badly needed wall, then it would be better to cancel the upcoming meeting.”
(もし、メキシコが火急の要のある壁建設費用を払わないのであれば、来る会談をキャンセルした方が良いだろう。)
これは、メキシコ側が壁建設に難色を示されたからですが、可成り強硬な姿勢です。 あくまで公約は公約、との頑なまでの姿勢です。 アベのボンボンとは大違い、ですが、それはそれで怖い。
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