【前原失脚考】 在任期間最短の外相の蹉跌とは?
- 2011年 3月 9日
- 時代をみる
- 中田安彦前原失脚
アルルの男・ヒロシです。
昨日、前原誠司外務大臣が辞任した。WSJ日本版によると、彼の辞任はこれまでの外相の歴史の中で最短になったという。ポスト菅直人としての呼び声が高かった彼の辞任。日経新聞はマイケル・グリーンの談話を公表。「各国は失望するだろう」とのコメントを寄せている。ツイッターにまとめた【前原失脚】を元に再構成した。
昨日はいろいろ憶測を巡らせたが前原失脚の最も正統的な合理的選択論解釈をするとこうなると思う。前原叩きのきざしは今年1月半ば位から会った。まずは週刊新潮の『「電撃訪朝&めぐみさん奪還」を前原外相に吹きこんだミスターX』という記事だ。続いて2月10日の週刊文春で、「1999年に北朝鮮を訪問し、日航機「よど号」乗っ取り事件の実行犯と平壌で会ったとの内容」との記事が出た。そして、その後国家質問で稲田議員の「国交のない北朝鮮の河村織物の工場の視察」についての質問が続いた。
その後、3月3日に産経に前原が蓮舫と野田両大臣を脱税企業の関係者に紹介したという記事が出た。そして、この記事に基づいてネット上で日本リスクコントロールの関連の話題が盛り上がると、今度は在日韓国人の焼肉屋のおばちゃんの5万円献金(計20万円らしいが)を自民党の参議院議員である、西田昌司が質問した。
私もこの韓国系焼肉屋の献金で前原の後藤組フロントの献金をもみ消すという説もありうると思ってきたが、しかし前後の流れをよく見てみると、やはり前原が北朝鮮と独自交渉をしようとしたことが問題になったと見るべきだと考えなおした。使ったのは野中ルートである。
実働部隊として動いたのは産経だし、あとは稲田・西だといった自民党清和会系の日本原理主義者たち。この勢力は安倍晋三系であり森喜朗のようなマフィア系とも違う。安倍本人が北朝鮮系とつながっていたはずだが、前原とは路線が違ったのだろう。アメリカも石破にシフトした可能性もある。
重要なのは後藤組フロント企業からの献金はスキャンダルであっても収支報告書に正しく記載があれば「違法」ではないところ。前原の場合は収支報告書をごまかした可能性もあるが、野田・蓮舫はどうだったのか。一方、在日からの献金は攻撃者も違法であると大手を振って主張できる。
すでに私のところに愛知県知事も韓国系から献金?という収支報告書の写真らしきものを送ってきてくれたフォロワーの人もいる。要するに在日献金なんてものはみんな貰っているということだ。あるいは知らないで政敵がスキャンダルを仕掛けるためにわざと献金することもあるだろう。
だから重要なのは政治とカネの問題を当面はいっさい追求しないという政治的な合意を与野党で結ぶことだ。共産党などは絶対結ばないだろう。ある意味で共産党の存在意義はそういうネガティブな部分にあるからだ。自民党の清和会系も強固な原理主義者だから同じ。
強固な原理主義者の厄介なところは「カネで解決できない」ということだ。金(近代合理主義)と宗教はある意味で表面的には対極にある。これから蓑田狂気みたいなおかしな政治集団が日本ではびこるのではないかとちょっと心配になっている今日この頃です。極左と極右の台頭である。
米国は次の総理の極秘ファイルを大使館経由で作っている筈。小沢、鳩山ファイルもあった。前原の出自が謎に包まれているのは確かだ。前原の幼少期のことが父親の自殺など以外ほとんど情報がない。彼が生い立ちを語る本を書いてない。在日繋がりも現地に行かないと分からない話。
前原事件が北朝鮮系による浸透工作であるとする「第二のゾルゲ事件」という解説がある。それが正しかは分からないが、政治家の基盤が不安定になってそういった勢力(米中北朝鮮新興宗教などもろもろ)の浸透をうけやすくなっているのは事実だろう。まずは三権のうちの立法府と行政権の存する内閣の基盤をしっかりとするべきだ。
立法府と内閣の基盤がしっかりしないと残る統治インフラは日本では律令制度だけになってしまう。今も日本は律令統治体制でありその周囲をコーティングするように近代議会制があるだけで、そのメッキが剥がれ始めている。大正デモクラシ崩壊時もそうだった。危険な徴候かもしれぬ。
結局、三権分立をしっかりしないと、律令統治体制が地肌を見せて、超然主義が横行してしまう。「律令官吏」たちが「結局俺たちしか居ないよな」と思ってしまえばおしまい。続くのは形式としての議会制を維持するだけの「鉢植え内閣」の連続。自民党も頼りないのでその可能性高い。
ただし、前原の辞任と、日本原理主義者とアメリカのCSISはどういう位置関係にあるのか、これはまだ掴みかねていない。安倍晋三をアメリカの支配層は嫌ったという。今度は前原が「北朝鮮」関連でアメリカから切られたのだろうか。
前原本人には「早めに辞任して捲土重来」という打算的な発想はあるだろうが、普段は無表情な彼が珍しく本当に深刻な顔をしている写真が朝日一面に掲載されている。いずれにせよ、安倍と前原は水と油であるということが今回の件で浮き彫りになった。だから竹中系のG1サミットの財界人を頼ったのだろうか。面白いのは、その安倍が今年のG1で前原がロシア出張で欠席しているときに特別ゲストとして参加していること。これ以上は妄想になってしまうのでやめるが、保守系と言われる若手の間にも「断層線」がいくつか走っているのではないか。
http://amesei.exblog.jp/ より転載。
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