核兵器禁止条約に反対し、原発で自滅に向かう「幸福度」喪失国!
- 2017年 4月 3日
- 時代をみる
- 加藤哲郎核兵器森友学園
◆2017.4.1 桜の季節、新学期です。新入生にとっては、希望のスタートでしょう。でも、世界も日本も、希望に満ちているとはいえません。小学校では1年生から「道徳」が必修で、先生が評価するそうです。文科省のホームページで、その指導要領と教科書を読めますが、小学5年生になったら「我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を 愛する心をもつ」ように、懇切丁寧に「指導」しています。第二次世界大戦前の皇民教育の柱、「教育勅語」も教材に使ってかまわないと、安倍内閣は閣議決定しました。中学に進むと、保健体育の時間に「銃剣道」が学べます。戦時軍事教練の定番でした。政局の中心になっている大阪森友学園の計画した「安倍信三記念」小学校とは、教育基本法改正・新学習指導要領にあわせた「モデル校」として、安倍首相夫妻と右翼日本会議の強い支持をバックに設置が急がれ、財務省、国土交通省、文部科学省、大阪府、日本会議系政治家達が推進したものでしょう。森友学園籠池理事長の国会証人喚問では「私人」安倍首相夫人の100万円寄付と夫人付公務員「秘書」による国有地払下げの財務省回答ファクス問題でしたが、その夕の日本外国特派員協会で主たる問題になったのは、翻訳不可能な「忖度」もありましたが、問題の本筋「軍国日本への回帰」「極右の日本会議と安倍政権とのつながり」でした。
◆核兵器という、人類を絶滅させることができる武器があります。その最も強力な武器を発射するボタンを持った、アメリカの大統領がトランプに変わりました。核兵器も増強して、国の経済を立て直そうとしています。小さな国でも、まわりの国々と仲良くするのではなく、国民に苦しい生活を強制しながら、核兵器を持つことで世界を脅かそうとする国もあります。核兵器を地球からなくしていくことは、21世紀の人類全体の切実な願いとなっています。193の国が参加する、国際連合という組織があります。そこで、核兵器禁止条約を結ぶための交渉を開始する会議が始まりました。これまでの拘束力のない決議ではなく、国際法で核を禁止しようというものです。オーストラリアやメキシコなど50以上の国が共同提案し、123か国が賛成しましたが、すでに核を保有するアメリカ、ロシア、イギリス、フランスなど38か国は反対しました。核保有国の中国、インドなど16か国は棄権しました。
◆日本は1945年8月の敗戦時、アメリカが初めての原爆を広島・長崎に投下して、戦争被爆国、核被害国となりました。核兵器禁止条約を率先して提案し世界を説得するのが当然ですが、実は国連での日本政府は、棄権ですらなく、反対の態度をとりました。交渉そのものに不参加で、反核NGOは日本代表席に折り鶴をおきました。115を越える政府代表ばかりでなく220人のNGOや宗教団体代表も参加していますから、 アメリカの「核の傘」に追随した日本の態度は、世界に失望を与えています。この面でも日本は、過去の戦争体験を忘れ美化する国と疑われています。これが、安倍首相が敗戦70周年談話で述べた「積極的平和主義」、「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」の帰結なのです。そのうえ、アメリカ原爆開発の副産物である原発を、狭い地震列島に大量に作って3/11福島の悲劇。アメリカを含む世界が原発のリスクを認識し、脱原発か安全基準高度化に動いたのに、国内では福島県民の棄民と原発再稼働、海外には核兵器禁止行脚どころか、安倍首相自ら原発輸出の外遊ビジネス。そんな「国策」に乗った東芝は破産寸前なのに、たった6年で 「安全神話」の復活です。まもなく米中首脳会談、5月はフランス大統領選挙で世界は大きく再編されようというときに、日本は右傾化だけを先取りし、国連の世界幸福度ランキングではG7最下位の51位のニュース。時代は閉塞し、長期的衰退・自滅に向かっています。
◆そんな日本の歴史認識の問題を、4月9日(日)午後、東京・中野で講演します。3月31日で、早稲田大学大学院の教職を退任しました。本「ネチズンカレッジ」学長に専念します。早稲田では、原発やゾルゲ事件のほか、戦後占領期における731細菌戦部隊の隠蔽・免責・復権過程を情報戦の視角から追ってきましたが、現在の安倍内閣の情報操作、軍産学協同や、京都府立医大や金沢大学医学部の「白い巨塔」の闇につながります。なお、私の731部隊の本の方は、『「飽食した悪魔」の戦後』(仮題)という大部の書物になり、5月下旬に刊行されます。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://netizen.html.xdomain.jp/home.html
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