「改憲、共謀罪創設を許さない」 - 東京で憲法施行70年を記念する大集会 -
- 2017年 5月 4日
- 時代をみる
- 岩垂 弘憲法改憲
日本国憲法施行70年にあたる5月3日(水=祝日)、東京・江東区有明の東京臨海広域防災公園で、「施行70年 いいね!日本国憲法―平和といのちと人権を!―5・3憲法集会」と題する集会が開かれた。主催者発表で5万5000人が集まったが、安倍首相が改憲に強い決意を示したり、政府提出の組織犯罪処罰法改正案(共謀罪新設法案)の国会審議が大詰めを迎えているため会場には緊迫感がただよい、「憲法改正は許さない」「共謀罪創設には絶対反対」の声が溢れた。
集会を主催したのは「5・3憲法集会実行委員会」。実行委を構成するのは、戦争をさせない1000人委員会、解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争する国づくりストップ!憲法をまもり・いかす共同センターの3団体だが、これらには、旧総評系、共産党系の団体のほか、中立の市民団体も加わっていて、いわば、護憲を目指すほとんど全ての流派による統一集会となった。
昨年も5月3日に同じ会場でやはり統一集会の「5・3憲法集会」が開催されたが、参加者は5万人だった。今年はそれを上回った。市民の間に危機感が広がりつつあることの表れと思われた。
集会は午後1時から始まったが、会場には開会前からおびただしい参加者がつめかけた。会場は海端にあるため、海からの風が会場を吹き渡り、参加者たちが持参した組合旗や団体旗、のぼりがはためいた。
旗やのぼりから見て、労働組合、脱原発団体、平和団体、宗教団体、女性団体、消費者団体などからの参加があったことが分かる。が、圧倒的に多かったのは、旗やのぼりを持たず、ゼッケンも着けない、いわゆる一般市民とみられる人たちだった。それも中高年が目についた。
[共謀罪反対のゼッケンをつけた女性も]
[安倍内閣退陣を求めるプラカードをもった男性]
「宗教団体も憲法改正反対」
集会では、学者・文化人らのトークと野党4党代表のあいさつがあった。トークやあいさつに立った人たちが触れたのは、専ら改憲問題と共謀罪新設問題、沖縄・辺野古の米軍基地建設問題だった。
最初にトークをしたファッション評論家・シャンソン歌手のピーコさんは「この種の集会に参加したのは初めて」と切り出し、「その理由は、自民党の憲法改正草案を見て不安になったからです。そこには、天皇を元首にする、自衛隊を国防軍にする、とありましたから。憲法を尊重すると口では言いながら、現行憲法を守っていないように思われましたね」と話した。弁護士の伊藤真さんは「戦前の旧憲法では、国民は国の主権者でなく、国の道具とされた。教育勅語によって個人は国のために犠牲になれと教えられ、多くの人々が戦争の犠牲となった。そうしたことはもう嫌だと国民がつくったのが今の憲法だ。これをくつがえそうとしているのが、自民党の憲法改正草案である」「安倍首相は憲法改正の機が熟した、なんて言っているが、憲法は政治家のものではない。国民のものだ。憲法をどうするかは国民が決める。それよりも、憲法には、大臣や国会議員は憲法を尊重し擁護する義務を負う、とある。首相の発言は憲法違反だ」と述べた。
野党代表あいさつで最初に登壇した蓮舫・民進党代表は組織犯罪処罰法改正案について「政府は、東京オリンピック・パラリンピック開催のためのテロ対策法案といっているが、これはこれまで3度にわたって廃案になった共謀罪新設法案の再来である。テロ対策でなく、内心の自由を脅かす法案だ」と批判した。
共産党の志位和夫委員長は「憲法が70年間も変えられないできたということ自体素晴らしいことで、憲法を変えようという勢力こそおかしい」と切り出し、「朝鮮情勢を巡り自衛隊の艦船が米軍の艦船を防護するところまてきた。これは極めて重大な事態だ」として、安保法の廃止を訴えた。共謀罪新設法案の廃案も訴えた。
森ゆうこ・自由党参院議員会長は「自民党は、野党時代に自民党改憲草案をつくった。一番の問題は、今の憲法の第97条(基本的人権の保障)を削除したことだ。人権をないがしろにしたものと言ってよい。自民党は最近、改憲にあたっては草案の内容を変えてもいいなんて言い出しているが、野党時代につくったものだからこそ、本音が出ているとみるべきだ。自民党の改憲の誘いに乗ってはいけない」と述べた。
社民党の吉田忠智・党首は、改憲反対、共謀罪新設法案廃案を訴えた。
最後に登壇した米倉洋子さん(共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会)は「共謀罪の創設許さない」と題してアピールを発したが、その中で「共謀罪新設法案の狙いはテロ対策にあるのではない。真の狙いは、私たちの存在をつぶすことです。反政府の運動はつぶされるでしょう」と述べた。集会後、参加者は2コースに分かれてデモ行進した。
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