ファシストの責任逃れを許すな!
- 2017年 8月 2日
- 時代をみる
- 加藤哲郎加計学園安倍
◆2017.8.1 日本の政局は、世論調査の内閣支持率が軒並み30%前後の「危険水域」に入り、メディアで「安倍一強の終わり」が語られ、「Abe is Over」♪という替え歌you tubeが広がっています。その指標の一つ、稲田防衛大臣の辞任は、確かに8月3日といわれる内閣改造以前に実現されました。しかしその理由は、南スーダン派遣PKO日報「戦闘」情報の非公開問題で、しかもそれは陸上自衛隊内部と防衛省内局の情報管理の不具合とされ、稲田大臣の辞任理由は「監督責任」という名の責任逃れです。自衛隊幹部からも愛想をつかされた基礎知識の欠如、靖国参拝、国会虚偽答弁、東京都知事選時の憲法違反の自民党応援演説等々は不問に付され、しかも与野党合意のあった国会閉会時審査からも雲隠れする、逃げ切り作戦です。南スーダンの「戦闘」情報隠し自体、安倍首相と官邸の隠蔽指示を稲田防相 が ぎこちなく演技しただけの安倍マターであるのに、稲田個人の資質や女性であったことに帰されようとしています。安倍首相の語る「任命責任」云々(でんでん、ではない)は、空虚に聞こえます。 8月3日に生まれるのは、「戦争の好きな」♪安倍風「危機管理内閣」でしょう。
◆ファシスト安倍晋三によるオトモダチへの利益供与・公金私消発覚の発端となった森友学園の籠池前理事長夫妻が、補助金詐欺容疑で逮捕されました。だけど♪、最大の問題である国有地の8億円値引きについては、 まだスタートライン。大阪地検特捜部が「アッキード」「日本版チェ・スンシル事件」 に迫れるかは、未知数です。森友より遙かにスケールの大きい安倍「加計ゲート」の方は、週刊誌等がようやく加計学園理事長の実像を追いかけていますが、依然「藪の中」です。文科省のほかに、現在建物工事中の愛媛県今治市からも、さまざまな資料・証言が出ていますが、官邸・内閣府の隠蔽ガードは固く、8月といわれる大学設置審議会の認可判断まで、引きずるでしょう。そこでゴーサインが出て岡山理科大学(加計学園)獣医学部の来春開学が決まるとすれば、疑惑はいっそう深まります。一日も早く、臨時国会で審議されるべきです。
◆獣医学というと、農家の家畜や家庭のペットの診断・治療と思われがちです。 加計問題では獣医師の需要と供給の市場原理が問題にされています。しかし獣医学の発達は、戦争と深いつながりがあります。もともと日本の獣医学は、「犬・猫といった小動物に関する学問の発展は副次的なものでしかなく、本来の目的は明治維新以降における食生活の欧米化に対応した家畜の生産性の向上及び軍馬の生産・疾病予防であった」とウィキペディアにもあります。 私がこの間研究してきた関東軍731細菌戦部隊でも、医学博士と共に、獣医学博士が、人体実験・細菌戦に関わっていました。1936年8月、天皇の軍令により、石井四郎の関東軍防疫給水部(後の731部隊)が発足する際、一緒に出発したのが関東軍軍馬防疫廠 (第100部隊、若松部隊)で、「防疫対策のみならず、敵国の軍用動物や家畜を標的とした攻撃用の生物兵器(細菌兵器)の開発をも進めて」いました。二つの部隊は連携し、細菌兵器を開発し、人体実験もしていました。「敗戦後の1945年8月20日に馬やネズミに細菌を感染させて逃がしています。そのため戦後長春一帯はペストを始めとして色々な病気が流行した」といわれます。米軍に人体実験・細菌戦データを提供して戦犯訴追を免かれた731部隊医師同様に、100部隊の獣医師たちも戦後獣医学会に生き残り、一部は731部隊残党のミドリ十字(薬害エイズの元凶)に潜り込んだといいます。731部隊を論じた拙著『「飽食した悪魔」の戦後』については、「情報収集センター」に特別研究室を設け、「参考文献一覧」、「731医師・医学関係者」名簿、『政界ジープ』暫定総目次、2017年4月9日加藤講演録、刊行後にみつかった誤植・誤記訂正、補足点、書評などを収録しています。アマゾンやお近くの書店で、お求めください。なお、8月26日(土)には、日中戦争80年共同キャンペーン主催で、私の講演会「731部隊・加害者の戦後~隠蔽・復権、政財界での暗躍」が開かれます(18時、文京区民センター2A)。
◆そこから、加計学園の獣医学部創設にも、731部隊とのつながりが危惧されています。荒唐無稽のようですが、実際にバイオハザード(biohazard,生物学的危害)のリスクを伴うウィルス研究施設の建設が進められています。教育をビジネスとしか考えない「腹心の友」加計孝太郎と、「戦争ができる国づくり」を悲願とする安倍晋三の組んだ「悪巧み」ですから、ありえないことではありません。安倍首相が、ゴルフや食事で頻繁に会っていた加計理事長の獣医学部申請を「2017年1月20日まで知らなかった」というトンデモ答弁を含め、安倍首相自身のウソと責任を、徹底的に解明すべきです。もっとも、それを追及すべき野党第一党民進党は、党首不在の分裂状態、「戦争の好きな♪」ファシスト安倍は、その間隙をついて、稲田隠しや内閣改造による危機管理を進めています。憲法改正を含む「戦争のできる国」を諦めてはいません。あわよくば、北朝鮮核・ICBM危機と米国トランプ政権の不安定にかこつけて、支持率回復の情報戦・持久戦を狙っています。「ファシズムの初期症状」は日常化し、「ファシズム前夜」は、なお続いています。「Abe is Over」♪まで、追及を緩めてはなりません。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://netizen.html.xdomain.jp/home.html
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