市民に不忠、政権に忠実な者が出世する社会でよいのか
- 2017年 8月 8日
- 時代をみる
- 醍醐聡
2017年8月7日
近代「法治主義」とは対極の前近代「人治主義」
今日、「朝日新聞ディジタル」に漫画家の倉田真由美さんの次のようなインタビュー記事が掲載された。NHK経営委員に在任中の倉田さんの発言(経営委員会会議録で確かめた限りであるが)はいただけないことが多かったが、この記事の発言は要所を衝いていると感じた。
「籠池氏逮捕、検察の忖度かと…邪推の余地 倉田真由美氏」
(聞き手・阪本輝昭 Asahi Digital, 2017年8月7日11時04分)
http://www.asahi.com/articles/ASK857GGGK85PTIL00Y.html?iref=com_alist_8_04
「・・・・内閣改造で刷新感を打ち出していますが、政権の体質はそう簡単に変わらないでしょう。その象徴が国税庁長官の人選です。・・・・国有地が不当に安く売られたのではないか?という疑念にまともに答えてこなかった官僚を、税金を集める役所のトップに据えたわけです。 今でもこの人事をやり直す姿勢は見せていませんから、政権としては引き続き『忠実な者は守り、批判する者はあっさり切り捨てる』方針なのでしょう。・・・」
要所を衝いているというわけは、安倍政権の、法治主義とは対極の「人治主義」(最近、使われ出した言葉でいうと「縁故主義」)を言い当てているからである。
今、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」が呼びかけている「佐川国税庁長官の罷免を求める1万人署名運動」は、日本社会を、市民に不忠、政権に忠実な者が出世する社会にさせない「静かな市民一揆」だと私は考えている。
佐川罷免を求める署名運動は「公務員は誰に奉仕するのか」を問う運動
署名に賛同された人たちからも、「本当を言えば、糾弾すべきは佐川氏ではなく、安倍首相だ、いや麻生財務大臣だ、いやいや菅官房長官だ」といった意見がある。 佐川氏の責任追及も、証人として国会の場で真実を語るよう求めるやり方、背任の罪を問うやり方など、いくつかある。どれも正当だ。 そうした中で、佐川国税庁長官の罷免を求める署名運動は、
①日本国憲法第15条が定めた公務員の使命に背いた責任、<公務員は誰に 奉仕するのか>を正面から問う。 ②税の元締めが、税のモラルハザードの発生源となっている状況を断ち切 る、
という独自の意味を持っていると私は考えている。 もちろん、佐川氏を罷免させることは、政権に「忠実な者は守り、批判する者はあっさり切り捨てる」安倍・菅体制の前近代的な人治主義、縁故主義に対する市民からの毅然とした反撃にもなるはずだ。
罷免、真相究明、刑事責任の追及はそれぞれ独立
職を辞めさせること(辞めたこと)と、証人として真実を語るよう求めることは稲田前防衛大臣の場合と同様、別個のことである。一方で他方の代わりになるわけではない。 菅官房長官、石井国土交通大臣らは、野党から佐川氏らの証人喚問を求められたのに対して、「目下、検察が調べている最中だから、様子を見守る」と発言した。しかし、刑事責任を問うことと、国政調査権を行使することは別個のことだ。一方で他方の代わりになるわけではない。
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中間点の今現在(8月7日21時11分現在)、2126筆にとどまっている。 署名を済された方も、引きつづき、呼びかけにご協力をお願いしたい。
佐川国税庁長官の罷免を求める1万人署名運動にご協力ください。
・ネット署名はこちらから → http://bit.ly/2uCtQkK
・署名用紙はこちら → http://bit.ly/2ub1F8W
・ネット署名に添えられたメッセージは http://bit.ly/2h5AR94で閲覧 できる。
・問い合わせは → E・メール:moritomosimin@yahoo.co.jp
電話:070-4326-2199(10時~20時)
・ご家族(18歳以上)、お知り合いに呼びかけていただけるとありが たい。 ・ネットでの拡散もお願いします。その場合は資料一式をまとめたこ ちらを → http://bit.ly/2uCtQkK
広島・長崎への原爆投下の犠牲者の方々へ ~私なりの慰霊の気持ちを込めて~
死者は安らかに眠れない 不正義は水に流せない 安直な「和解」は無念の死者への冒涜
やけただれ丸太のごとくならびたる人の死のむれ忘るる日なし 濠内に妻を呼びつつ息たゆる鮮人の声しみて忘れず 親呼びて叫びたらむか口開けしまま黒焦げし幼児の顔 「許させ」と掌を合わせつつ救い呼ばふ人を見過ごし夫護りてゆく 「安らかに、過ちはくりかへしません」という墓碑銘はウオール街にでんと建てよ 生きの身を火にて焼かれし幾万の恨み広島の天にさまよふ (すべて『歌集広島』1954年刊、より)
初出:醍醐聡のブログから許可を得て転載
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔eye4153:170808〕
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