添田充啓(高橋直輝)氏に性被害を受けた女性の告発を受けて
- 2017年 9月 15日
- 交流の広場
- 「ピースフィロソフィー」
沖縄・高江の米軍オスプレイパッド新設に対する反対運動に参加していた、添田充啓(高橋直輝)氏により2014年8月に性的被害を受けた人が、9月3日に告発文をブログで発表しました。このリンクで読めます。
https://jfxaprt17.blogspot.ca/2017/09/blog-post.html?spref=fb
添田氏は、高江で昨年8月25日、沖縄防衛局職員に暴行を加えたという公務執行妨害と傷害の容疑で昨年10月4日に逮捕されて、今年の4月21日まで拘束されていました。現在裁判中です。これについては高江や辺野古の運動で指導的役割を果たしてきた山城博治さんのケースなどと一緒で不当逮捕・不当拘束であり、無罪が勝ち取られるべきものです。しかし添田氏については、過去にこのような性的加害を犯しておいて被害者に誠実に向き合っていないのです。向き合っていないどころか被害者からの連絡を遮断し、現在は「記憶にない」などと言って弁護士から助言を得ながらこの件に責任を取ることから逃げようとしています。本当に記憶にないのなら当初「ごめんね」というメッセージを送ったり、反省の様子を見せたり、不十分とはいえ謝罪文を送ったりするはずはありません。
被害者は添田氏への恐怖から、また、運動に不利になってはいけないという気遣いから、長い間口を閉ざしてきたのです。そのような被害者の心情を思うと、私たち運動側(「現場」や沖縄県内の人たちだけではなく、県外や国外の、高江や辺野古など琉球弧の軍事拡大に反対してきた者たち)はこの件を隠蔽したりうやむやにしたりすることは決して許されず、真正面から取り組むべきことなのではないかと思います。添田氏が、この告発文で被害者が求めるような、被害者が納得するような誠実な対応をしたという報告が被害者自身からあるまでは、添田氏への支援を一切やめるべきだと思います。反差別運動や反基地運動は第一義的に人権運動です。その運動の関係者が人権侵害を行ったまま罪を償ったり制裁を受けたりしないままでいるということを容認したら、それはそのような加害行為がまた起きてもいいと容認していることと同じだと思います。
私は添田さんと直接のつながりはありませんが、添田さんが保釈された日たまたま沖縄にいて、那覇地裁前で拍手で出迎えた群衆の一人でした。その日は山城博治さんご夫妻と会っており、山城さんたちと別れた直後に添田さんが保釈されるという情報が入り、深夜、那覇地裁にかけつけました。私は海外の仲間たちと、添田さんも、山城さんも、同様に不当逮捕・拘束されていた稲葉さんも、同じように支援してきました。だからこそ、この被害者の告発を読んだときに大変なショックを受けました。
私は今のまま添田氏がこの件から逃げ続けている限りは、被害者に連帯し、添田氏を糾弾し続けます。女性の多くは、大小の差はあるにせよ、性被害を人生のどこかで受ける体験をしています(もちろん性被害は女性に限りませんが)。「たかが痴漢」などといって事件を矮小化するような人がいるかもしれませんが、合意ない相手に体を蹂躙されるという体験は被害者に生涯にわたる心の傷を残します。言葉によるセクハラでも傷が長く残ります。このような性犯罪を放置するということは、結局もっとひどい性暴力や強姦を容認することにつながるのです。現に、元TBSの山口敬之氏から強姦されたということを告発した「詩織さん」の一件について法的、社会的正義がもたらされていない状況です。この添田氏の被害者の「ミサさん」についても同じです。ひどい場合は被害者を責めたりする風潮さえあります。
この一件は社会運動の中で起きたことです。このように、反差別、反軍事といった人権を守るための運動の中で暴力、性犯罪、セクハラ、パワハラが起こることはあります。しかしそういうとき、今回のケースのように、被害者は、運動を迫害する者を利するからといって声を上げなかったり上げづらい雰囲気の中で苦しむことが多いのです。しかしそれではいけないと思います。そうやって「正しい」運動をする中で起こる暴力を身内の恥のように思い表ざたにせずに済ませてしまおうという傾向があると、悪事が繰り返される土壌を生み出してしまうのです。
添田さん、もう一度被害者に向き合い、被害者が求める誠実な対応を行ってください。運動のみなさん、この事件を知ってください。知らしめてください。うやむやにしないでください。そして添田さんに正しい行動を求めて、それがされるまでは裁判支援を一切打ち切るという厳しい姿勢を取ってください。それは被害者のためだけではなく、加害者のためにもなることですし、ひいては運動全体のためになることです。
2017年9月13日
乗松聡子
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