ドイツ公共ラジオ放送局 ”Deutschlandfunk (ドイチュランドフンク)”の報道から: 「日本の改憲 – 平和主義との危険な別れ」
- 2017年 11月 3日
- 時代をみる
- グローガー理恵
Deutschlandfunkはニュースや政治/時事解説などを報道するドイツでは人気のある公共ラジオ放送局である。Deutschlandfunkのマーティン・フリッツ日本特派員は「日本の改憲ー平和主義との危険な別れ」と題された報道の中で、「衆院で大勝利をおさめた安倍政権が目指す改憲は、東アジアにおける緊張を危険なやり方でさらに高めていく可能性がある」との警報を鳴らしている。それを抄訳してご紹介させていただく。
「日本の改憲 – 平和主義との危険な別れ」
2017年10月27日
マーティン・フリッツ (Martin Fritz )日本特派員による報道
(抄訳:グローガー理恵)
「衆院選挙大勝利後、安倍晋三首相は戦後に制定された平和憲法を変更したい。これは必ずしも日本が軍事超大国になるということを意味しているわけではない。しかし、この改憲の意図案は、危険なやり方で東アジアの緊張を高めていくという潜在的可能性をもっている」と、マーティン・フリッツ日本特派員は述べる。
10月22日に行われた衆院選挙で選出された議員のうち、その80%以上が改憲を支持している。改憲は、まず何よりも、日本の自衛隊における法的拘束を大幅に緩めるということを意味する。現時点における平和憲法の解釈は、日本の軍隊による武力行使が許容されるのは、日本国領土が直接、武力攻撃を受けた場合のみである、となっている。したがって、例えば、北朝鮮のミサイル基地を先制破壊するようなことは許容されていない。安倍晋三は、そのような拘束制限を解消させたいのである。
安倍は、改憲をなし遂げるまで、北朝鮮や中国に対し強硬路線派としての挙動をとっていくことであろう。国家主義者の安倍首相が必要としているのは、北朝鮮が日本に対して明らかな脅威を示しているというシナリオである。そのようなシナリオがあれば、安倍は改憲の国民投票で勝てるからだ。北朝鮮の危機が緩和すれば、平和主義から告別しようとする日本国民の心の準備が弱まることになるので、これは安倍にとっては不都合なことである。安倍はこのような下心をもって、軍事力行使を含めたすべての選択肢がテーブルの上にあるとするトランプ米大統領の強硬な対北朝鮮政策を全面的に支持しているのである。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4239:171103〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。