安倍首相による9条改憲を許さない - 市民ら4万人が国会を包囲 -
- 2017年 11月 4日
- 時代をみる
- 岩垂 弘憲法改憲
「改憲したがる総理はいらない」「戦争したがる総理はいらない」。日本国憲法公布から満71年にあたる11月3日、市民ら4万人のコールが国会周辺にこだました。「安倍9条改憲NO!全国市民アクション11・3国会包囲大行動」で、参加者たちは安倍首相が推進する「憲法9条に自衛隊を明記する」という企てに反対の声をあげた。
この行動は、この9月に結成された新しい護憲組織「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」と、安保法制の廃止運動を続けている「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の共催。10月22日の総選挙で改憲を目指す勢力が衆院議席の約8割を占めるという憲法をめぐる新たな情勢が生まれてからは、護憲勢力による初めての国会包囲行動だった。護憲勢力としては、新しい情勢に危機感を深め、改憲反対運動を一層強化するためのスターとしたいという思いがあったと思われる。
参加者は主催者発表で4万人にのぼったが、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が安保法の廃案を求めて2015年9月14日夜におこなった国会包囲行動には4万5000人が集まったから、今回の国会包囲行動は、それとほぼ同規模の盛り上がりと言える。
行動は午後1時から始まったが、開会前から国会周辺を歩いて見た。参加者は関東一円からの参加が大半だったが、新潟や静岡からの参加者もいた。印象的だったのは、労組の旗やのぼりをもった人たちの参加が意外と少なく、いわゆる一般市民と思われる人たちの参加が多かったことだ。とくに地域名を明記した「9条の会」ののぼりをかかげた人たちが目立った。それに、明らかに一人でやってきたと分かる市民が少なくなかったことも目についた。
国会周辺のあちこちに立ち尽くし、身じろぎもせず国会正門前ステージから流れる野党代表らのスピーチに耳を傾ける市民たちの表情は真剣そのもので、そこには、安倍首相が「9条に自衛隊を明記する」と公言したことに対する危機感が感じられた。
国会正門前ステージでは、各界の代表がスピーチをしたが、開会あいさつをした「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の高田建・共同代表は「総選挙で与党が3分の2を獲得したが、恐れることはない。ある新聞社の世論調査によれば、安倍政権のもとでの9条改正には45%の人が反対し、賛成は36%だ。これは、戦後70年の間に憲法の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重が市民の中に根付いたことを示している。私たちはこのことに自信をもち、安倍自民党に国会での改憲発議をやめさせるための闘いを進めよう」と訴えた。
立憲民主党の枝野幸男・代表は「安倍政権は選挙で勝ったが、われわれは安倍政権に白紙委任をしたわけではない。まして、9条改定を白紙委任したわけではない。国の政治は政府と民意を車の両輪として運営されねばならない。われわれはこれまで永田町の内側ばかりに気をとられ、外側の動きに気付かなかった。これからは、皆さんと一緒に頑張ってゆく」と決意を述べた。
共産党の志位和夫・委員長は「安倍首相は、9条に自衛隊を明記すると言っている。自衛隊は、安保法により集団的自衛権を付与されたから、もしそんなことになると、海外での武力行使が無制限に拡大されてゆくだろう。憲法を守らない首相に憲法を変える資格はない」と述べた。
今年度のノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の川崎哲・国際運営委員も登壇し、「国連加盟国の3分の2の賛成で成立した核兵器禁止条約に安倍政権は賛成しなかった。このことは、国際社会から批判を浴びている。そのうえ、憲法9条を壊そうとしている。このことも世界中から心配されている」と述べ、さらに「北朝鮮に核開発を止めさせたいというなら、日本政府は自ら核兵器禁止条約に署名し、北朝鮮に核兵器の廃止を迫るべきではないか」と続けた。
韓国・ソウルからの参加者もあった。この春、朴槿恵大統領を罷免に追い込んだ市民運動のリーダーの一人で、スピーチを求められた彼は「9条改定問題は日本国内の問題ではなく、世界的な問題だ。日本国憲法の9条は戦前の歴史の締めくくりとして形成されたもので、その存在は戦後の国際社会を安心させてきた、9条はアジアに平和をもたらした宝であり、世界平和体制の柱だ。9条がなくなれば、日本は普通の国家になるのか。戦前のようなファシズムの国家になる恐れが強い。もし9条が改正されれば周辺国は軍拡を迫られることになるだろう。9条問題は世界にとって重要な問題なのだ」と訴え、参加者から拍手を浴びた。
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