「ああ、民主主義よ」おまえの名を呼ぶ
- 2017年 11月 6日
- 評論・紹介・意見
- 北朝鮮小原 紘選挙
韓国通信NO539
選挙は予想どおり自民党の圧勝に終わった。投票率の低さ、選挙制度、希望の党の旗揚げ騒動などあらためて話する気になれない。
巧妙な小池の「反安倍」の口車に乗り、「踏み絵」までさせられた民進党議員の姿は哀れだった。わが国の民主主義はこの程度のものだったのか。喜劇的悲劇、悪夢を見た思いだ。
民進党の解体騒ぎをよそに安倍首相らは「愛国者」のように振る舞い支持を訴えた。テレビは連日、北朝鮮のミサイル発射の映像を繰り返し見せつけて争点隠しの安倍を援護射撃した。
<北朝鮮は本当に脅威なのか>
「脅威」を叫び続けた首相の底意は見えみえだった。
「秘密保護法」「戦争法(安保法制)」「共謀罪」など憲法を蹂躙した悪法の山。国会軽視。辺野古に執念を燃やす露骨な対米従属。森友・加計問題でわかった国政の私物化。安倍首相は北朝鮮の脅威、国民感情を煽ってすべての問題を棚に上げた。北朝鮮の政治利用はこれにとどまらない。自衛隊が心おきなく戦えるように9条改憲まで言いだした。「金正恩サマサマ」と麻生副総理が本当のことを語った。
「国難」という言葉に込めた首相の狙いは、ズバリ、国家の存亡の時期には民主主義、平和憲法など「くそくらえ」ということだ。安倍政権のファシズム体質丸出しの選挙だった。
選挙が終わり、選挙期間中繰り返し聞かされた「脅威」は聞かれなくなったが、問題は何も解決していない。煽るだけ煽って解決の糸口は見いだせないままだ。
一体あの騒ぎは何だったのだ。
<安倍首相、アナタこそ「国難」だ>
問題の本質は北朝鮮とアメリカとの争いに日本が当事者になりたがっていることだ。ここに至る経緯はきりがないのでやめておくが、ともかく「平壌宣言」は日朝両国政府が現在も「有効」と認めている。将来友好国となることを誓ったわが国は、アメリカと北朝鮮の間に入って、「仲良くしろ」「トバッチリはご免」と両国に言える立ち位置にある。口先だけの仲裁役は中立でなければ信用されないのは当然だ。中立国としては米軍基地の使用を断わればすむという単純明快な話である。アメリカと一緒になって戦う姿勢を見せる安倍首相が「国難」を呼び込んだ。まさに「自作自演の国難」である。朝鮮半島と日本で何が起ころうと所詮アメリカにとってはFar East(極東)の出来事に過ぎない。アメリカまかせにしない独自の「平和攻勢」は可能だ。このような議論ができないのか、しようとしないのか不思議だ。
政府は国連安保理が制裁決議を全会一致で可決されたため、「制裁」こそが唯一の解決策と考えているようだ。しかし「制裁」は北朝鮮の核実験に対する非難と制裁であり、あくまでも平和的解決を求めるものだ。トランプ大統領の好戦的姿勢とそれに同調する安倍首相は世界の常識、趨勢からあまりにもかけ離れている。国際平和と安全を求める国連に対する両首脳の理解不足が際立つ。対決一辺倒では戦争になることをどの国も知っている。選挙に使った「目くらまし」。安倍首相が盛んに叫んだ北朝鮮の「脅威」とは一体何だったのか。脅威解消のために具体的に何をしようとしているのか。説得力のある策は何も示されていない。わかっているのは「トランプ大統領と一体」という、危険であなたまかせの方針だけ。トランプの言動の「怪しさ」は全世界が認めるところ。大統領の「お友だち」を自慢する安倍首相は、国際的に見ると、悪友と付き合って自国民を戦争に巻き込む愚か者に見えるはずだ。
来月に予定されるトランプ訪日で「対北作戦会議」にあわせてゴルフが予定されている。米韓による空と海の封鎖に自衛隊が加わり一触即発の事態がと報じられるが、ゴルフをするゆとりはあるらしい。これだけ国内外に不安をまき散らしながら何とも人を喰った話ではないか、トランプ、安倍の真意がどこにあるのか疑う人も多い。世界は戦争を望まない。そして安倍もトランプも同じことを言うに違いない。二人の「ウソ」を冷静に見抜くことが私たちに求められている。
アメリカの「核」の傘を理由にわが国は核兵器禁止条約に「反対」した。わが国は北朝鮮の核保有を非難する資格があるのか。よい核兵器と悪い核兵器なんてあり得ない。わが国がすべきことは条約に加入すること。北朝鮮を始めすべての核保有国に核廃絶を求めるべきではないか。
「国民の財産といのち」を守ると訴えながら福島原発被災者は切り捨て。原発の輸出。原発再稼働。わかりやすい安倍首相の「ウソ」にこれ以上付き合ってはいられない。
<双葉町民の選択と苦悩>
福島県の双葉町から届いたメールマガジンに驚いた。双葉町は原発事故で町民全員が避難している(2016年2月現在もほぼ全域が「帰還困難区域」)。町民は故郷を失ってなお復興を願う「流浪の民」の苦しさのなかにある。震災後の一時期、町役場ごと埼玉県加須市にある廃校(旧埼玉県立騎西高等学校)に多くの住民が避難した。学校の教室や体育館に仕切りをつくって不便な暮らしを余儀くされている町民と話をする機会があった。口々に生活の苦しさを語り、井戸川町長(当時)の政府と東電に騙されたという天を衝くばかりの怒りが今も忘れられない。
登録人口6千人ばかり。町役場が発表した選挙結果は以下のとおりである。 2500人余りの有権者たちは双葉町の復興を願って投票したはずだが、原発事故を起こした自民党に期待を寄せていることがわかる内容だ。原発事故被災者の切り捨て、再稼働をすすめる自民党に寄せる期待とは何か。事故から7年目を迎える双葉町町民の複雑な思いと困難さを私たちは理解できているのか。それを考える資料として紹介する。
平成29年10月22日執行の衆議院議員総選挙の双葉町選挙区における投票及び開票の結果をお知らせします。
選挙当日の有権者数
投票結果
※最高裁判所裁判官国民審査投票率:47.87%(前回42.73%) 開票結果 [衆議院福島県小選挙区選出議員選挙]
[衆議院東北選挙区比例代表選出議員選挙]
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