安倍内閣の支持率はなぜ高いのか(10) ― 「死の商人」を歓迎する日本は嘲笑の的なのに ―
- 2017年 11月 15日
- 時代をみる
- 半澤健市安倍
ドナルド・トランプ米大統領は訪亜外交の途次にある(2017/11/12現在)。
大統領選挙以来、トランプは商売人で、政治も「ディール(取引)」だと考えていると報
道されてきた。その通りだった。
《死の商人としてのトランプ「外交」》
日本と韓国に対しては、北の「ならずもの国家」を材料に、商品の売込に専念し成功し
た。彼のトランクには何のカタログが入っていたのか。「防衛装備」のそれである。
「防衛装備」とはなにか。「武器、つまり人殺しの道具」のことである。
トランプ政権の主要閣僚は、金融企業家と軍人である。その後ろに金融資本と軍需産業が
ある。彼の成功は、それらの産業の繁栄に寄与する。米国軍需株は平均株価以上に上がっ
た。今回、トランプは「死の商人」として外交しているのである。
トランプ外交の成功は、論理的には「アジア人同士の戦い」へとつながる。勃発せずとも
アジアでの緊張の高まりには確実につながる。トランプは、(戦争は米国ではなく)「あっ
ち」で起こると言った。「あっち」とはアジアのことである。
《アメリカ人よりアメリカ人な人物》
米国内でトランプ政権への支持率は30%台、不支持が50%を超えている。トランプ
留守中に行われた米二州知事選とNY市長選で国政野党の民主党が勝利した。NYタイム
ズは「有権者は、移民と犯罪を結び付ける挑発的な訴えを拒絶した」と報じている。
安倍晋三首相はトランプを100%支持している。日本の首相はアメリカ人よりもアメリ
カ人である。
トランプは、治外法権の横田基地に降りたち横田基地から飛び立った。ゴルフと食事
を接待してくれた上、シンゾーは「人殺しの道具」を積極的に買ってくれる。二人でみん
なの前でそう発表した。この同盟国なら国会議員への演説は不要だ。
「おもてなし」を好きな日本メディアは、ゴルフとキャップ交換と四回の会食メニューと
メラニアの服装だけを報道し、安倍外交は成功したといっている。英米の有力紙は安倍の
隷従振りを嘲笑している。
《「パールハーバーを忘れるな」へ一矢》
トランプ発言に一矢を報いた一人の日本人がいた。
女優吉永小百合である。吉永は、11月5日の「第五福竜丸建造七〇周年記念特別展」の
会場で、同日のトランプ来日に関して問われ、次のように話した。
■「パールハーバーを忘れるな」とおっしゃったみたいですけど、私たちは、やっぱり広
島、長崎、第五福竜丸のこと、(11年の東日本大震災によって福島第1原発事故が発生
した)福島のことを忘れないでいましょうって、今日は言いたいですね。(『日刊スポー
ツ』紙、2017年11月05日)
私は山田洋次・吉永小百合の優等生コンビを揶揄したこともある。
しかし歓迎ムード一色のなか、この吉永発言を評価したい。そして安倍内閣の支持率はま
だまだ高い。(2017/11/12)
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