1/20第304回現代史研究会:「今日もなお徘徊する亡霊たち-731部隊の戦後史」
- 2017年 12月 16日
- スタディルーム
- 研究会事務局
第304回現代史研究会
日時:1月20日(土)午後1:00~5:00
場所:明治大学駿河台校舎・リバティタワー7階1076号教室
テーマ:「今日もなお徘徊する亡霊たち-731部隊の戦後史」(仮題)
講師:加藤哲郎(一橋大学名誉教授)
参考文献:加藤哲郎著『「飽食した悪魔」の戦後-731部隊と二木秀雄「政界ジ―プ」』(花伝社2017.5刊)
731部隊とは…
731部隊の隊員数は、3560名。「部隊の正式な解散命令はいまだ出されていない」といわれる。石井四郎(最高責任者、軍医中将)の厳命により、彼らの間には次の三つの掟が課せられていた。
一、郷里へ帰ったのちも、731に在籍していた事実を秘匿し、軍歴を隠すこと
二、あらゆる公職につかぬこと
三、隊員相互の連絡は厳禁する
そして、およそ「口止め料」であるとしか思えないのだが、戦後、731部隊隊員には(全員ではないが)その階級に応じて「退職金」が支払われているという(本書234頁以下参照)。
「関東軍731部隊は、もともとソ連との戦争を想定して細菌戦研究・実験を進めてきた。しかし実際には、ソ連軍との戦闘が開始されて真っ先に敗走したのが731部隊関係者であった。それは石井四郎と731部隊の独断ではなく、関東軍の命令によってでもなく、『内地』の参謀本部からの特別の指令によるものである。731部隊は、石井四郎の発案とはいえ、日本帝国陸軍の正規の部隊だった。」(p.78)
また「米国にとって、731部隊は、細菌戦部隊であるとともに諜報部隊でもあった。」(p.191)ことにも注目したい。
この日本軍細菌戦部隊(通称731部隊と呼ばれる、石井四郎軍医中将を最高責任者とする関東軍防疫給水部)の犯罪性を戦後いち早く暴露し、全国に衝撃を与えたのは、作家森村誠一の実録『悪魔の飽食』(1981)である。
「平時の自国ではおおむね平凡な市民で(あり)、家族を愛し、社会から分担された仕事を受け持ち、責任と常識を弁えた善良なる小市民」による、これ以上考えられないほどの残虐非道な戦争犯罪を赤裸々に告発したのがこの森村の書であった。
参加費:資料代:500円
連絡先:090-4592-2845(松田)
顧問:岩田昌征、内田弘、生方卓、岡本磐男、田中正司、西川伸一(廣松渉、栗木安延、岩田弘、塩川喜信)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔study920:171216〕
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