SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】239 ジンバブエ新大統領が西サハラ全面支援!
- 2017年 12月 18日
- 評論・紹介・意見
- サハラジンバブエ平田伊都子西サハラ
2017年12月13日、ジンバブエ新大統領から、SADRサハラ・アラブ民主共和国は独立運動に向けての全面的支援を再び勝ち取りました。 アフリカ南部にあるジンバブエでは、世界最高齢(93才)で37年間国家を指導してきたムガベ氏の辞任後、エマーソン・ムナンガグワ氏が11月22日、新大統領に就任しました。 ジンバブエ独立の創設者であるムガベ氏は、37年間変わらずに西サハラの独立運動を支援し続けてきました。 モロッコは政権交代で、ジンバブエの心変わりを期待したようです。が、、 新大統領も、変わらず西サハラ支援を宣言しました。 モロッコの暗躍外交とこの喜しいニュースをお届けます。
(1) モロッコ皇太子をワン・プラネット(惑星)・サミットに:
「ワン・プラネット・サミットで一番若い参加者」というタイトルでパリ・マッチのグラビアを飾ったのは、モロッコ国王モハンマドⅥ世の長男ムライ・エルハサン皇太子14才だった。ヒョロヒョロと鉛筆の様にひょろ長い王子様は、アフリカの金さんと異名を取るモロッコ国王陛下、国連事務総長グテーレス、国際原子力機関 (IAEA) 事務局長天野之弥、フランス大統領夫人ブリジットと一緒に、12月12日パリのエリゼ宮入口での記念写真におさまっていた。お父さんのモロッコ国王は若い息子を使って、国連事務総長をまんまと写真に取り入れ、ゴシップ雑誌のパリマッチに売り込んだ。モロッコが得意とする王室ネタは大成功した。
ワン・プラネット・サミットは、フランス、国際連合、世界銀行、NGOなどの共催により「気候変動問題に手を携えて具体的に行動するため、一致団結すること」を目指して、パリ西郊のラ・セーヌ・ミュジカルで派手に開催された。フランスが主導するCOP(国連気候変動枠組締約国会議)を脱退した米大統領トランプの心変わりを煽ったが、失敗した。モロッコは2016年COP22をマラケシュで請負い、今回のワン・プラネット・サミットにフランスから招待された。
(2)星の王子様をモロッコ・サハラ宣伝に:
ヒョロヒョロしたハッサン・モロッコ皇太子は、どこか<星の王子様>に似ている。
12月12日のMWN(モロッコ・ワールド・ニュース)が「12月18日、パリのアラブ世界研究所で、<アントワーヌ・サンテグジュペリと砂の知恵>という題で、イベントを開催する」と、発表した。日本でもファンの多い<星の王子様>の作者、フランスの郵便飛行士サン・テグジュペリ(1900~1944)は、西サハラの砂漠からインスピレーションを得て書いたといわれている。<西サハラ>という名称を拒否するモロッコは<南サハラ>と勝手に変名し、サン・テグジュペリ若者財団やモロッコ国立人権委員会やブクラ・リン鉱石財団などを巻き込み、<星の王子様と南サハラ><モロッコ・ハサニヤ伝統文化>のイベントを企画した。その心は、西サハラ文化横取り、、ハサニヤは西サハラ民族の元祖で、イエメンから流れてきた部族だ。モロッコ人ではないしモロッコとは関係ない。伝統文化を略奪し歴史を捻じ曲げるのは占領者の常套手段だ。パレスチナ文化をユダヤ文化に挿げ替えるイスラエルを見よ!騙されちゃ駄目よ!!
(3)モロッコの武器購入額はアラブ圏でNO 3:
12月12日、MWN(モロッコ・ワールド・ニュース)が「フランス国防省発表では、モロッコによるフランスからの武器購入はアラブで三番目、世界で5番目」という見出しで、モロッコの軍事力を自慢した。MWNによると、アラブ世界でのモロッコのフランス武器購入額は,エジプト、UAE(アラブ首長国連邦)に続いて3番目だそうだ。2016年のマグレブ諸国では、モロッコの武器購入額は127,000,000ユーロで、アルジェリアに19.000,000ユーロの差をチュニジアには104,000,000ユーロの差をつけている。但し、アクバル・アルヤウン紙が「2016年武器市場でのフランスの売り上げは世界で5%、アメリカは57%」と、発表している。モロッコは何のために武器を買うの? モロッコってそんなにお金持ち? 武器購入の財源は? 国民が貧しくても武器を買い漁るモロッコ国王を、<アフリカの金さん>と呼ぶ人がいるようです。
(4)11月13日、ジンバブエ新大統領の支援取り付けた!:
2017年11月21日に最長で最高齢のアフリカ・ジンバブエ大統領が辞任して三日後の11月24日、新ジンバブエ大統領が誕生した。
モロッコ通信社のMWNが、「水曜日(11月13日)に新大統領が、西サハラ大統領(自称)ブラヒム・ガリ特使でポリサリオ戦線メンバーのモハンマド・ジェスラム・ベイサットを迎えた。そしてムナンガグワは<わが国は全面的な支援と連帯を堅持し、アラブ民主共和国とジンバブエ共和国の絆そしてジンバブエアフリカ民族統一戦線とポリサリオ戦線の絆は、より一層強固なものになると>と、発表した。
一方、西サハラ通信社のSPSは、「ジンバブエ新大統領エマーソン・ムナンガグワは、祖国独立に向けて闘う西サハラ人に変わりない支援と共闘を約束した」と、発表した。さらに、「水曜日に新大統領から暖かい歓待を受けた西サハラ大統領ブラヒム・ガリ特使でポリサリオ戦線メンバーのモハンマド・ジェスラム・ベイサットによると、新大統領がジンバブエとSADRの揺るぎない連帯を確約した」と、言及している。
MWNもSPSも、ジンバブエ・ニュース<ザ・ヘラルド>の報道を転用している。
「ジンバブエ新大統領が西サハラ全面支援!」と、モロッコ側も西サハラ側も同じニュースを流しました。そして、モロッコにとって悔しい、西サハラにとって喜しい、仕掛け人がベイサットだったことも、発表しました。 ベイサットとは、2011年5月に日本の石巻被災者を見舞った、あの、日本の友人ベイサットです! 外務省から外されていたベイサット、、やっぱりベイサットの真価が発揮できるのは、外交闘争です。
写真を2枚、添付しました。
①石巻被災地避難所のベイサット(右端)、②ジンバブエ新大統領と会見するベイサット
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2017年12月18日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7198:171218〕
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