集団主義は諸悪の根源であるのか?
- 2017年 12月 24日
- 交流の広場
- 箒川兵庫助
藤澤豊氏の力強い『諸悪の根源は集団主義』を拝読した。ほとんど同感である。しかし『諸悪の根源である』というのは,当たっていないような気がする。
競争的集団主義もあるし,そうでない集団主義もある。競争的な個人主義もあるし,そうでない個人主義もある。日本は競争的集団主義傾向の強い国である。
集団主義が『諸悪の根源である』とすると,個人主義は悪をもたらさないということになるが,本当かどうか。
ところで評論家の故加藤周一氏は「アメリカ南部とイタリア南部と日本」が社会構造的にみて似ている面があると指摘されている。
しかし藤澤氏が比較しているのはアメリカの一部であり,日米だけである。これでは標本としては少ないのではないだろうか。つまりせめて欧州やラオスや南洋あるいはアフリカの集団主義を比較検討しないと,集団主義が『諸悪の根源』であるかどうかはよく分からないのではないだろうか。
今,シリアのISISを支援しリビアを破壊し,ユーゴスラビアを解体し,イラクを解体しソマリアを侵略してきたのはアメリカを中心とする個人主義の欧州列強でありイスラエルである。これらの国が集団主義であるとはとても思えない。
他方,ISISを資金面で支えてきたのはサウジアラビアやカタールなどの湾岸諸国である。これらの国々は宗教の力の強い国々であるが,集団主義だからISISを支援したといえるのかどうか。
アメリカ合衆国は全体として個人主義の国であり,南部は日本の集団主義に似ている諸州がある,という程度ではないだろうか。
いずれにしても小生が現在関心があるのは日本的集団主義がどこから来たのかということである。
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。