大阪地検はすみやかに財務省、近畿財務局の強制捜査に踏み切れ!~1.26院内集会での私の発言原稿~
- 2018年 1月 27日
- 時代をみる
- 醍醐聡
2018年1月26日
今日、森本学園問題の地元、大阪府豊中市の市民グループ(森友学園問題を考える会)の主催で、森友/加計問題の徹底追及をアピールする集会が衆議院第二議員会館で開かれた。私も呼びかけ人の1人になっている「森友・加計学園の幕引きを許さない市民の会」も主催者の呼びかけに応えて集会に参加した。
22日に開会した国会では森友問題も代表質問で取り上げられ、まもなく両院予算委員会などで質疑が交わされることになっている。そのような状況から、会場の第一会議室には次々と参加者が詰めかけ、開会時には立ったままの参加者も出て、主催者の発表では200人、それと両院国会議員・秘書40名が駆けつけて、次々とあいさつがされ、会場は熱気に包まれた。
集会の動画(全編)約1時間50分30秒
https://www.youtube.com/watch?v=uOIWjA5SkdU
01:05~11:15 主催者あいさつ 木村 真
(森友学園問題を考える会)
11:35~22:45 森友問題 論点整理 醍醐 聰
(森友・加計問題の幕引きを許さない市民の
会)
23:40~46:00 国会議員スピーチ
46:48~51:02 森友問題 論点整理 醍醐 聰(続き)
51:15~1:02:02 田中正道・藤田景崇
(森友・加計告発プロジェクト)
1:02:25~1:09:08 八木啓代
(健全な法治国家のために声を上げる市民の
会)
1:09:10~1:15:25 黒川敦彦
(今治加計学園問題を考える会)
1:19:40~1:38:40 国会議員スピーチ
1:41:25~1:50:25 まとめの発言 山本一徳
(森友学園問題を考える会)
以下は、私が発言した「森友問題 論点整理」の読み上げ原稿である。
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1/26院内集会 発言原稿
醍醐 聰
(森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会)
皆さん、こんにちは。「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の呼びかけ人の1人、醍醐聰です。持ち時間が限られていますので、今日の集会の切り口に沿って、「誰に」「どういう責任を」とらせるべきなのか、について単刀直入に発言したいと思います。順序ですが、立証の手順にしたがって、問題の現場に近い人物から順次、ボトムアップで考えていきたいと思います。
近畿財務局幹部の背任は動かぬ証拠がある
となると、最初は、近畿財務局の幹部の背任の問題ということになります。ただし、刑法でいう「背任」とは、結果として、国有財産を適正な価格から反れた金額で売ったというだけでは足りない、適正な対価でないことを十分、認識したうえで、この場合は森友学園に利益を得させ、国民の財産に損害を与えるという「故意」が立証されなければならないとされています。では、森友との交渉に当たった近畿財務局の責任者に「故意」はなかったのでしょうか?
去年の8月1日に関西テレビが報道した音声テープによれば、籠池理事長が「ぐーんと下げな、あかんよ」と求めたのに対し、近畿財務局の国有財産統括官の池田靖氏とみられる人物は「理事長がおっしゃるゼロ円に近い金額まで私は努力する作業を今やっています」と発言しています。ここで言うゼロ円とは、森友学園が支払う国有地の買い値を、森友学園が国から受け取る有益費1億3200万円に近づけて、差し引きで森友の負担をゼロにするという意味です。
しかし、森友学園が賃借中に国に代わって行った埋設物の撤去費用とその土地を買い取る時の価格をいくらにするかは全く別問題です。両者を均衡させないといけないという理屈はどこにもありません。ですから、国有地の売値を有益費に近づけるよう努力するという発想自体が背任の入口です。
さらに、昨年8月3日の「報道ステーション」が伝えた交渉メモによれば、近畿財務局の担当者は、「調査ではわからなかった内容で土地の瑕疵を見つけて価値を下げていきたい」と発言しています。
「努力中」とか「下げていきたい」・・・・こういう言葉は、適正な時価でないことを承知の上で、というより、自ら、適正な時価からそれる方向へ売値を誘導していったことを物語る確かな証拠です。これが「故意」でなくてなんでしょうか?
言い逃れの余地がない佐川前理財局長(現国税庁長官)の虚偽答弁
次は、当時の財務省理財局長、今の国税庁長官の佐川宣寿氏です。佐川さんの場合は、平たく言えば、国会でのウソの答弁、正式には証拠隠滅、あるいは公文書遺棄の罪で3つの市民グループから刑事告発されています。私たち「幕引きを許さない市民の会」もその一つです。
佐川さんは、昨年3月15日に開かれた衆議院財務金融委員会で、「価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方から幾らで買いたいといった希望があったこともございません。」と答弁しました。これがうそだったことはもう説明する必要がありません。
国会は寝言を吐く場ではない
~「金額」と「価格」を使い分けた太田現理財局長の珍答弁~
ところが、佐川さんの後任の太田充理財局長は、「金額の話しはした、価格も話題になった、しかし売却価格の話しではない、予定価格だ」という趣旨の答弁をしました。
では予定価格とは何でしょうか? 池田靖さんがそこへ近づけるよう「努力中」と言った1億3200万円のことと思います。それだったら、実際の売値と200万円しか違いません。そもそも、予定にしろ、実際にしろ、金額でない価格などありません。 国会は寝言を吐く場ではない!
麻生大臣の責任が問われて当然
次は麻生財務大臣です。麻生さんは2017年3月8日に開かれた参議院本会議で、「本件につきましては、・・・・国有財産法等の法令に基づき適正な手続、価格によって処分されたものであり、問題はないと考えております」と答弁しました。
また、佐川理財局長の国会答弁に反して、近畿財務局と森友学園が売値をめぐってすり合わせをしていた生々しい音声テープが報道された去年8月1日、麻生さんは報道陣に向かって、「取材が正しいと思ったことはありません。私は自分の部下を信じています」と発言しました。
しかし、会計検査院は適正な手続き、価格による売却ではなかったと指摘しました。
ここに至って、麻生さんは部下の虚偽の報告を丸受けして、国会でデタラメな答弁をしたことがはっきりしました。となれば、佐川氏を直ちに罷免する、その上で自らも、国有財産を所管する行政のトップとして引責辞任する――麻生大臣に残された道はこれしかありません。
安倍首相の手のひら返しの保身答弁
最後は、安倍首相です。安倍首相は昨年3月6日の参議院予算委員会で、こう答弁しました。
「・・・ごみが入っているから一億数千億円、一億数千万円になっていたわけでございまして、それを、それを、それを何回も何回もそこでやり取りをしているから、これかなり単純なことではないかということを申し上げたわけでございます。・・・・」
何を言っているのか、わからないのは私だけではありませんでした。山本一太・予算委員長も、たまりかねてというべきか、「安倍総理に申し上げます。質問に対して的確にお答えをいただきたいと思います」と注意しました。
ところが、会計検査院が、価格の算定は適切ではなかったと指摘した途端、安倍首相は、手のひらを返すように、去年11月28日に開かれた衆議院予算委員会で、こう答弁しました。
「私は、価格が適正だということは申し上げたことはございません。私自身が申し上げたことは、理財局も、そして当然近畿財務局も、法令にのっとって国民の財産である国有地を正しい適切な価格で売買をしているんだろう、このように私は信頼をしているところでございます。」
会計検査院の指摘によっても適正な価格でなかったことがダメ押しされたこの期に及んで、なお、「正しい適切な価格で売買しているんだろう、と信頼していた」なんて、一国の首相が他人事のようにシレッと言っていていいんですか! 「丁寧な説明」とは真逆の、こんな見苦しい責任のがれの答弁は許されない!
「ごみがごみが」と連呼する安倍首相の不勉強丸出しの答弁
それにしても、安倍首相が「ごみが、ごみが」と連発し、「ごみが見つかったからディスカウントするのは当たり前だ」と自信ありげに発言しましたので、ファクトチェックをしておきます。
地下で「ごみが見つかった」としても、だからディスカウントするという議論は、ちっとも当たり前ではありません。それどころか、類似の判例を少しでも調べれば、そういう議論は間違いだということがすぐ、わかります。
そもそも「ごみ」=「瑕疵」と単純に言えるわけではありません。「地下埋設物」が瑕疵にあたり、値引きなり、賠償なりをしなければならないのは、埋設物が工事の支障になる場合です。大量の土間コンクリートや基礎コンクリートなどがその代表例です。そのままにしておいても工事に支障がないような地下埋設物なら、瑕疵にあたらないというのが定着した判例です。
では、森友学園が買った土地はどうだったでしょうか?
国交省の説明資料によれば、地下3.8mから9.9ⅿの間にあったと言われる埋設物はビニール片、生活ゴミ、そして昭和40年代に投棄されたと推定される廃材です。これが工事の支障になるわけがありません。現に、国交省航空局長の佐藤善信氏も「工事に支障はございません」と答弁しました。
森友学園も値引きの対象になったごみに手を付けることなく校舎の建設を終えていました。
不動産鑑定士も疑問視
これに関連して、もう一つ、私の知見をお話しします。あの国有地の鑑定評価を行った不動産鑑定士は、会計検査院の聴き取り調査に対して、8億2000万円とされたごみ撤去費用の中には、「依頼者側の推測に基づくものが含まれ、調査方法が不動産鑑定評価においては不適当」と答えています。会計検査院の報告書の111ページをご参照ください。
そして、この不動産鑑定評価書には、「地下埋設物を全て撤去することに合理性を見出し難く、正常価格の観点から逸脱すると考えられる」と書かれています。
以上のようなファクト・チェックから言えば、ごみが見つかったから値引きするのは当たり前、なんて無造作に国会で答弁するは不勉強丸だしの恥ずかしい答弁です。
野党議員の皆さまにも要望します。安倍首相のこんな稚拙な答弁をまかり通らせないよう、入念な調査、質問準備をしていただきたい。
「妻は騙された」?
さきほど、「最後は安倍首相」と言いましたが、もう一人、責任を問うべき人がいます。安倍昭恵さんです。
安倍首相は去年の10月11日に「テレビ朝日」が放送した党首討論会で、森友学園が開校準備を進めていた小学院の名誉校長に昭恵夫人が就任したのは、「妻が〔籠池さんに〕騙されてしまったのだろう」と発言しました。
騙された? 本当でしょうか? 簡潔に確かめてみます。
昭恵さんは2015年9月5日に森友学園の塚本幼稚園で講演をした中で次のように話しています。
「名誉校長、私でいいのかしらと思いますけれども、籠池園長先生、副園長先生の熱い熱い国に対する、教育に対する思いのお手伝いをできればと思っているところでございます。」
そして、昭恵さんは、講演から帰られたその日のうちに、ご自身のフェースブックに次のような書き込みをしています。
「大阪の塚本幼稚園にて講演。園児たちは大変お行儀が良く元気です。毎朝、君が代を歌い、教育勅語、論語、大学を暗唱」
これで、どこか騙されたのでしょうか? 昭恵さんは、塚本幼稚園が教育勅語を使って、忠君愛国の教育をやっていることを百も承知の上で、この幼稚園、そして森友学園にすすんで肩入れしようとしたとしか、思えません。
その昭恵さんは、一時期とはいえ、自分が名誉校長に就任していた学園の理事長夫妻が逮捕され勾留されている最中に、事件には口をつぐんだまま、「辛い1年だった」なんて、まるで犠牲者のようなセリフを吐いて、シャアシャアと各地を出回り、時には集まった人とハイタッチをして、はしゃいでいるのはどういうことでしょうか?
昭恵さんは、本来は国会の場で証言するのが筋ですが、その前に、あるいは最低限、報道関係者の会見に応じ、100万円の寄付の真偽などを説明するべきです。
まとめのアピール
最後に、私のまとめのアピールをしたいと思います。
*大阪地検はただちに財務省、近畿財務局の強制捜査に踏み切れ!
*麻生財務大臣は佐川国税庁長官を確定申告が始まる2月16日までに罷免せ
よ!
その上で、自らも国有財産を所管する財務省のトップとして、職員に無
理難題を押しつけ、納税者の信頼を失墜させた責任を取って、すみやか
に辞任せよ!
*安倍首相は、自らの妻が名誉校長を務めた学園に対し、財務省、国交省
職員に数々の便宜を図る忖度をさせた責任、その結果、1年間にわたっ
て国政を混乱させた責任を取って直ちに辞任せよ!
以上です。
初出:醍醐聡のブログから許可を得て転載
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4288 :180127 〕
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