氷点下の夜 -新宿連絡会おにぎりパトロール
- 2018年 2月 2日
- 評論・紹介・意見
- ちきゅう座会員村尾知恵子
数年ぶりの大雪で、28日日曜日の新宿駅周辺の路肩にもたくさんの雪だまりがつくられていた。天気は良いが寒気が肌を刺しヒリヒリする。新宿連絡会は、毎週日曜日の夕方に野宿者のところへ出かけいく「おにぎりパトロール」をしている。おにぎりとチラシを渡して、どうですかねと声掛けをしている。おにぎりは相手との関係をつなげてくれる。生きていく上で少しでも多くの頼れる先を作ってほしい。困った、どうしよう、そんな時は連絡してください。福祉事務所へ、連絡会へと。
2002年ホームレス自立支援法が成立、それから2回延長(2017年から10年延長)された。公園からテントが無くなり野宿者の数は確かに減少したが、高齢化、長期化という困難な状況は一向に解決されない。またネットカフェに長期間滞在する、住居の無い多くの若者たちの事も気掛かりだ。(2016年に東京都が実施した、ネットカフェなど222店の調査によると1日あたり約4000人のネットカフェ難民がいると推定される)
以下は、当日手渡したチラシの写真と、内容の書き起こしである。ルビは省略した。
『氷点下の夜』
寒気は、そのまま居座るようです。寒さの底は一端緩んでも油断はせぬよう。寒さ対策をとにかく守り続けよう。
仲間たち。
4年ぶりの大雪、48年ぶりの氷点下4度、33年ぶりの低温注意報、などなど、記録づくめの厳冬期である。東京の区部が大騒ぎになる程、いつもなら引っ込んでいる冬将軍が、今年は何故か頑張ってしまって、結構張り出して来ているようである。なので、なかなか平年並みにもならず、気温も低いまま2月も推移するようである。「異常天候警戒情報」なども出ており、寒さのピークが未だ分からぬようでもある。再度の大雪、再度の氷点下4度も有りうるかも知れないので、とにもかくにも、そのつもりで冬場の生活を保って行かねばならない。
まあ、何年ぶりとか言っても、その頃は暖房器具が乏しい中、からっ風、隙間風の中で「今年はヤケに寒いな、馬鹿やろ!」と、生きてきたのが東京の人々である。経験があれば、人間はそんなにヤワではない。しかも、今は寒さを凌ぐ手段は色々とある。しばらく、この冬らしい寒さと付き合っていこう。
もちろん、注意しなければならないのは、あまりにも低温の時に、冷たい場所で横になっていたら、冬山の遭難と同じようになってしまうことである。「凍死」というのは久しく聞かなかったが、氷点下ともなると、これも現実のものとなっている。特にお酒などで身体を暖めてから、そのまま、気持ち良く「ごろり」となってしまうと、装備がしてあったか、なかったかで、生死を分けてしまう。酔いがさめた時はガタガタ震えと、なってしまうし、立ち上がる気力さえ奪われてしまえば、そのままと、云うこともあり得る。
お酒をあまり飲まなくとも、装備があまりない仲間は、眠れなくとも、暖かい場所に避難する、もしくは身体を動かし続けるのが正解である。身体を暖める小金すらないのであれば、これは、福祉事務所にかけつけ、福祉でも、自立支援でも、なんでも良いから、どこかに泊めてくれと、相談に行くことである。かつてあった23区対策の「厳冬期宿泊」なんてものは、こういう必要な時にはタイミングが悪くもうないのであるが、その代わり年中やっている短期宿泊が、かなり満室状態であるが、新宿区にはあるにはある。この寒さの中、自分の生活が出来ない仲間は、とにもかくにも昼間、暖かい内に相談である。
毛布は、高田馬場事務所には、まだまだ沢山あるので、装備が必要な仲間は、平日10時から3時までの間、取りに来てもらいたい。スタッフに声をかけてもらえれば、その場に置いてなくとも、倉庫から出してくれる。また、「おにパト」では、おにぎりに加え、カイロもあるだけの数、提供中である。
それでもなおかつ、自力でと云う仲間は、とにもかくにも血圧管理には気をつけてもらいたい。寒いところは、心臓がバクバクとなり、血圧が上昇する。脳梗塞、心筋梗塞などで倒れる人が、この時期は普段でさえ多くなる。ヒートショックなどもそうである。
また、インフルエンザは、都が「警報」をようやく出したので、その注意に従ってもらいたい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion7319:180202〕
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