SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】250 故郷で祝いたい建国記念日
- 2018年 2月 26日
- 評論・紹介・意見
- サハラ平田伊都子西サハラ
今年もまた、西サハラ難民の人々は第43回西サハラ建国記念日をアルジェリアの難民キャンプで迎えてしまいました。 SADR(サハラ・アラブ民主共和国)の建国が難民キャンプで宣言されたのは、1976年2月27日のことです。 そして、同年3月5日にSADR(サハラ・アラブ民主共和国)政府を樹立しました。 さらに同年3月8日の国際女性デーを、西サハラ難民軍の中で最初に戦死したバシル・ルフラウィ(享年74年3月8日、30才)を記憶に留めておくため、殉教の日と定めました。 SADRの創設者エルワリも同年6月9日に28才で戦死しました。 西サハラ難民は全寮制難民中学校を6月9日と名付けて、祖国帰還の想いを受け継いでいます。
(1) 拷問死の日:
2018年2月21日、西サハラ政治囚人のモハメド・エルアユービが、モロッコ占領地・西サハラの首都ラユーンにあるモロッコ刑務所で獄死した。彼は2017年7月18日にモロッコのサレ犯罪裁判所で20年の判決を受け、服役中だった。今年に入って拷問と不衛生と虐待で体調を悪化させていた。遺体は、拷問で切られたため2本の指が欠損していた。
エルアユービと仲間たちがモロッコ治安部隊に逮捕されたのは、2010年11月8日のことである。その一か月前からラユーン郊外のグデイム・イジクで、約2万人の西サハラ住民がテント村を創って平和デモをやっていた.11月8日にモロッコ治安部隊がテント村を襲撃しテントを焼き尽くし、約600人のデモ参加者たちを逮捕した。エルアユービと仲間たちは、ラユーンのモロッコ拘置所で虚偽自白を迫る拷問を受けた。一同が悪名高いモロッコ国内のサレ2刑務所に送られ時には、エルアユービは拷問後遺症で自力歩行ができず、車椅子で運ばれた。2011年10月30日、グデイム・イジクの平和デモで収監された西サハラ政治囚たち、エルアユービを含む24人は、待遇改善と即時釈放を求めて一か月以上もハンガーストライキをやった。しかし、モロッコ監獄の待遇は改善されるどころか、<西サハラ人はテロリスト>の虚偽供述書作りを急ぐモロッコ治安当局は、ますます拷問を強化していった。
2017年7月19日、CORCASコルカス(モロッコ王立西サハラ諮問評議会)は、「サレ市にある裁判所が、グデイム・イジクの平和テントデモで逮捕した犯罪者たち24人に判決を下した。6人に終身刑、3人に30年の刑、5人に25年の刑、3人に20年の刑、6年と4年の刑に一人づつ、そして5人に2年の刑を科した」と、発表した。
モロッコ占領地・西サハラの平和活動家、エル・アユービ。モロッコ占領当局による拷問で獄死
(2) 麻薬ハシッシ大量に押収:
MAPマグレブ・アラブ・プレス(モロッコ国営通信社)によると、王室憲兵隊がエルジャディーダ市で2月20日午前5時に、国際麻薬密輸作戦を展開したということだ。憲兵隊員たちは4トンの麻薬ハシッシを大型トラックから摘発したそうだ。さらにMAPは、王室憲兵隊が2人の麻薬密輸業者を逮捕し、治安部隊が2隻のレジャーボートを拿捕したと伝えている。事件の背景を解明し、麻薬密輸に関わる容疑者を逮捕し、麻薬密輸の真相究明は進行中だそうだ。
モロッコ内務省声明によると、2月21日の朝、港町タンジェで、モロッコ司法調査中央局がISイスラム過激派組織と繋がる細胞を急襲し6人を逮捕したとある。6人は22才から42才で、首謀者はテロ未遂で逮捕された前科があると、内務省声明は付け足している。さらに内務省は、「この新たな捕り物は、一週間前の3人のテロ容疑者捕獲に続くものだ。3人はモロッコ占領地・西サハラのラユーン、モロッコ本土のマラケシュとサレ(西サハラ政治囚が収監されている町)で逮捕された。西サハラ難民軍ポリサリオ戦線に属する者がいる」と、ことさらに言及している。王室が絡むと噂されている麻薬ハシッシの犯罪を、西サハラ人になすりつけようとする企みが、アリアリです。
(3) 西サハラ難民大統領ガリから国連事務総長グテーレスへ:
2018年2月23日、西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリが国連事務総長アントニオ・グテーレスへ、モロッコ当局による西サハラ住民や西サハラ政治囚に対する拷問や虐待や非人道的行為を、糾弾する書簡を送った。書簡の中でガリ大統領は西サハラ政治囚の拷問によるエル・アユービ獄死を詳細に綴り、無防備な西サハラ住民と西サハラ政治囚を守る監視部署をMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の中に設けることを強く要望した。
さらにガリ西サハラ難民大統領は、「諸悪の根源は、モロッコが国連憲章や国際法に反して西サハラを不法占領していることにある。国連は国際社会と協力して、一日も早く、アフリカ最後の植民地・西サハラを開放して欲しい。」と結んだ。
2月25日、東京マラソンがありました。 同じ日に西サハラ難民キャンプでも、砂漠マラソンがありました。 距離は42.195㎞と同じですが、冬とはいえ砂漠の昼間は36度を越します。 走っても走っても砂ばかり、、 「42年間にわたる西サハラ人の亡命に想いを寄せよう」という宣伝文句で外国人の参加を呼び掛けてきましたが、、
あなたも走ってみますか?
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2018年2月26日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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