故西部邁氏追悼擬新体詩――革消保亡――
- 2018年 2月 27日
- 評論・紹介・意見
- 千葉大学名誉教授岩田昌征
西部邁自死後一ヶ月、彼の旧同志K.S氏と共に現場を訪ねて、黙祷した。やや古くなった花束が二つ。その近くの水辺に私は花束を、K.S氏はカンビールを置いて来た。
二首心に浮んだ。
かの人の荒(あら)和(にぎ)御霊(みたま)
聞こゆらし水鳥うかぶ多摩の川面ゆ
水鳥とあそびをるらむかの人の
荒和御霊みまく欲しかも
平成30年2月21日(水)
思ひ定めし五丁目の
田園調布多摩堤
昼は野球の球乱れ
釣人交ふ広場あり
亡き妻追ひて道行くは
彼誰刻の河原なる
水鳥眠り波も無し
川面目指せし一人旅
かねて用意の綱十丈
並木根元に締め固め
身体にしかと巻き重ね
重ねて重しを取り付けば
川底浅き多摩の川
流れの緩き多摩の川
生き恥暴す憂ひなし
死しても未来の革命に
共産主義の設計に
生命を懸けし革新の
思想の消えし今津代に
彼の仇なる左翼党
姿も見えぬこの世にて
生きる姿の見事さを
生き生き生きて示すこそ
保守原型の規準なれ
自決は保守の敗北と
思ひは底に在りしかど
妻伊邪那美の逝きし黄泉
来たれ来たれと呼ぶ声に
彼伊邪那岐は答へけり
逃げ戻ること神代には
ありしと云へど平成ぞ
戻るすべ絶ち逝きにける
保守梟雄の身罷りて
保守の亡こそ定めけれ
平成30年2月25日(日)
岩田 昌征/大和 左彦
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion7397:180227〕
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