4月 1日 自治会総会に出席、ふたたび自治会の法人化について
- 2018年 4月 3日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子
4月1日は、自治会の総会があり、役員・班長さんが交代した。昨年度と言えば、私たちの自治会で、問題になったのは、このブログでも記事にしてきたが、自治会の法人化であった。
広報が行き届かないまま、役員会主導で進めてきたことが、一番の問題点だと思っている。法人化に向けて、去年の7月に臨時総会が開かれることになって、私自身も、わからないことが多いので、ご近所の班長さんの何人かに聞くと「よくわからないんです。会長に聞いてください」との答えが返ってきたし、逆に、知り合いの班長さんや会員の方から、呼び止められて「どういうことなんですか」と尋ねられることもあった。さらに、隣の自治会でも、知り合いの会員から、「法人化は、もう決まったから、家族全員の名前を書いてもらわないと困ると、班長さんに強制された」との声も聞かれた。私も、総務省の住民制度課や佐倉市の自治人権課に問い合わせをし、7月の臨時総会でも質問をした。
法人化にあたっては、対象地域の人口が分母になって、3分の2以上の住民が自治会に加入していることがまず条件となるが、運用上、これも厳密なものではないと、総務省は話していた。人口ということであれば、ゼロ歳からすべての住民を含むことになり、自治会名簿は入会者名簿となり、会員が人口の3分の2をクリアせよ、ということになる。自治会員が世帯という単位ではなく、個人単位で会員になるということ自体は、それはそれで、現代の家や家族の在り方からすれば、当然の方向なのかもしれない。しかし、当自治会では、法人化をいそぐあまり、家族全員の加入をかなり強く促していた。人口の3分の2をクリアするのに焦っていたのかもしれない。
さらに、私たちの自治会では、法人化に伴う自治会会則の変更により、総会での議決の方法を一気に簡略してしまったのはどうしたわけだろう。
従来は世帯単位、すなわち1世帯、1議決権だったものが、1会員、1議決権となった。会員名簿に登録した世帯員全員が1議席を持ち、意思表示が不能な場合も(親権者などの)代理により議決権を行使することができるようになった。
この変更が波及して
1)これまで、総会の成立要件は、総会当日の出席世帯数と議決権行使世帯の合算が会員世帯数の2分の1以上であった
⇒ 出席世帯数と議決権行使書付きの委任状提出者(参加しない会員で委任状に記名された会員)の合算が2分の1以上となった
2)これまで、総会当日出席せず、議決権行使書を提出しなかった世帯は棄権とみなされ、棄権としてカウントされた
⇒ 「総会への出席または議決権行使書の提出のいずれも実施しない会員は、その議決権を総会議長に委任したものとする」
以上のように変更した会則のもとに、今回の総会の議決がなされたが、かなり、不自然な結果が生じることになった。 というのは、たとえば、会則を変更して「役員は自治会費全額を免除する」するという議案については、以下の議決結果で賛成多数で承認された。
会員総数 1834名(649前後?)
(ちなみに対象区域、2月末日現在、821世帯総人口2111人)
出席世帯数 105世帯 反対3世帯
議決権行使書による委任者数 1028名 反対8名
議決権数の分母が105+1028=1133名、反対が11名で賛成多数という結果になったのである。ここで、棄権した世帯の会員は、この数字には入っていない。出席世帯の中には夫婦で参加しているものもいたが、議決権は、これまで通り1議決権ということであった。そこで、シンプルな疑問なのだが、出席者世帯ごとの1票とし、議決権行使世帯会員ごとの1票の意味の違いはないのか。出席者世帯における会員の議決権は、問われないことになる。議決数カウントのダブルスタンダードになっていることが分かる。
こうした疑問は、法人化の臨時総会の時も出ていたし、棄権を議長委任とすることに関しは、市からのアドバイスがあったということであったが、市に確かめたところ、会員となる要件、総会などの成立要件や議決の方法は、各自治会に、特段の規定がある場合は、その限りではない、とのことであった。地方自治法260条の18に定められてもいる。
なお佐倉市ですでに法人化した自治会は18ということで、255の自治会の一割にも満たない。全国的には、5%ほどだそうだ。そもそも、法人化のメリットは、個人単位ということであったが、赤ちゃんにまで議決権を与えるという「擬制」は、現実的ではないし、民主主義とは相入れないだろう。会員になるかならないかは、個人の自由なのだから、選挙権の有無、18歳くらいをめどに、入会の有無は各人の申告制にするなどの工夫がなされるべきであろう。
議決の簡便化、棄権の議長委任などは、会員意識を希薄にし、自治会への無関心をますます助長することになるだろう。高齢化が進み、自治会業務のアウトソーシングなど、本末転倒の話も出てくる始末である。
<地方自治法>
第260条の18 認可地縁団体の各構成員の表決権は、平等とする。
2 認可地縁団体の総会に出席しない構成員は、書面で、又は代理人によつて表決をすることができる。
3 前二項の規定は、規約に別段の定めがある場合には、適用しない。
<当ブログにおける参考記事>
・自治会の法人化って、そのメリット、デメリット~自治の力を弱めないか
(2017年7月13日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/07/post-3373-1.html
・自治会の法人化について、総務省に尋ねました(2017年7月15日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/07/post-20c9.html
初出:「内野光子のブログ」2018.04.02より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2018/02/216-ca87.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7536:180403〕
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