権力は腐敗する、支持率26.7%の膿まみれファシスト権力は、暴力に訴える可能性あり!
- 2018年 4月 17日
- 時代をみる
- 加藤哲郎安倍
2018.4.15 戦争が始まりました。今度はシリアです。 アサド政権が反政府側に「少なくとも50回」サリン・塩素ガスなど化学兵器を使ったという理由で、ロシアを後ろ盾にするシリア軍に対して、米英仏軍が100発以上のミサイルで「報復」攻撃しました。しかし、「ファイクニュース」常習の米国トランプ大統領の見立てですから、イラクに対する「サダム・フセインの大量破壊兵器」の時のような、危うさを感じます。そんなトランプ大統領のところに、日本の安倍首相がのこのこ出掛けて、共に国内政治でのストレス発散のためか、ゴルフをしながら何を約束させられるのでしょうか。1年前にトランプは、習近平とのフロリダ会談の最中に、シリアへの巡航ミサイルトマホーク59発爆撃を命じました。習近平は咄嗟に対応できなかったといいます。今回は「第2のキューバ危機」が語られ、CNNによると「絨毯(じゅうたん)爆撃を含む大規模な空爆も視野に入れていたトランプ大統領に対し、ロシアとの本格的な衝突を懸念したマティス国防長官が最後まで抵抗し、化学兵器関連施設への限定的なミサイル攻撃で落ち着いた」といいます。つまりトランプは、さらなる攻撃を予定しています。シリアの化学兵器には北朝鮮が部品提供しているともいわれますから、今週フロリダで会う戦争好きの安倍晋三なら、昨年の習近平とは違って、その場で戦闘勃発を聞いても、直ちにアメリカの武力行使を支持し、米国製武器を買い付けてくれる、FTA・自動車など貿易でも譲歩する、場合によってはシリアまで自衛隊を派遣してくれると、トランプは取引(ディール)を計算しているのかもしれません。
首相訪米には、経産省柳瀬唯夫審議官も同行する可能性大です。かの「加計疑惑」のキーパースンで、「首相案件」発言者、安倍・加計会食の証言者と、愛媛県作成文書や農水省文書で確認されている元首相秘書官です。この間「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」で野党の追及をかわしてきましたが、もしもアメリカに同行するのなら、帰国後に不可避となった国会喚問に備えて、機中でたっぷり密議し「アベノミクス」推進策としての加計学園獣医学部実現の物語をつくるのでしょう。 この2週間で、「森友疑惑」は財務省の公文書改竄から国有地売却8億円背任の口裏あわせまで発覚、防衛省によるイラク派遣自衛隊の「戦闘」記述の入った「日報」、厚生労働省の野村不動産「過労死」隠し、さらには財務省事務次官と厚生労働省健康局長のセクハラまでが明るみに出て、安倍内閣のもとで官邸に支配され従属した官僚制の腐敗が、次々と噴き出しています。 ファシスト安倍首相は、他人ごとのように「徹底的に調査して膿を出し切る」と繰り返していますが、首相の存在自体が現代日本の腐敗の病原菌で、自ら産み出した病気による膿であることを、国会を離れ外国に逃れて、必死でごまかそうとしています。しかし、財務省事務次官のセクハラ一つとっても、まともな国なら、即辞任です。安倍政権打倒の運動も、4.14国会前3万人と、15年安保法反対運動の頃に近づいてきました。首相の頼みの内閣支持率も、NNN15日発表では3割を切り26.7%、第二次安倍内閣で最低です。不支持率は53.4%、「辞任すべき」34.8%です(共同通信では内閣支持37%、不支持52.6%、「首相の説明納得できず」79%、朝日新聞は支持31%・不支持52%)。末期症状の権力が、メディア支配と共に使う最終的担保が、暴力です。すでに国会前集会・デモへの警察による規制が著しく強化されていますが、学校教育の内容への文部科学省の介入、特定秘密保護法や共謀罪も、ある種の暴力です。公務員の内部告発を困難にしたり、警察・検察が当然立件すべき犯罪を敢えて見送るのも消極的暴力です。この国はいま、民主主義国家としての最低限の資格が問われる水準まで、ファシズム化が進行しました。4.14国会前集会の正式名称は「安倍政権は退陣を! あたりまえの政治を市民の手で!」、安倍首相のいう「こんな人たち」の意思表示、抵抗と変革の時です。
「公文書」は国民共有の知的財産です。その隠蔽・改竄は、民主主義の基礎・前提を掘り崩すものです。自衛隊イラク派遣時の現地「日報」は、15年前の「古い」記録ではなく、本来15年安保法案審議に用いらるべきであった、また今日の安倍内閣下のシビリアン・コントロールの検証に用いることができる、貴重な「新しい」記録です。第一次資料としての「公文書」の信憑性を前提とする学術研究にとっては、なおさらです。池内了・名古屋大名誉教授、西山勝夫・滋賀医科大名誉教授ら「満州第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」は、ペストを投与した人体実験の疑いがある論文を執筆した旧関東軍731部隊将校に対して1945年に京都大学が医学博士号を授与していたとして、学位の取り消しを求めるアピールを発表しました。京大医学部出身の平澤正欣軍医少佐(1945年戦死)による「イヌノミのペスト媒介能力に就て」という博士論文において、「特殊実験」の動物が「サル」とされているが、「サルが頭痛に苦しんでいることを把握するのは困難」「サルの体温グラフが実際のサルの体温変動と異なる」「『特殊実験』とは当時人体実験を指した」などの理由で、人間の生体実験によるものと判定したものです。これはまさに、「博士論文」が国会図書館納入を義務づけられた「公文書」であるために、70年後の検証が可能になったものです。同会は、4月14日に京都大で記者会見し、国立公文書館から関東軍防疫給水部・731部隊「留守名簿」の開示を受けたことも発表しました。これも画期的な「公文書」発掘です。昨年刊の私の著書 『「飽食した悪魔」の戦後』 で詳述しましたが、731部隊の悪行が1981年森村誠一『悪魔の飽食』のベストセラーで広くしられるようになるまで、731部隊の全容は不明で、大体2300−2600人という推定でした。それが、1982年に国会質疑で問題になり、当時の厚生省が軍人恩給給付用軍籍簿の記録で3559人と回答し、初めて公式の数字になりました(その後2012年までの厚生労働省回答で1人増え、3560人)。ところが今回同会が情報開示させた1945年1月作成の731部隊(別名満洲659部隊)「留守名簿」には、3607人(これまでより47人増)の実名が記載されており、軍医・技師・看護婦など役職と階級・留守宅が入っていて、軍医52人、技師49人、看護婦38人、雇員1275人、衛生兵1117人など731部隊の全体構成が、ようやく判明したのです。「公文書」が焼却・廃棄されずに記録として残されていた幸運と、科学者・研究者による粘り強い情報公開請求の成果です。ちょうど私も、連休明けの5月9日(水)から明治大学リバティアカデミーで「731部隊と戦後日本」と題する市民向け連続講座を予定しており(まだ定員まで若干の空きがあるようです)、新しい書物も準備していましたので、我が意を得たりのニュースでした。「公文書」を隠すばかりでなく、改竄までしてきた安倍晋三内閣が、後生の世界と日本の歴史家にどのように評価されるかは、この一事からしても、明らかです。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://netizen.html.xdomain.jp/home.html
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