【速報】東海第二原発の再稼働審査を問う!原子力規制委員会院内ヒアリング集会(2)~首都圏に最も近い老朽・被災原発を動かすな~
- 2018年 5月 5日
- 評論・紹介・意見
- kimura-m
5月2日の「東海第二原発の再稼働審査を問う!原子力規制委員会院内ヒアリング集会(2)」の速報をお送りします。
東海第二の再稼働・運転延長のご参考に。
【拡散歓迎】
東海第二原発の再稼働審査を問う!原子力規制委員会院内ヒアリング集会(2)
~首都圏に最も近い老朽・被災原発を動かすな~
速報
去る5月2日に標記院内ヒアリング集会を実施したので(遅ればせながら)簡単に結果を速報します。
まず、配付資料などの説明の後、山崎久隆さん、川澄敏雄さん、大石光伸さん、相沢一正さんから当日の質問に関する説明をしていただきました。特に川澄さんからはプロジェクターを使って電気ケーブル問題、超過津波問題の図示していただきました。
2時半には衆議院大河原まさ子議員にご挨拶いただいた後、規制庁の9人と経産省の2人を迎えてヒアリングを開始。「Ⅳ 周辺自治体住民の同意について」のみ経産省と規制庁、他は規制庁にヒアリングをし、現在進行中の審査の状態を確認するとともに私たちからは多くの問題を指摘し、このまま審査合格、運転延長合格とはしないように強く訴えてヒアリングを終わった。
個々の質問についての回答と質疑は後述します。
なお、すでにこの動画が次にアップされているので詳細はこちらをご覧願います。
20180502UPLAN
東海第二原発の再稼働審査を問う!原子力規制委員会院内ヒアリング集会(2)
【前半】事前学習会
https://www.youtube.com/watch?v=EPSpmLHJTPE
【後半】資源エネルギー庁・原子力規制庁ヒアリング
https://www.youtube.com/watch?v=T8DAJnBehxg
(院内ヒアリング集会次第)
日時:2018年5月2日(水)13時半~16時半
場所:衆議院第一議員会館 多目的ホール
東京メトロ 国会議事堂駅、永田町駅、溜池山王駅から徒歩
出席依頼:原子力規制庁
紹介:衆議院 大河原まさこ議員
質問項目:
Ⅰ 審査の進捗状況と今後の見通しについて
Ⅱ 設置変更許可審査について
1.電気ケーブルについて
2.鋼製防護壁の構造問題
3.耐震評価について
4.超過津波問題
5.長期停止原発の再稼働について
6.使用済燃料プールのトラブル
7.経理的基礎
8.核のゴミに囲まれた原発
Ⅲ 運転延長認可について
Ⅳ 周辺自治体住民の同意について
主催:再稼働阻止全国ネットワーク
質問者:山崎久隆さん(たんぽぽ舎)
川澄敏雄さん、大石光伸さん、相沢一正さん
集会参加者
集会次第(13時~17時)
13時00分~ 通行証配布開始
13時30分~ 開会
13時40分~14時20分 事前学習会
休憩(10分)
14時30分~16時30分 規制庁ヒアリング
16時30分~17時00分 事後確認
進行:木村雅英
配付資料:
質問文(8頁)、前回(2月22日)質疑記録(5頁)、前回追加質問と規制庁回答(2頁)
集会参加者:62名
(ヒアリングの概要)
はじめにこちらから、前回に引き続きのヒアリングであること、日本原電で違法残業が指摘される中で関電の高浜運転延長申請絡みで自死が出たこと、ここでの質疑回答と実際の審査結果とに齟齬がないようにとお願いして、ヒアリングを開始した。以下は時系列。
Ⅳ 周辺自治体住民の同意について
経産省は、地元同意は事業者任せとして逃げたが、「エネルギー基本計画」でも地元の理解と述べているのだから経産省としても確認し、1市村でも反対ならば稼働しないように訴えた。また、UPZ30km圏だけでは不十分、東海第二のUPZ圏には14市町村あり6市村では不十分、事業者任せにしないように訴えた。
Ⅰ 審査の進捗状況と今後の見通しについて
設置変更許可が認可されていないにも拘らず、工事計画の審査と運転延長の審査を開始していることを認めた。
Ⅱ 設置変更許可審査について
1.電気ケーブルについて
電気ケーブルの総延長が長い中で非対応が多く、新座市での東電地下OFケーブルと同様の火災の心配、日立製作所の内部資料にある摩耗損傷3000箇所、シース(さや部分)の硬化(劣化)を指摘したが、規制庁は審査中との回答、事業者任せにしないよう強く要請した。
2.鋼製防護壁の構造問題
取水口の構造物が大ダメージを受ける可能性を追求したが、これから審査との回答。
3.耐震評価について
工事計画のヒアリングを開始したがまだ多くの資料が出ていないとの回答。驚いたのは、基本地震動が建設時から4倍近くに上がりクリフエッジ(破壊される力の掛かる点)までの余裕が食い潰されてきているのに、圧力容器スタビライザーの降伏点など、着目すべきチェックポイントを担当が確認していなかったこと。規制庁が事業者からの報告を追認する姿勢で審査していることが明らかになった。
また、工事計画の事業者資料の多くが「黒枠・白抜き」でアップされていることについて、ひとたび事故が起これば多数の「国民」に被害をもたらすのであるから、企業秘密と称して公開しないのはおかしい、これでは審査の適否を誰も判断できないではないか、と強く抗議した。
4.超過津波問題
24mの津波が防潮堤を超えて進入した場合に、標高8mの位置に使用済み核燃料貯蔵建屋がある問題について、重大事故対処施設で無いから浸水してもいいかのような回答。浸水対策を義務付ける基準があることを指摘した。
2kmあまり南に位置する東海再処理工場の高レベル放射性廃液貯蔵施設の津波による危険性について、個別施設の審査で対応しているとの回答。周辺の状況を調査しないといけない、福島第一事故を思い起こすよう、に強く要望。また、炉規法43条の3の8規則63項に照らしておかしいとの指摘に対しては、後日議員を通して文書回答していただくこととした。
また、参加者から基準津波も基準地震動も実績から考えれば過小であるとの指摘も出た。
5.長期停止原発の再稼働について
川内でも高浜でも玄海でも長期停止原発の再稼働ではすぐにトラブルが発生している。玄海3号の蒸気漏れトラブルでは原子炉を稼働させたままでチェックしたことを責めたが、規制庁は炉心を含んでいない2次系のトラブルとの説明。頻繁に起こりうるから事業者任せにせず厳密ににチェックするように要望。
6.使用済燃料プールのトラブル
日本原電敦賀発電所1号の昨年2017年11月20日「チャンネル着脱機の不具合」トラブルの指摘について、規制庁が「指導文書」を出したとの回答。同様のことが東海第二で起こっていないか審査をするように要望した。
7.経理的基礎
前回でも厳しく追及しまた前の週にも別の院内政府交渉で追求している。東電と東北電力からの支援を「概ね了承した」のかについては、まだ審査会合の手前の段階との回答。
東電がADRの仲裁を蹴って税金を使っている中で日本原電を支援することは誰にも認められないと強く訴えた。
8.核のゴミに囲まれた原発
東海第二が核のゴミに取り囲まれている原発であることを確認し、前述の4.と同様に追加質問することを確認。
Ⅲ 運転延長認可について
運転延長審査は、1機器の状況、2劣化評価、3保守管理方針への反映、の3段階。審査はこれから。他老朽原発でのトラブルは「運用ガイド」で対応している。
一方、2年前に運転延長を認められた高浜1,2号機は平成32年(2020年)に稼働予定、東海第二は2021年以降の稼働予定との回答。
終わりに、今日の私たちの指摘を受けて早く審査不合格を出すように、そして総ての資料を隠さずに明らかにするように強く要望した。
最後に、ずっと同席して頂いた大河原まさ子議員からの閉めの挨拶をいただいた。
「今日の規制庁の回答では、市民にはまったく納得できない。そして、決定のあり方、そしてそれがどういう記録で残されるかということも、今公文書の隠蔽・改竄・データのすり替えが様々で起こっています。そんな中で、このことをやるということの意味を、規制庁の皆さんに込められている責任を是非果たしていただきたい。今日質疑の中ではっきりさせられなかったことは、また私や議員を使ってしっかりと回答を引き出して行きたいと思っています。
時間があまりないと思います。しっかりと答え、市民の皆さんの専門性を受けとめ、原発ゼロ社会に向けて活動したいと思います。」
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion7612:180505〕
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