大阪で万博とカジノ
- 2018年 6月 12日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
大阪で万博(カジノも)、だそうです。 維新の府と市が提唱しているのですが、何処かが変です。
そもそも万博は、高度経済成長の時代に、一度、大阪で主催した経過があるのですが、当時の総括をされたのでしょうか。
当時は、私も一度だけ会場を訪れたことがあるのです。 でも、会場には建設物のみが空虚に聳え立ち、各国の展示館内にあるのは、パンフレット程度でも良いのではないのか、と思える程の内容でした。 この当時の経験から、以後は、どのような国際的な博覧会等でも出向く価値が無い、と見当がつきましたので、今に至るまで行ったことがありません。
ネットの時代に、態々、時間を費やして一定の場所へ行くには、その価値があるものである必要があります。
今まで、この国で時間と金銭を費消して会場設営から人出までやり繰りする価値があった博覧会等があったのでしょうか。
大阪であった花博でも同様です。 あんなものを主催するのならば、都市公園を整備すれば良いのです。 都市に住む住民が日々利用可能な都市公園や、親水設備を整備するのが優先する筈です。
しかし当然の理が現実化しないのには理由があるのです。 これ等の市民的要求は、全て小規模ですので、歴代の府や市の首長や中央政権の意向には沿わないのです。 即ち、大規模土建工事になる程度の規模ではないので「土建国家」(市も府も)の主題にはならないのです。
地場の中小建設会社では無く、大企業のゼネコンが施工するためには、相当程度に規模が大きく無ければいけないのです。 そしてイベントが終われば、会場とその周辺は閑古鳥が鳴くことになります。
一大イベントを主催するのに整備した筈の施設では、突貫工事のせいで、欠陥が目立ちますが、イベント後数十年が経過しても整備されません。 例えば、道路です。 百七十号線(外環状線)は万博に向けて急整備された道路ですが、不備が目立ちます。 多くの交差点で右折車線が無く、多くの陸橋では、接続道路がありません。 そのために馴れない人では、右折出来ず、また、他の道路に進むことが出来ず立ち往生します。 欠陥道路なのです。
では、何故、今、万博なのでしょうか、また、カジノなのでしょうか。 結論から言えば、万博でもカジノでも、競輪でも、競馬でも、マンションでも何でも良いのです。 建設工事であるならば、です。
大阪湾が見える地図で御覧になれば、大阪には、住民が親しめる湾岸が無いことに気付かれることでしょう。 極々一部を除き、全て護岸になり自然の海岸が存在しません。 即ち、大阪湾には、大阪の住民が親しめる海岸が存在しないのです。 大阪湾周辺の岸壁は、全て企業のものであり、極々小規模のものを除けば、湾岸を利用しているのは、大企業なのです。
加えて、大企業の利用を企図した湾岸の埋立が実施されました。 それには、焼却減容された廃棄物が利用され、土石とともに埋め立てられました。
幸か不幸か、関空開港後には、バブル崩壊を迎えて、土木国家の幻想は潰えたのですが、維新は、未だに夢から覚めずに、空地になっている夢洲に夢の再興を賭けている訳なのです。
万博でもカジノでも、実現するには、交通手段から都市施設の整備をする資金が要りますし、周辺の整備も必要です。 都市開発の域を超えた程度の開発になるのです。 人口島を開発するのですから。
其処で、視点を大阪にのみ限らず近畿圏の地図を観れば、万博にもカジノにも絶好の地があるのに気付かれることでしょう。
大阪に住んでいれば、一度ならず、何度でも行かれたことがある伊勢志摩の観光地です。
此処ならばカジノが立地しても良い処でしょう。 風景は絶好で、魚・肉は美味しい、大阪からは日帰りも可能、な処です。
伊勢志摩は、大阪に住んでいれば、何度でも行かれた経験があるので普通です。 私自身も、小学校時代から臨海学校から家族旅行、就職してからは、職場の親睦会旅行と友人との旅行等で、もう数十回は行っています。 万博も中部圏で実施されたならば、良いのかも知れません。
海外から来られた方々に、何も企業の営業地であるドブ色の大坂湾のカジノで遊んで頂かなくても良いでしょうし。
万博に来られた海外の人々にも濁った海では無く、伊勢志摩の風光明媚な海を見て頂きたいものです。
しかしながら、伊勢志摩では、何方も御断りでしょう。 そんな客寄せをしなくても現状で充分、と。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7718:180612〕
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