首相の品性
- 2018年 6月 28日
- 評論・紹介・意見
- ちきゅう座会員山川 哲
「鉄面皮」「破廉恥漢」「盗人猛々しい」「恥知らず」「厚顔無恥」等々、数々のおぞましい形容詞はこの男のためにあるとしか思えない。言うまでもなく、その男の名は、「アベシンゾー」という。れっきとした日本国の総理大臣である。
かつて「○○の品性」といった言葉が流行っていた。こういう言葉を流行らせた当人は今いずこで、この事態に向き合って何を思っていらっしゃるのであろうか?まさか、あれはあれ、これはこれ、一時の「言葉遊び」だったなどと平静を装っているわけではあるまい。
6月23日、もちろん「沖縄デー」(慰霊の日)である。戦争末期の大量の犠牲者の名前を刻み、霊を祀る礎の前で、毎年、それにすがりつくようにして、彼らの親戚縁者や、当時かろうじて生き残った人たち、またその子や孫たちが、その無念さを語り、涙ながらに供養をしている。実に悲痛な光景だ。
しかもいまだに、日本にある米軍基地の70%以上が沖縄に集中している。日本本土の米軍基地を減らすための措置だという。そしてそのことで、沖縄県民が払う犠牲は計り知れない。沖縄の人々にとって、戦争はまだ終わっていないのである。
6月12日、シンガポールで米国大統領トランプと北朝鮮の金正恩委員長の初めての会談が行われた。これは次の意味で画期的なことである。朝鮮半島で核戦争への脅威がなくなるための一歩でありうること、また、米・日・韓にとっての仮想敵国が消滅する可能性を意味するものでもありうること。
しかし、ことはなかなかそう簡単には捗らないかもしれない。この日を前後して、米国からアーミテージ(知日派といわれているが、実際には武器商人で「戦争屋」とも目されている)が来日し、自公政権への圧力を強めている。
曰く、油断するな。北朝鮮外交に騙されるな。中国の動きにも警戒せよ。日米共同の防御ライン(日米安保体制)を更に強化する必要がある、…。
トランプの背後には、彼の様な武器商人、軍需産業がわんさか控えているのである。彼らにとっては、今、極東の平和など実現されては困るのである。米国の主要産業が、IT産業を除いては圧倒的に軍需産業で占められていることは周知の事実である。
彼ら武器商人にとっては、戦争の長期化と危機意識の高揚とが武器販売の絶好のチャンスなのである。
日本でも、いわゆる親米派を中心に、アーミテージと同じ「北朝鮮要警戒」説がかまびすしく飛び交っているのはご存じのとおりです。
ところで、「日米安保体制堅持」派の旗頭の一人である、安倍首相は、73回目の「沖縄全戦没者追悼式」に臨んで、次のような歯の浮くような見え透いた演説をしている。
「平和で埃ある豊かな沖縄を築くため、全力で取り組んでいく。」「平和の礎に刻まれたすべての戦没者の無念を思うとき、胸のつぶれる思いだ」「私達が享受する平和と繁栄は、沖縄の人々の筆舌に尽くしがたい苦難と癒えることのない深い悲しみの上にある」「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」「(沖縄の)現状は何としても変えて行かなければならない。基地負担を減らすため、確実に結果を出す決意だ」「できることはすべて行う方針のもと、沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」「先頭に立ち沖縄振興を前に進める」
呆れて、あいた口がふさがらないとはこのことだ。白々しく嘘をつきとおすという、この下卑た品格こそが、日本の総理に求められた唯一の品性だとしたら、あまりにも恐ろしい。この調子で、「モリカケ問題」も乗り切れると考えているのだろうが、こういう人を総理に選ぶわれわれの側も、大いに反省してかからなければ、共倒れになるは必定である。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion7775:180628〕
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