7・22:討論塾「日本の入管政策と排外主義」
- 2018年 7月 4日
- 催し物案内
- 徳宮 峻討論塾
近代化150年のあいだ、日本社会で連綿と続く排外主義と、その表れとしての入管政策について討論します。
問題提起者:永野潤さん(首都大学東京ほか、主な著作『サルトルの知恵』『哲学のモンダイ』)
日時:2018年7月22日(日)13:30~16:30
会場:渋谷区勤労福祉会館 第3会議室
住所:渋谷区神南1-19-8(郵便番号:150-0041)
電話:03-3462-2511(会場代表)
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/shisetsu/shuro/kinro.html
問題提起要旨: 東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に収容されていた難民申請中のインド人男性が、4月13日に自殺した。こうした事件があるたびに、入管問題が少しだけ注目を浴びるが、入管収容施設での外国人人権侵害は「日常」である。2007年以降、自殺や病死などの死亡は13人にのぼり、2017年には東日本入国管理センターで、ベトナム人が「痛い! 痛い!」と泣き叫びながらも、入管職員は「うるさい!」「静かにしろ!」と何日間も放置し、クモ膜下出血で死亡した。
こうした悲惨な状況を生み出す入管を、どう変えればよいのか。かつてフランスで、植民地アルジェリアの悲惨な状況は「悪い植民者」を「良い植民者」に置き換えれば解決するという「改良主義」が主張されたが、サルトルはそれを批判した。「植民地主義は一つの体制である」と喝破し、問題解決は植民地体制の打倒によってしかなしえない、と打ち出したのである。その意味で、この国の入管も「一つの体制」であり、「植民地主義」と切り離すことができないものである。現行の入管法は、朝鮮人・台湾人を「外国人とみな」して治安対象とした「外国人登録令」(1947年、日本国憲法施行前日の最後の勅令)が出発点であり、長崎県の外国人収容施設「大村入国管理センター」もかつては「大村収容所」と呼称され、在日朝鮮人を韓国に強制送還するために作られた施設なのである。
入管問題を考えることは、「これからの日本は移民を受け入れるべきか否か」というような「政策」論議をもてあそぶことではない(そのような議論が歴史からも現実からも遊離しているのは、上野千鶴子の「移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか」という発言にも明らかではないか)。入管問題を考えることとは、体制としての「入管」を内面化している私たち自身の「入管の思想」(鄭栄桓)と、向き合うことでしかありえないのだ。サルトルは、作家リチャード・ライトの「合衆国には、黒人問題など存在しない。あるのは白人問題だ」との言葉を踏まえて、「反ユダヤ主義は、ユダヤ人の問題ではない、われわれの問題である」と言った。まさにその意味で、「入管問題」も「われわれの問題」なのである。
今回は、入管に収容された外国人自身が作り上げた団体である「仮放免者の会」の活動を紹介しつつ、収容問題、仮放免者問題について討論したい。
会場の都合上、席数が限られていますので、事前登録制とさせていただいておいます。参加希望の方は、必ず事前に事務局(メール:fuku(◆)aaa.email.ne.jp (◆)を@に置き換えてください)までお申込みください。討論会後、参加者で懇親会を行う予定です(実費負担)。参加希望の方は事前にお知らせください。
当日の討論会の内容は、原則的にすべて録音し、報告書を作成いたしますので、ご了承ください(匿名希望の方などは配慮いたします)。
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