益子朝露館を訪れたひとびと
- 2018年 7月 13日
- 評論・紹介・意見
- 小原 紘花岡事件
韓国通信NO563
戦時中、大館市の花岡鉱山に強制連行された中国人労働者が一斉蜂起し、419人が死亡した花岡事件(1945年)の犠牲者を悼む「中国人殉難者慰霊式」が6月30日、現場となった同市花岡町の十瀬野公園墓地で開かれた。遺族5人を含む約230人が参列し、故人の冥福を祈った。(毎日新聞7/1)
昨年に引き続いて遺族5人を含む関係者15人が7月2日に栃木県の「益子朝露館」を訪れ、出迎えた館主の関谷興仁氏らと交流をした。
花岡事件の遺族が慰霊祭の後、朝露館を訪れたのは今回で二回目。遺族たちのお目当ては関谷興仁氏の作品である、花岡事件など中国人強制連行を主題とした「万人坑」の見学だが、単なる「鑑賞」目的ではない。夥しい犠牲者の名前が刻まれた陶板から父親、祖父の名前を見つけ、驚き、感動し、悲しみと怒りを新たにした。死者との再会、記憶の回帰の場だった。陶板に身を乗り出し手をさしのべて涙ぐんだ。去年と全く同じ光景だ。<上写真2枚>
昨年は日中国交正常化45周年、今年8月に日中平和友好条約締結40周年を迎える。花岡事件は鹿島建設が非を認め補償したものの日本政府は謝罪を拒んでいる。日本政府の「明治150年」に対する姿勢はここでも明らかだろう。
一行には中国の著名な女流歴史小説家曹雁雁氏、アメリカの歴史研究家(HUNTER大助教授)コガ夫妻、中国人留学生2人が同行した。
遺家族たちは口を揃えて労作に感謝と賛辞を送り、関谷氏の野外レクチャーに耳を傾けていた。
作家の曹さん<下写真右から2番目>;が、この美術館には「忠」と「義」の心が詰まっていると語ってくれた。アメリカから参加した夫妻の曽祖母はナチスによって殺された。「万人坑」と「ショアー」を興味深げに撮り続けていた。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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〔opinion7820:180713〕
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