サルトルらが創刊したフランスの評論誌Les Temps Modernesに日本の政治について書きました
- 2018年 8月 17日
- 評論・紹介・意見
- フランス村上良太
インターネット新聞の日刊ベリタに昨年、シリーズ企画として掲載した野党共闘などに関する政治についてのインタビューを含めた拙稿を再編集したものがフランスの評論誌Les Temps Modernes(レ・タン・モデルヌ)最新号(2018年7月〜9月号)に掲載されました。政治学者の中野晃一教授、国会議員の辻元清美氏、そして日本共産党広報部長の植木俊雄氏らへのインタビューが核になっています。冷戦終結以後、日本の政治システムがどう変化したか、そして政権交代のできる二大政党制を目指して小選挙区制に選挙制度を改正しながら、自民の一強という状況がなぜ生まれたのか、そして野党と市民がどうこの状況を乗り越えようと試行錯誤をしてきたのか、ということを綴っています。こうした日本の状況にレ・タン・モデルヌの編集委員の人たちが大きな関心を寄せてくれたのはうれしい驚きでした。
Les Temps Modernes誌の最新号(2018年7—9月号)
レ・タン・モデルヌは1945年にサルトル、ボーヴォワール、メルロー・ポンティ、レーモン・アロンといった哲学者や思想家、評論家らが立ち上げた評論誌で、学者が象牙の塔にこもるのでなく、現実の事件に対するジャーナリスティックな視点を重視したものです。出版元はガリマール出版です。サルトルやボーヴォワールらは理論家というだけには収まらず、アルジェリア独立戦争時には独立支持を打ち出し、自ら体を張ってデモの先頭に立って戦ってきた闘士としての面があります。レ・タン・モデルヌはそうしたフランス知識人の伝統を保つ媒体です。
7月に同誌の編集長を長年務めてきたジャーナリストで、ホロコーストの証言を集めた「ショア—」などのドキュメンタリー映画監督でもあったクロード・ランズマンが亡くなりましたが、最新号ではその追悼記事も見られます。ランズマンにインタビューしたいと思っていた筆者もまた非常に残念でなりません。
僕がランズマンにインタビューしたいと思った理由は歴史と向き合うということはどういうことか、彼の考え方やこれまでの行動について率直に話を聞いて刺激を受けたかった、ということがあります。現代は歴史修正主義が大手を振って歩いているからです。そしてまた、日本とフランスの両市民は手を携えて暮らしやすく、平和な社会をどう築くべきか、協力しあうことが大切だと思っているのです。実を言えば政治経済を支配する人々は国際的に協力し合っていますが、その一方で格差をなくしたり、平和を守りたいという市民同士の協力は手つかずに等しいと言えます。もっともっと市民同士の協力が必要です。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7917:180817〕
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