「思想史講座」のお知らせー9月のご案内
- 2018年 8月 26日
- スタディルーム
- 子安宣邦明治維新
*だれでも、いつからでも聴講できる思想史講座です。
*「明治維新150年」がいわれています。「明治維新」と「日本近代」との当たり前のこの結びつきを読み直してみようと思います。この読み直しを私に促したのは津田左右吉の明治維新観です。津田は維新に国民的変革としての正当性あるいは正統性を認めませんでした。この維新観は私に「維新と日本近代」との読み直しの可能性を与えました。この大きな課題に半世
*「明治維新と日本近代」は9月からしばらく「国体」の問題をめぐって考えたいと思っています。まずはじめに「国体」概念の創出をめぐって考えます。
*論語塾は「鬼神論」をテーマにして新しい講座を始めました。「鬼神」とは「祖霊」であり、「霊魂」でもあります。これを「祖霊」といば鬼神論とは祖先祭祀を基礎づける論の性格をもち、これを「霊魂」といえば人の生と死、生前と死後とを包括した宇宙論の性格をもちます。この鬼神論を考える前提として『朱子語類』を読み始めましたが、次第に後者、すなわち『朱子語類』によって朱子の宇宙論的哲学世界を読むことが論語塾の中心的課題になりつつあります。これがどこに導くか講座の成り行きに任せたいと思っています。
*論語塾は上のような趣旨で昨秋以来5回の講座を行ってきました。私は大阪の梅田で、東京の早稲田で日本近代をめぐって今話しております。私はその際、この近代を批判的に読み直す外部として「江戸」を見てきました。「江戸」を方法的視座とすることで私は「日本近代」を読み直してきました。この作業は同時に「江戸」を忘れ去ってはならないものとして再発見させました。仁斎の『論語古義』とはそのようにして再発見されたものです。近代日本人が見出すことの出来ない孔子が仁斎によって見出されています。私は近代日本人が明治維新・文明開化とともに一生懸命に忘れ去ろうとしてきた思想世界とは何かを確かめてみたいのです。前近代の東アジアの思想世界とは朱子学的世界です。この朱子学を江戸時代の先人の跡を践みながら自前で読んで行きたいと思っています。
*会費は実費(会場費・テキスト代)を頂戴します。
*この会には何の入会規定もありません。当日出席した人が会員です。ご自由にご参加下さい。
*9月の講座
*思想史講座―「明治維新と日本近代」
*大阪教室:懐徳堂研究会:9月の会場は梅田のアプローズタワーです。
9月15日(土)・13時00分〜15時10分
「国体」概念の創出
ー徂徠制作論と水戸学
*資料は当日配布します。
参考文献:会沢正志斎『新論』。子安「祭祀的国家日本の理念とその成立」(『日本ナショナリズムの解読』所収、白澤社。『国家と祭祀』所収、青土社)。
会場:アプローズタワー関西学院大学14階1401会議室阪急梅田・茶屋町口下車3分
*東京教室:昭和思想史研究会
9月8日(土)・13時〜15時30分
「国体」概念の創出
ー徂徠制作論と水戸学
*資料は当日配布します。
参考文献:会沢正志斎『新論』。子安「祭祀的国家日本の理念とその成立」(『日本ナショナリズムの解読』所収、白澤社。『国家と祭祀』所収、青土社)。
会場:早稲田奉仕園・スコットホール2F・222号室
早稲田奉仕園はバス「馬場下」下車、穴八幡宮の裏手
*論語塾―「鬼神論」と『朱子語類』を読む
『朱子語類』と荻生徂徠『弁名』の「緒言」「道」「天命帝鬼神」章の講読を行います。
9月22日(土)13時〜15時30分
① 『朱子語類』を読むー巻一「理気・上」
② 荻生徂徠『弁名』「緒言」「道」
資料(テキスト・訓読文・訳文など)は当日配布します。
参考資料:子安『徂徠学講義』岩波書店。三浦国雄『「朱子語類」抄』講談社学術文庫。
会場: rengoDMS(連合設計社市谷建築事務所)JR飯田橋駅西口から徒歩5分
初出:「子安宣邦のブログ・思想史の仕事場からのメッセージ」2018.07.23より許可を得て転載
http://blog.livedoor.jp/nobukuni_koyasu/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。