国策に加担する司法を問うーー第49回司法制度研究集会へのお誘い
- 2018年 10月 15日
- 評論・紹介・意見
- 司法制度弁護士日民協澤藤統一郎
日本民主法律家協会は、自らを以下のとおり紹介している。
1961年10月の結成以来、一貫して憲法を擁護し、平和と民主主義と人権、そして司法の民主化を追求する運動の先頭に立ってまいりました。
協会がメインの守備範囲と定めている領域が、憲法と司法である。憲法の分野では、日本国憲法の明文改憲も解釈改憲も阻止して、平和と民主主義と人権を擁護すること。そして、「司法の民主化」とは、日本国憲法が掲げる憲法価値を顕現する司法の実現である。
1970年代の司法反動反対運動でも、2000年代の司法『改革』の時代にも、協会は司法の現実を批判して憲法が想定する司法像を追求し続けてきた。その舞台となったものが、毎年開催される「司法制度研究集会」である。今年は、その第49回目となる。
テーマは「国策に加担する司法を問う」という、かなり悲観的なものだ。これまで、われわれは司法消極主義を批判してきた。「逃げずるな最高裁」「憲法判断を回避するな」と言ってて来たのだ。
ところが、安倍長期政権の継続とともに、最高裁は変わってきたのではないか。むしろ、積極的に政権の政策実現に加担する姿勢を示し始めたのではないだろうか。つまりは、われわれが求めてきた「人権擁護の司法積極主義」ではなく、「国策加担の司法積極主義」の芽が見えてきているのではないかという問題意識である。これは重大な事態ではないか。沖縄・辺野古訴訟と、原発差し止め訴訟を具体的素材に、この問題意識を検証する。ぜひ、ご参加を。
**************************************************************************
国策に加担する司法を問う
第49回司法制度研究集会へのお誘い
日時 2018年11月17日. 午後1時~5時 集会終了後、懇親会
会場 東京・永田町 全国町村会館ホールB( TEL 03-3581-0471(代表))
有楽町線・半蔵門線・南北線 「永田町駅」3番出口徒歩1分
参加費 1000円(学生・院生・修習生500円)
最近、国の政策の根幹に関わる事件において、国の政策に積極的に加担するような判決が目立っています。
2016年には、厚木基地自衛隊機飛行差止を認める1・2審判決を逆転した最高裁判決(12月8日)、「普天間の危険を除去するには辺野古に新基地を建設するしかない」と断じて沖縄県知事による辺野古埋立承認取消を違法とした福岡高裁那覇支部判決(9月16日)を支持した最高裁判決(12月20日)。
そして今年は、大飯原発差止を認める1審判決を逆転した名古屋高裁金沢支部判決(7月4日)、君が代不起立による再雇用拒否を違法とする1・2審判決を逆転した最高裁判決(7月19日)、国に諫早湾開門を命じる確定判決を無効とした福岡高裁判決(7月30日)、伊方原発差止を認める仮処分決定を取り消した広島高裁決定(9月25日)等々が続いています。
憲法と人権が踏みにじられる政治状況の中で、司法には人権の砦としての役割を果たすことが期待されているにもかかわらず、「司法消極主義」をも踏み越え、国策に積極的に加担するような司法判断が増えていることは重大事態です。
今年の司研集会は、こうした近時の司法判断の概要とその原因を探り、これにどう対抗すべきかを論じ合う集会にしたいと考えています。
行政法の岡田正則教授の基調報告、辺野古関連訴訟の弁護団の中心を担う沖縄の加藤裕弁護士と、「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富」という珠玉の大飯原発差止一審判決を書かれた樋口英明元裁判官から問題提起をしていただきます。ふるってご参加下さい。
●基調報告
【国策に加担する司法を問う】(仮) 岡田正則氏(早稲田大学・行政法)
早稲田大学大学院法務研究科教授。専門は行政法。著書に『辺野古訴訟と法治主義─行政法学からの検証』、『判例から考える行政救済法』(ともに共著)、『国の不法行為責任と公権力の概念史─国家賠償制度史研究』など。
●問題提起
【国策にお墨付きを与える司法──辺野古埋立承認取消訴訟を闘って】
加藤裕氏(弁護士)
1992年沖縄弁護士会に弁護士登録(司法修習第44期)。普天間基地爆音訴訟、辺野古埋立承認取消訴訟等、沖縄の基地関連訴訟を数多く担当。
2012年度沖縄弁護士会会長。2017年度日弁連副会長。著書に『憲法と沖縄を問う』(共著)など。
●問題提起
【大飯原発差止訴訟から考える 司法の役割と裁判官の責任】
樋口英明氏(元裁判官)
元裁判官。1983年任官(司法修習第35期)。福岡、静岡、名古屋等の地裁・家裁、大阪高裁等を経て、2012年4月より福井地家裁。2014年5月大飯原発差止判決、2015年4月高浜原発再稼動差止仮処分決定。2017年8月名古屋家裁で定年退官。『世界』2018年10月号に「原発訴訟と裁判官の責任」。
**************************************************************************
お申し込み
下記にご記入のうえ、FAXで 03 – 5367-5431(協会本部事務局)まで送信ください。
※11月12日までにお申込みをお願いします。(当日参加も受け付けますが、準備の都合上、なるべくお申込をお願いします)
■第49回司法制度研究集会に
参加します。
■講演終了後の懇親会に
(会場:1階レストラン・ペルラン/ 会費:4,000円)
・参加します ・参加しません
TEL FAX
お名前
日本民主法律家協会
〒160 – 0022 東京都新宿区新宿1-14 – 4 AMビル2F
TEL 03-5367- 5430 FAX 03-5367- 5431
Mail info@jdla.jp URL http://www.jdla.jp/
(2018年10月13日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2018.10.14より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=11283
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion8082:181015〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。