本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(206)
- 2018年 10月 22日
- 評論・紹介・意見
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樹木希林が意味するもの
9月15日に、女優の樹木希林さんが逝去されたが、彼女は単なる「個性派女優」ではなく、精神面での成長を望んだ「求道派女優」とでも呼ぶべき存在でもあったようだ。そして、私自身が、特に注目したのが、「樹木希林」という芸名だったが、本来は、「樹木が集まり、希に見る林を形成する」という意味が込められていたそうだ。つまり、「いろいろな個性が集まった結果として、素晴らしい作品を作ることができる集団が形成される」という思いが込められていたようだが、私自身としては、まったく違ったメッセージを受け取ったようにも感じている。
具体的には、この芸名が付けられたのが「1977年」という、私が金融界に従事した年であり、また、彼女が亡くなられたのが、私が注目する時である「2018年9月」だったために、この点が、私自身の社会人人生と重なって見えたのである。つまり、「過去42年間」が、走馬灯のように、私の脳裏に浮かんでくるとともに、「樹木希林が意味することは、金融の木や林ではないか?」とも感じたのである。
より詳しく申し上げると、この期間は、「マネーの大膨張」に関して、「人類が未曽有の体験をした時」だったが、実際には、「世界全体で、金融の樹木が成長し、金融の林までもが形成された期間」だったものと思われるのである。しかも、「2008年前後のGFC(金融大危機)」の時には、「枝葉の意味を持つデリバティブが、約8京円という規模にまで大膨張した」という状況であり、実際には、この時が、「世界のマネー」の最盛期だったものと考えている。
しかし、その後の「量的緩和の10年間」を経て、現在では、「枝葉が落ち、樹皮が剥がれ、立ち枯れとなった金融の林」となった状況のようにも感じられるが、今後は「国債価格の暴落とともに、世界各国の中央銀行が、大々的に紙幣の増刷を始める段階」が到来するものと想定されるのである。つまり、「目に見えないコンピューターマネー」が、「目に見える紙幣」となり、いよいよ、「通貨の本質」が見え始める状況を想定しているが、この点については、次の「樹木希林さんのコメント」が参考になるものと考えている。
具体的には、「片目を失って気付かされたことがある」というコメントであるが、実際のところ、「目に見える肉体や財産」などよりも、「目に見えない精神的な成長」の方が、彼女の人生にとって、より大切なものだったようにも感じられるとともに、私自身としては、この点に、今後の「世界的な進化」のヒントが隠されているようにも感じている。(2018.9.24)
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これから何が起こるのか?
現在、「リーマンショックから10年」という内容の記事が、数多く出ているが、この理由としては、「過去10年間に、いったい、何が起きたのか?」、そして、「これから、どのような変化が発生するのか?」について、多くの人が悩み始めた可能性が指摘できるようだ。別の言葉では、今まで、ほとんどの人が、「どうすればお金が儲かるのか?」というように、「東海道を、金閣寺に向かって歩くような状況」だったものと思われるが、現在では、徐々に、「お金とは、いったい、何なのか?」を考える、「奥の細道を、中尊寺の金色堂に向かって歩く人々」が増え始めたようにも感じられるのである。
また、私自身は、過去30年間ほど、「奥の細道を、中尊寺の金堂に向かって、一人でとぼとぼ歩くような状況」を経験してきたが、前述のとおりに、最近では、この点に、いろいろな変化が起こってきたようにも感じられるのである。具体的には、「2016年10月」に、「イエレン前FRB議長」が、私と同様の意見を述べるとともに、お金の謎を考え始めた可能性であり、また、最近では、「ビットコインバブルの崩壊」などにより、多くの人々が、「現代の通貨」に対して、疑問を抱き始めてきた可能性のことである。
より詳しく申し上げると、ほとんどの人は、いまだに、「東海道において、金閣寺を目指して歩いている状況」でありながら、一方で、「お金の謎」を考え始めた人々は、「日本橋に向かって戻り始めた段階」とも想定されるのである。また、「東海道」を歩いている人々は、現代の通貨である「コンピューターマネー」に関して、いまだに強い信頼感を抱いている状態とも言えるようだが、今後の注目点は、「国債価格の暴落」が始まった時に、「どのような変化が発生するのか?」だと考えている。
つまり、「現代の通貨」は、「影も形も存在しない、単なる数字にすぎない」と気付いた時に、多くの人々が、本当の意味での「インフレ」を理解し、「奥の細道」を、「中尊寺の金堂」に向かって歩き始めるような状況に変化する可能性である。具体的には、「貴金属」や「株式」などの「実物資産」を買う行動に出始めるものと想定されるが、実は、この動きこそが、「ギャロッピング・インフレ」を意味しているのである。
そして、この動きが加速し、「金利が20%以上にまで上昇した段階」にまで到達した時に、「ハイパーインフレ」に移行するわけだが、現時点で必要なことは、「忍び寄るインフレ」の期間が長すぎたために、その反動が一挙に出る可能性、すなわち、「インフレの大津波が、あっという間に世界を襲う可能性」を考慮することだと考えている。(2018.9.25)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8101:181022〕
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