SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】291 西サハラとモロッコの歴史的再会
- 2018年 11月 22日
- 評論・紹介・意見
- サハラモロッコ平田伊都子西サハラ
西サハラとモロッコの再会が、あと2週間に迫りました。 場所はスイスのジュネーブ、時は12月5日と6日の1泊2日、スポンサーは国連。 粉雪が舞うレマン湖の畔で、6年越しの再会なんですよ、、 <再会>というロマンチックな言葉は、歌に映画にたくさん登場しています。
「瀬を早み岩にせかるる滝川の、割れても末に会わむとぞ思う」という崇徳院の和歌は、
落語にもなっております。
どうか、この歴史的な再会が、次の逢瀬へと繋がっていきますように、、
(1) 再会したくないモロッコ:
モロッコは西サハラ代表に会いたくない。モロッコは、<西サハラ?そんなもん知らない>と、西サハラの存在を否定し、国連がお膳立てしたラウンドテーブルは、モロッコとアルジェリアのためだと、主張している。アルジェリアはモーリタニアとともに、付き人として招待されているだけで、主賓は西サハラとモロッコだ。モロッコは西サハラを交渉の席から外し、アルジェリアを抱き込んで西サハラ未開の天然資源を山分けしようとしている。西サハラ未開の天然資源とは西サハラ大地に眠る石油、天然ガス、ウランなどや、西サハラ領海で遊々と泳ぐクロマグロ、タコなどをさす。これらの西サハラ天然資源は、国連が植民地と規定している以上、どの国も手を出すことは出来ない。西サハラの地下資源や漁業資源が欲しかったら、まず、脱植民地化をして領有権を取得しなければならない。
モロッコが主張する西サハラ領有権は、国際法上、認められていない。それでもモロッコは、国連主催の宴では西サハラ代表と直接対峙するのを避け、裏取引と裏工作で国連を含む国際社会を丸め込もうとしている。国際社会も♠米大統領の御陰で、正義は滅び損得優先になってきた。モロッコ国王陛下ファーストの前に、国連ファーストは存在しないのか?
(2) モロッコ国王陛下ファースト:
<モロッコ国王陛下ファースト>王令は、11月6日のモロッコ国王陛下演説でスタートを切った。
演説は、12月5日と6日に予定されている国連西サハラVSモロッコ・ラウンドテーブルに向けての<外交王令>だった。曰く、ラウンドテーブルの主賓はモロッコとアルジェリアであること。曰く、各国に働きかけて<西サハラはモロッコ領土>という文言を取ること、曰く、ラウンドテーブルの前にフランス大統領エマヌエル・マクロンとスペイン首相ペドロ・サンチェスの謁見をさせること。などなどであった。
アルジェリアとモロッコは国境を閉鎖したままで、西サハラを巡っては、植民地と規定するアルジェリアとモロッコの領土であるとするモロッコは、1975年以来、対立している。
フランスは元のモロッコ宗主国で、利害が一致するところからモロッコの強力な後ろ盾で、外交経済政策を指導している。アルジェリアも元フランスの植民地で、フランスはモロッコを焚き付けて、これも元フランス植民地だったチュニジアを加え、北アフリカ新フランス圏を造ろうと企んでいる。
11月16日、フランス大統領マクロンはモロッコ北部のタンジェに降り立った。2007年から元フランス大統領サルコジと計画していたモロッコ新幹線開通式に招待されたからだ。
350㎞のタンジェとカサブランカを結ぶモロッコ初の新幹線は、2,580憶円かかり、金のないモロッコはその大半をフランス政府の仲介による借金で賄っている。2007年からサルコジの策略の下、モロッコは西サハラ領有権を国連に主張し始めた。モロッコによる対フランス借金の担保が、西サハラ天然資源と西サハラ領土であることは、明白だ。
モロッコはアメリカからも大量の兵器やタンクやヘリコプターや軍需用品を借金で購入している。その場合も、担保は西サハラだ。「西サハラをモロッコ領土と国連が認めれば、借金は返せる。だからモロッコを支持せよ」というのが、モロッコ国王の金銭理屈だ。
(3) スペイン首都マドリッドで数千万の西サハラ支援デモ:
11月16日と17日にスペインの首都マドリッドで、EUCOCO(The European Coordinating Conference of Support to the Sahrawi People・西サハラの人々を支援する
ヨーロッパ連帯会議)が開かれた。政治家、有識者、学生、NGO関係者などの西サハラ支援者約400人が5大陸から集まった。CNASP(the Algerian National Committee for Solidarity with the Sahrawi People・西サハラ人への連帯のためのアルジェリア国家委員会) のサイド・アヤチ会長は、「西サハラは国連が規定する<脱植民地化>の対象地域である。ラウンドテーブルではモロッコと西サハラの両当事者がしっかり議論すべきだ。アルジェリアはオブザーバーとして、支援を惜しまない」と、アルジェリアの立場を明確に語った。
11月17日午後、マドリッドの大通りを、数千人の人々が西サハラの脱植民地化と独立を支持するデモ行進を行った。スペイン在住の西サハラ人や支援団体に加え、想像を超える多数のスペイン市民が参加した。アトーチャ広場を出発したデモ隊は、西サハラ人民の変わらぬ反植民地闘争を支持し、43年間も続いている非情なモロッコの植民地政策を非難した。そして、43年前にスペインがモロッコやモーリタニアと交わしたマドリッド三国密約に対するスペインの責任を追及した。
元々、デモ隊の側にいた社会労働党のペドロ・スペイン首相は、スペイン国王が犯したマドリッド密約のお陰で、攻撃の対象になってしまいました。 しかし、無神論者で反王政の精神は失っていないようです。 6月2日の首相就任以来、延び延びにさせてきたモロッコ国王陛下の招聘に、やっと応じはしましたが、モロッコとアルジェリアとスペインの<新三国密約>の誘いには乗らなかったようです。
さあ、、ジュネーブの再会、、楽しみですね、、
2018年11月17日、スペイン首都マドリッドの大通りを埋めた、西サハラ支援デモ
Youtubeにアップした「人民投票」(Referendum)のご案内です。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2018年11月22日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8172:181122〕
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