SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】292 月の砂漠の王子様 はたまた、千夜一夜物語の残虐王?
- 2018年 11月 29日
- 評論・紹介・意見
- サウジアラビアサハラムハンマド皇太子平田伊都子西サハラ
世界のスーパースターは、ムハンマド・ビン・サルマーン・アルサウード(33才)殿下です。 サウジアラビア皇太子で王位継承者、第一副首相、国防大臣、経済開発評議会議長、王宮府長官、などなど事実上の最高権力者、容姿も肩書も申し分ないお方です。
失礼のないように気を使いながら、しかし、事実に添ってお話し申し上げます。
ムハンマド・ビン・サルマン・サウジアラビア皇太子 (川名生十作)
① サウジアラビア改革急先鋒のムハンマド皇太子:
サウジアラビア女性に、車の運転やサッカーの観戦を認めたり、話の分かる美男の皇太子として,サウジアラビアでは超がつく<スーパースター>だ。が、そのフェミニストは、 女性活動家の首を切らせたりしている。自身がイスラム教スンニ派で、イスラム教シーア派に対する敵対行為は異常に激しい。湾岸の王族を巻き込んで、同じ湾岸首長国のカタールを村八分にしたのも、カタールがイスラム教シーア派諸国や組織と関係があるという理由だった。シーア派一味とみなす、イラン、レバノンのヒズボラ、パレスチナのハマス、、などは、皇太子にとって敵だ。なかでもイスラム教シーア派の牙城・イランは、イスラム教スンニ派の牙城サウジアラビアにとって、悪魔だと毛嫌いしている。皇太子が国防大臣になった2015年、最初にやったことは、隣国イエメンを支配していたシーア派フーシ―を空爆することだった。皇太子のイエメン侵略は今も続いている。2018年8月9日には、意図してスクールバスを空爆し、29人以上の子供たちを殺した。皇太子の兵糧攻めのお陰で、イエメンの子供たちは餓死にさらされている。国連を含む国際社会は、手をこまねいて皇太子の虐殺を見ているだけだ。
そして、2018年10月2日、米ワシントン・ポスト・コラムニストのジャマル・カショギ(59)がトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア領事館で惨殺された。
「ミドル・イースト・アイ」は、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子のボディガードが実行犯であると報じた。10月23日から3日間リヤドで開催された投資会議で皇太子は、「この犯罪に関わった人物を追及する、、最後には正義が勝つだろう」と語ったそうだ?
サウジアラビア当局は、殺人に関わった容疑者10数人の内、5人を死刑すると発表した。.2018年11月16日、米紙ワシントン・ポストなどが、「米中央情報局(CIA)はカショギ氏殺害事件の黒幕はムハンマド・ビン・サルマン皇太子だと結論付けた」と、報じた。
もしかして、皇太子自身が<正義の名の下に>自身を処刑することになるのかな??
「やったかもしれないし、やらなかったのかもしれない」と、♠米大統領は皇太子を庇った。
彼が庇ったのは、高額なアメリカ兵器をサウジアラビアが買い付けたという商売のためというより、皇太子と繋がりのある娘婿クシュナーのためだ。 「クシュナーを手中にした」と、皇太子は湾岸諸国の王族仲間に豪語している。
(2)王子様のご巡幸:
2018年11月22日、殺人容疑を被ったまま、ムハンマド・ビン・サルマン、サウジアラビア皇太子殿下は外遊に出発した。最初の訪問先であるUAEアラブ首長国連邦首都・アブダビでサウジアラビア当局は、「皇太子殿下はこれから、アルジェリア、バハレーン、エジプト、モーリタニア、チュニジアと巡幸される。終着地は、11月30日と12月1日に開催される主要20カ国首脳会議G20アルゼンチンのブエノスアイレスだ」と、発表した。が詳細な日程は明らかにされなかった。
11月27日、北アフリカのチュニジアで皇太子を迎えたのは、<皇太子の北アフリカ訪問反対>を叫ぶデモだった。人権活動家やジャーナリストたちは、「記者の殺害事件に関して、皇太子は表現の自由と人権を侵害している」と、強く抗議した。
さて、主要20か国の首脳は、記者殺害主犯容疑者のムハンマド・ビン・サルマン、サウジアラビア皇太子殿下を、どんな風にお迎えするのだろうか?一緒に食事をしたり、記念写真におさまったりするのだろうか?個別の首脳会談に臨んだりするのだろうか?、、
お家の事情を優先するアメリカファーストの♠米大統領は、皇太子と握手なんか、、するんでしょうね?
(3)王子様、どうしてお立ち寄りくださらないのですか?:
本音を言えば、来て欲しくない皇太子に、「どうしてお立ち寄りくださらないのですか?」と、来ないのを恨めしく思っているのがモロッコ。湾岸友好国と北アフリカ歴訪から、モロッコだけが外されているのだ。しかも、モロッコのライバルであるアルジェリア民主人民共和国も訪問する、、モロッコとしては、「どうして我が国だけが?、、」と、納得がいかないようだ。
「モロッコとサウジアラビアの両王国は、伝統と宗教で固く結ばれた王権国家だ。何が気に入らなくて、無視するのだ?」と、MWN (モロッコ世界ニュース)はサウジアラビア皇太子の冷たい態度をなじる。そして、「皇太子が指導したカタール・ボイコットに参加しなかったからかな?何がお気に召さないんだろう??」と、戦々恐々としていた。そして、11月28日、MWN(モロッコ世界ニュース)は、「皇太子のモロッコ訪問を断ったのは、モハンマドⅥ世モロッコ国王の方だ」と発表した。??真相は皇太子と国王にしか分からない。
いずれにしろ、アルジェリアとサウジアラビアの接点は石油だ。サウジアラビア皇太子の優先事項はサウジアラビア経済で、サウジファースト、、誰もがサウジアラビアに跪かなければならない。皇太子の言うことを聞かない奴は、首だ。♠米大統領とは違って、皇太子の場合は本当に刀で首を斬る。しかも、公開で、、
残虐ぶりは、<千夜一夜物語>の残虐王シャフリヤールを彷彿とさせる。
王は、妻の不貞を知り、妻と相手の奴隷たちの首をはねて殺した。 女性不信となった王は、街の生娘を宮殿に呼び一夜を過ごしては、翌朝にその首をはねていった。その王の元に美人で利巧なシェヘラザードが嫁ぎ、毎夜、王に興味深い物語を語った。話が佳境に入ると「続きは、また明日」と打ち切る。「また明日、、」、「また明日、、」と、長引かせ、とうとうシェヘラザードは王の蛮行を止めさせた。
♠米大統領にはメラニアというシェヘラザードがついている。ムハンマド・サウジアラビア皇太子にはシェヘラザードがいないのかな?
いよいよ、関係者が世紀の歴史的会談と称する、6年ぶりの国連西サハラ会議<ジュネーブ・ラウンドテーブル>が、一週間後に迫ってきました。
11月26日、西サハラ側はハトリ・アブドゥ国会議長を団長日本語、アムハミド・ハッダードMINUSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)西サハラ代表、シデイ・モハンマド・オマル国連西サハラ代表などの<ジュネーブ・ラウンドテーブル>代表団を発表しました。 11月27日、MWN(モロッコ世界ニュース)はナセル・ブリタ・モロッコ外務大臣を団長としたモロッコ代表団の派遣を発表しました。 さらにMWN(モロッコ世界ニュース)は、「アルジェリアやモーリタニアも、夫々の外務大臣を団長とする代表団を、会議に送る」と、言及しました。 この期に及んでもモロッコは西サハラの存在を認めず、「会議はモロッコとアルジェリアのために設定されていて、セパラテイスト(分離主義者、西サハラ人民のモロッコ式呼称)は、あくまでもオブザーバーだ」と、主張しています。
<ジュネーブ・ラウンドテーブル>の結果を待ちましょう、、
Youtubeにアップした「人民投票」(Referendum)のご案内です。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2018年11月29日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8187:181129〕
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