悪しき概念法学の賜物が跳梁跋扈する
- 2018年 11月 30日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
「陸海空軍その他の戦力」を有することを禁じられた日本国憲法第九条の下で、実質的国軍創設を図るために「警察予備隊」から様子見を始めたこの国の政府は、愈々、正体を露わにし始めたようです。
何と、世界では、「海兵隊」と呼ばれる部隊までを創設したのです。 世界では、軍隊と呼ぶ組織を「自衛隊」と呼び変えて、その正体まで謀る国ならではの仕業です。 「水陸機動団」と言うそうですが、実質は「海兵隊」そのものです。
動き出す日本版「海兵隊」 10月、米と南シナ海で演習 2018/9/3 2:00日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34889140S8A900C1PE8000/?n_cid=SPTMG053
もともと、概念法外の賜物である「自衛隊」は、「戦争」の概念を区分けした後に区分けに準じて「軍隊」の概念をも区分けした結果の賜物なのです。 国家公務員上級職キャリア組官僚が東京大学法学部で極めた概念法学で以て「自衛戦争」を担う組織をデッチ挙げたのが「自衛隊」ですので、それに沿って「水陸起動団」等と言う組織もデッチ挙げたのです。
同様に、潜水艦であっても「自衛」のためなら南シナ海であろうと、何処であろうと訓練可能と言うのです。 ここからは「自衛」のためなら、空母も保有可能、と言う論理が出ることは容易に推測が出来る訳ですし、実際に保有するようです。
海自潜水艦が南シナ海で訓練 初の公表、中国けん制 2018/9/17 23:34 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35447400X10C18A9PE8000/
そして、同様に南シナ海に於いて、対潜水艦戦の訓練で空母と直協訓練を行う、と言う宣言を間も無く聞くことになることも間違いが無いことと思われます。
どうやら大軍拡の時代を迎えたように思える日本の今です。 忽ち、F35戦闘機を100機も調達する、と安倍政権は宣言しました。
F35戦闘機 最大100機追加取得へ 1兆円、政府検討 2018/11/27 11:22日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38215250X21C18A1MM0000/
空母も保有宣言です。
「いずも」にF35B搭載 政府、防衛大綱明記へ調整 2018/11/26 21:30日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38205390W8A121C1PP8000/?n_cid=SPTMG053
ここからは、自衛のためならば核兵器も保有出来る、との憲法解釈までは数歩の距離にも思えます。
何時しか、あの大本営発表を今一度聞くことになるのかも知れません。 即ち、「帝国陸海軍は、本8日未明、西太平洋において米、英軍と戦闘状態に入れり。」と。 宣戦布告無しで攻撃しておいて「戦闘状態に入れり」とは、これもまた悪しき概念法学を思い出します。
戦争って、勝手に入れたり出たり、出来るのか、と
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8188:181130〕
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