安倍政権、史上空前の防衛費増強予算 - トランプへのゴマすりで、F35戦闘機購入計画など急ぐ -
- 2018年 12月 29日
- 評論・紹介・意見
- 国防坂井定雄軍備防衛
安倍政権が21日に発表した来年度予算は、史上最大の101兆円余。防衛予算も今年度より1.3%増の過去最大。しかもこの支出増は、今後も増え続けることを避けられない仕組みだ。中でも米トランプ政権が大喜びしているF35戦闘機のように、来年度は6機購入だけだが、その後数年度にわたって計147機を購入する全体計画の初年度で、全体で1兆2千億円の計画のスタートに過ぎない。
国民の税負担は、消費税2%アップなどで増え、税収は過去最大。国債発行(新たな借金)は32兆円台と9年連続低下したというが、国の予算の32.2%の超借金財政。国債残高(国の借金)897兆円。国民一人当たり700万円余の借金をしているのだ。国の借金は増え続け、いつか破綻が来る可能性がある。
なぜこのような財政のなかで、防衛予算を増やし、新兵器で強化し続ける必要があるのか。安倍政権は中国や北朝鮮の軍事的な脅威を抽象的に強調して軍備増強の言い訳にするが、朝鮮半島の情勢も中国との関係もさらに改善し、ありもしない軍事的脅威を理由にした負担を軽減すべきなのだ。
安倍政権が予算総額と防衛費を過去最大に膨らませたことについて、各紙とNHK の報道をチェックしました。朝日新聞の社説に最も同感したので、以下に再録しました。朝日新聞になんでも同感するわけではありません。本欄では、韓国・北朝鮮報道について何回か批判しました。
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朝日新聞(2018年12月23日)社説
防衛費の拡大 米兵器購入の重いツケ
安倍政権による2019年度の当初予算案で、防衛費が5兆2574億円に膨らんだ。今年度当初より1・3%増え、5年連続で過去最大だ。
来年度は「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の初年度にあたる。中国や北朝鮮の脅威に軍事的に対抗する姿勢が鮮明になり、米国製兵器の購入に拍車がかかっている。
特に目立つのが、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備費1757億円と、F35戦闘機6機の購入費681億円だ。F35は147機体制をめざしており、将来的な追加取得費は約1兆2千億円にのぼる。一部は、空母化される「いずも」型護衛艦での運用が想定される。
陸上イージスにしろ、空母にしろ、巨額の費用に見合う効果があるのか、大きな疑問符がつく。それでも安倍政権が導入に突き進むのは、トランプ米大統領が掲げる「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」に呼応してのことだろう。
日米の通商交渉をにらみ、米国の貿易赤字削減に協力する姿勢をアピールする狙いもありそうだ。しかし、軍拡競争や地域の不安定化につながりかねない兵器の大量購入で、トランプ氏の歓心を買うような振る舞いは、およそ見識を欠く。
見過ごせないのは、米政府から直接兵器を買う有償軍事援助(FMS)が、安倍政権で急増していることだ。来年度は過去最大の7013億円。今年度に比べ、一気に3千億円近く増えた。政権発足前の12年度の1380億円の約5倍となる。
こうした高額な兵器の代金は、複数年にわたって分割払いされる。後年度負担は将来の予算を圧迫し、なし崩し的な防衛費増につながる恐れがある。来年度の契約に基づき、20年度以降に支払われる後年度負担は2兆5781億円。実に年間の防衛予算の半分に迫る規模だ。
中期防は、次の5年間の防衛費を27兆4700億円程度とした。効率化、合理化を徹底することで2兆円を節減し、実際に投じる額は25兆5千億円程度を「目途とする」としている。
ただ、あくまで「目途」とされており、枠をはめたものではない。ほんとうに実現できるのか疑わしい。
厳しい財政事情の下、費用対効果を見極め、優先順位をつける必要性は、防衛費といえども変わらない。歯止めなき予算増は、とても持続可能な防衛政策とは思えない。米兵器の大量購入は将来に重いツケを残すことを忘れてはならない。
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