2018年に死亡したジャーナリスト53人 - CPJ(ジャーナリスト保護委)が発表 2017年比大幅増加 -
- 2019年 1月 4日
- 時代をみる
- ジャーナリスト隅井孝雄
アメリカ、ニューヨークに本部を置くCPJ(ジャーナリスト保護委員会)は、12月19日録、2018年中に取材がらみで、命を落としたジャーナリストは確認できただけでも、53人にのぼると発表した。
意図的殺害34人、投獄された記者251人
サウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル•カショギ氏と同様な意図的殺害は34人、戦闘に巻き込まれての死亡は11人、抗議行動が騒乱状態となった取材現場での死去が8人だった。2017年の全体の死亡者は46人だった。
特に、今年の特徴はあきらかな殺害行為で命を落としたジャーナリストが昨年の18人にほぼ倍増したことだと言える。
またCPJによると、取材活動に関連して投獄された記者の数は251人、うちトルコ、中国、エジプトが全体の半分以上を占める。
しかし先日安全が確認され、帰国した安田純平さんのような、行方不明者、政府以外に拘束されているジャーナリストは実態がつかめないため、数字は含まれていない。
一方パリに本部のある「国境なき記者団」の発表(12月18日)によると、死亡したジャーナリストは、前年比8%増の80人、うち故意に殺害されたのが49人。この中にサウジ政府の直接関与で殺害されたカショギ記者も含まれる。
CPJは23人の死亡については、確認が取れていないため報告書の統計数字に入っていないが、それを含めると死者は76人に達し。「国境なき記者団」とほぼ同数の死者がいることになる。
▼主要国の首脳、ジャーナリストの活動を敵対視
2018年の特徴は、国のトップが、ジャーナリストの権利擁護を図るどころか、ジャーナリスト活動を抑圧する側にまわっていることである。国家が記者殺害にまで手を染めたサウジアラビアを始め、大量のジャーナリストを次々に拘束し、批判的メディアを次々に閉鎖する行動が中国、トルコ、エジプトなどで顕著だ。カショギ記者殺害でサウジと一見対立しているように見える、トルコのエルドアン大統領は国内の新聞を次々閉鎖、大量のジャーナリストを拘束している。
主要メディアをフェイクニュースと呼んで、取材活動を妨害する一方、Foxニュースやシンクレアラジオなど体制支持のメディアを育成する米国トランプ大統領は、カショギ殺害事件について、「ムハンマド皇太子はやったかもしれないし、やらなかったかもしれない」(11/20)と述べて、非道な行いを免罪した。サウジは米軍需品の大きな取引先である上、イラン封鎖の共同作戦に欠かせない国として敵対しない態度を優先した。
また、機密保護法でジャーナリストの活動を大幅に制限、メディアに圧力をかけて規制する日本安倍首相も、典型的な規制主義リーダといえる。
▼アフガニスタンではジャーナリスト狙った二重テロ
アフガニスタンは依然としてジャーナリストにとって最も危険な国となっている。2018年には戦闘やテロに巻き込まれて死亡したジャーナリストは18人にのぼっている。これはCJPが記録を取り始めて以来最大となる。
4月30日にはISの自爆テロで一挙に9人のジャーナリストが殺害された。手口は、最初に自爆テロ、ジャーナリストたちが集まったところを、狙いを定めて第二の爆発を起こすという手口だった。
戦乱が続くシリア(9人)やイエメン(3人)で死亡が続いている。シリアのジャーナリスト死亡は昨年に比べ、減少していることが報告された。またガザでは住民蜂起を取材中のパレスティナのジャーナリストがイスラエルの兵士に狙撃され死亡した。
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