政府は千手観音
- 2019年 2月 22日
- 交流の広場
- リスベット
変えるも変えないも頑固一徹 (一)
出所:りんご日報 作者:李怡 発表時間: 02/16/2019 (翻訳 リスベット)
昨日話した三点は、中国の政経構造が米国の貿易利益に与える直接的な損害である。 もっと根本的なことは別の三点である。第四点は国営企業の独占である。自由社会では、ほとんどの経済活動は自然人または民間企業によって主導され、国は税率を設定して税金を徴収するだけである。しかし中国では、重要な資源はすべて国営企業によって独占されている。
たとえば、金融、石油、通信、電力、運輸、鉱業、学校、医療。 国営企業は基幹産業を独占しているため、国民の生活費と外資と民営企業の経営コストは増える。 例えば、中国の原油価格、2008年の国際原油は1バレル当たり147米ドル、中国国内の原油価格は6.3元/L(人民元、以下同)。 10年後の2018年、1バレル当たり75.56米ドルの国際原油価格は、国内では7.4元/Lまで上昇 。 もし石油の独占がなければ、中国の自動車貨物輸送は北京から広州まで現行の価格より約5000元を節約することができる。中国での企業経営の最大の受益者は、自由社会のように企業家や労働者ではなく、国と利益集団である。 したがって、中国は国富民窮であり、米国は国窮民富である。民の貧窮は、底辺の人々の収入が低いと言うことを意味し、当然高品質で高価格の米国製品は買うことができない。
第五点は市場経済を歪めていること。 いわゆる市場経済は、経済分野のことは市場によって主導され、政府は市場の正常な運営に介入しない。 法治社会は、公平な環境を維持するために、法と司法によって市場を規制する。それとは対照的に中国を見ると、政府は「千手観音」で、マクロ経済であれ、ミクロ経済分野の毛細血管の中にも政府の影がある。 「中央経済工作会議」、「五年計画」、「中国製造 2025」、「地方政府経済工作要綱」、発展改革委員会、国有資産監督管理委員会、工商局等々のモンスター、外資系企業と民間企業はこれらのモンスターの顔色を見ながら生き残りを図らなければならない。
第六点は、外資の管理権である。 大規模な外資企業が投資にやってくれば、米国では大統領さえも歓迎の意を表するが、中国の法律では外資の持ち株は50%を超えてはならないと定めている。外資がどれほどの大きな実力と技術の優位性を持っていたとしても、最後の決定権は中国企業にある。
政府は千手観音(二)
変えるも変えないも頑固一徹(二)
出所:りんご日報 作者:李怡 発表時間: 02/16/2019 (翻訳 リスベット)
外国企業は本国では自分の意志で決められるが、中国に来ると政府の管理に従わざるを得ない。西側の国では、権力は企業の為に仕事をするが、中国では、権力は企業を統制取り締まるために用いられる。 中国政府は経済の管理権を掌握しているが、それは市場競争と優勝劣敗の法則を破壊している。
中米貿易交渉では、米国は、中国に対して非関税貿易障壁の撤廃、輸出補助金の取消し、外資の株権コントロールの許可、国有企業独占の排除、知的財産権の保護、外資に対する技術移転の強制の禁止等々、といった構造改革を要求。 ハッキリ言うと、それは中国に国家資本主義を放棄して、真の自由市場を実行するよう中国に要求している。 米国の圧力の下、昨年6月中国発展改革委員会は、《外国企業の投資参入》22条を公布。その内容は主に多くの産業における中国側の株規制を取り消すことである。 それは紙の上に書かれたものであるが、法治のない中国社会で真に実行するのは容易ではない、既に「国家の主権は侵犯されてはならない」という名目で800人以上が署名した反対の意見書が中央に提出されている。 言うまでもなく、その多くの人々は国家主義政策の保護の下の受益者たちである。
これは構造改革の一つに過ぎない。もしすべての構造改革が中国で実施されると、中国企業と米国企業の間では真の競争局面が形成される。中国企業は国の後ろ盾から離れて、米国企業と競争すれば、必然的に敗北する。一方中国政府はあの膨大な間接税が無くなったら、膨大な行政費用、三公(公務の各種経費)消費、治安維持費、軍事費、アフリカなどの国への援助、そして雇用刺激のためのインフラ投資はどのようにして維持するのだろうか?
従って、構造改革は、体制改革であり、中共の権勢統治集団の核心的利益に触れるものである。 習近平が昨年末に言ったように、「変えてはならないもの、変えることができないものは断固変えない」に属する。
米国主導によるボイコットに出遭っても、頑固一徹。 従って、中国は偽って低く膝まずくことを選択するかもしれない。 しかし、米国は受け入れるだろうか? いずれにせよ、構造的なこの解決しにくい問題が関連して、中米の貿易交渉はよしんば合意を得たとしても、米国の中国に対する抑止政策は、止まることはない。
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。