呼びかけ: 札幌の市民運動のみなさま、いっしょに 天皇制廃止を考える集会をしませんか?
- 2019年 5月 4日
- 評論・紹介・意見
- 天皇問題を考える市民の会松元保昭田中利幸
■イ、主催・共催団体になる
ロ、一部経費も負担する協賛団体になる
ハ、集会の賛同団体になる
ニ、個人賛同者になる
■また趣旨文(仮)・講演タイトルに、加筆・修正・訂正・要望などありましたら遠慮なく提案してください。
※5月15日までにご返事ください。(松元:090-9516-3750あるいはy_matsu29@ybb.ne.jp)
訂正版《集会趣旨(仮)》
野蛮無謀な侵略戦争によって自国と近隣諸国に幾百千万の死者を生み出し無惨な敗北に帰した日本は、辛酸とともに深く反省し再生を誓ったかにみえた。無謀な戦争を「二度と起こすことなく」決意し、主権在民、平和と民主主義を旗印に戦後日本を再建してきたはずであった。しかしそこには、出発点から民衆の自立と自由を阻む三重のかせ(枷)が嵌め込まれていた。
敗戦後ただちに臣民(国民)から排除した在日朝鮮人はじめ旧植民地出身者は「外国人」扱いされ、「法の下に平等」の人民(people)であったはずが「国民」規定という「足枷」となって今日にいたる。人民主権(people’s sovereignty)は人権の基底原理であるが、国民主権の名のもとに列島居住の先住民族アイヌや在日外国人への差別を公然化し「公共の福祉」によって自国民の権利さえも制限する根拠となってきた。国民主義はすでに国家主義と同義になってしまい排外主義の旗印にさえなっている。
さらに、米軍占領下における米国と天皇ヒロヒトの結託による「沖縄貸与」、その後の全土基地化の地位協定でがんじがらめにされ、無軍備・平和の憲法体制と根本的に対立する安保体制という「手枷」が戦後日本の自立・独立を阻んできた。法外な基地経費負担ばかりか何兆円もの兵器爆買いを米国に強いられながら、まるで国民がよろこんで「日米同盟」を「抱きしめて」いる属国のようだ。核の傘(じつは槍)で朝鮮半島・中国・ロシア敵視をやめず「主権回復の日」と言祝ぐ一方、沖縄の「屈辱の日」は辺野古、先島まで続いている。
そうして決定的な「首枷」は、神権天皇ヒロヒトの助命工作と米占領工作が合体して成った象徴天皇制へのすり替えである。「天皇についての自由討議」(GHQ)はいまだなく、「国民の総意」と「国民統合の象徴」が憲法に書き込まれてしまった。戦犯ヒロヒトが天皇に居座る戦後日本は、安保の手枷に加えて、「戦争の反省と平和への決意」は空文句となり、あらゆるところでの「謝罪なき」戦後がいまも続く。
この三つの「足枷・手枷・首枷」は、鉄ではなく曖昧したたかに出来ており、憲法の真のねらいであった人民主権、平和主義、民主主義、地方自治を巧妙に歪め締め付け蝕んできた。戦後日本の民衆は、この三重の頸木(くびき・桎梏・束縛)との闘いをつねに強いられてきた。この頸木は、民主主義を腐らせる曖昧・ごまかし・排外・差別、隠蔽・改竄・捏造・偽造の源泉ともいえる。これらを総動員して改憲し「象徴価値」を最大限政治利用できる天皇元首化をねらうアベ政権下の現況ではないか。
そもそも初発から「国権の最高機関」である国会が天皇の臨席をもって始まり、「三権の長」が天皇に「拝謁」する慣わしとなり、主権の及ばない違憲濃厚な「譲位」が許された今般の代替わりは、退位・即位の皇室儀式に三権の長が拝謁拝礼し、メディアの異常な過剰宣伝によって、あたかも「祭政一致(政教一致)・君民一体」が再現され天皇制国体が復活したかのようである。行政権による興行(ショービジネス)だけがのさばり民主主義はいたるところで枯渇し、違憲判決を回避し続ける司法権の独立は風前の灯火である。
人としての謝罪をせずに、責任を覆い隠す慰霊・弔問・慰問・慰労ですり替え感謝を強要する儀式・儀礼。「美しい日本の伝統」の虚構を絶えず垂れ流す一方、歴史と人権が巧妙に消去される報道と世間。こうして戦前の天皇国家主義を着々と復活させている。日本人の「和=輪」意識は、企業、職場、学校、仲間内から国家まで、「輪っかにまとまる」磁力をさらに強化し排外・国粋を強めている。しかも祝日を天皇関連であふれさせ、元号・天皇が「悠久」だと言って憚らない腹の底には戦前の日本民族優越主義が見え見えだ。
古代天皇制にせよ、本居の国学天皇制にせよ、明治の神権天皇制にせよ、戦後の象徴天皇制にせよ、どう考えても天皇制は人民主権の対極にあって夜郎自大な差別と誤魔化しの源泉であり温床である。これまでの歴史事実が証明しているように、天皇による国民統合は必ずや排外主義を生み出す。隣人(アイヌ)や隣国(朝鮮・中国)の蔑視、差別、否定にとどまらず、自国民の人民主権、人権の抑圧・否定と一体の象徴としてはたらいてきた。まさに、天皇の存在は人間の不在と表裏の関係にある。去りゆかぬ植民地主義・深まるレイシズムの元凶ではないか。天皇による時間(歴史)支配と心の支配はもうごめんだ。
環オホーツクから先島・沖縄のオキネシアに連なるヤポネシア(日本列島)、この「東アジア列島群」を占有支配する権限は、ひとりヤマトゥ(日本人)だけにあるのではない。先住民族アイヌ、琉球民族、朝鮮民族など多民族共和共存の原理は、出自(アイデンティティ)の異なる多様な「ただのひと」たちが連なる人民主権のほかにはない。さいわい、これを希求する各地の残り火・熾火は列島の歴史と現在にしっかりと途絶えることなく燃え続けている。
講師の田中利幸さんは、一貫して「広島、原爆、慰安婦、戦争責任」を軸に思索を深めてきた人だ。「ただのひと=人間」の視座から天皇に語りかけ民衆の平場に雲上人を引きずり降ろそうと実践している。特権の陰で人権を失っている天皇・皇族の解放=つまり天皇制の廃止は、万人平等=人民主権の必須の要件である。隠され誤魔化され続けている人権にも謝罪とともに陽の光が射そう。田中さんは「日本の民主化のために天皇制廃止を目指す運動は、その具体的な方法についてもっと真剣に考えるべきだ」と問題提起を準備している。(天皇問題を考える市民の会事務局)
雲(うん)上人(じょうびと)を人間化する運動を!
:天皇制廃止に向けての第一歩
講師:田中利幸さんプロフィール
広島市立大学広島平和研究所、ロンドン大学、ルボルン大学、ドイツ・ハンブルグ社会研究所などで教鞭をとり、歴史評論家として執筆、講演、平和運動にたずさわっている。本年1月1日、「退位する明仁天皇への公開書簡―日本に本当の民主主義を創るために―」yjtanaka.blogspot.com/2019/01/ を公表し注目を集めた。なお、当日はこれを「資料」として配布。田中利幸ブログ:yjtanaka.blogspot.com/
著書:Second Edition of Hidden Horrors: Japanese War Crimes In World War II (with Foreword by John Dower) New York, USA: Rowman & Littlefield, 2017, Hidden Horrors: Japanese War Crimes In World War II (with Foreword by John Dower) Boulder, USA: Westview Press, 1996, Japan’s Comfort Women: Sexual Slavery and Prostitution during World War II and the US Occupation (with Forward by Susan Brownmiller), London: Routledge, 2002,『空の戦争史』(講談社現代新書 2008年)『知られざる戦争犯罪:日本軍はオーストラリア人に何をしたか』(大月書店 1993年)、共著:『思想の廃墟から– 歴史への責任』(彩流社 2018年)、『原発とヒロシマ「原子力平和利用の真相」』(岩波ブックレット 2011年)、編著:『戦争犯罪の構造: 日本軍はなぜ民間人を殺したのか』(大月書店 2007年)、共編著:『再論東京裁判 – 何を裁き何を裁かなかったのか -』(大月書店2013年)、『日本の侵略』(大月書店 1992年)、訳書:ジョン・ダワー著『アメリカ暴力の世紀 –第二次大戦以降の戦争とテロ』(岩波書店2017年)、ハワード・ジン著『テロリズムと戦争』(大月書店 2002年)、Hiroshima: A Tragedy Never To Be Repeated (English translation of 『絵で読む広島の原爆』, Nasu Masaomi, illustrated by Nishimura Shigeo, published by Fukuinkan Shoten), jointly translated with Joanna King, Tokyo: Fukuinkan Shoten, 1998、最新刊:『検証「戦後民主主義」- わたしたちはなぜ戦争責任問題を解決できないのか』(三一書房、2019)、NHKなどTVドキュメンタリー映画のアドバイザーとしても多数の作品づくりに参加。
と き:2019年8月10日(土)午後1時30分~午後5時
ところ:札幌エルプラザ4階大研修室(札幌市北区北8条西3丁目、☎011-728-1229)
集会あいさつ:花崎皋平さん
資料代:500円(中高生以下無料)
主 催:(いまのところ)天皇問題を考える市民の会
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion8616:190504〕
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