日本山妙法寺、平和運動での精進を誓う - 仏舎利塔落慶50周年記念法要で -
- 2019年 5月 8日
- 評論・紹介・意見
- 岩垂 弘平和運動日本山妙法寺
「非暴力」を掲げた積極的な平和運動で知られる日本山妙法寺(事務局・東京都渋谷区)が4月27日、千葉県鴨川市の清澄山(標高350メートル)で、清澄山仏舎利塔落慶50周年記念法要をおこなった。雨もよいで寒風が吹きすさぶ中、同寺の僧侶、信徒をはじめ日蓮宗各宗派代表ら約200人が参列し、「藤井日達上人の遺志を継ぎ、世界平和実現のために平和運動を一層推進しよう」と誓い合った。
藤井日達上人(1885~1985年)は、日本山妙法寺の開創者。1918年に日蓮系の一宗派として最初の日本山妙法寺を中国・遼陽に開創、1924年には静岡県内に日本国内最初の妙法寺を建立、以後、内外各地に同様の寺を建立し続けた。
日達上人は膨大な法話を残しているが、その中で一貫して説き続けたのは、釈尊の教えの核心は「不殺生戒(ふせっしょうかい)」にあるという点だ。一言で要約すれば、「人を殺すな」ということだという。
最大の殺生は人が人を殺す戦争である。そこから、日達上人は絶えず「世界平和」「核兵器廃絶」「軍備全廃」を訴え続けた。しかも、「絶えず行動を起こせ」と説き、自ら亡くなる直前まで世界各地と日本で平和運動の先頭に立った。
弟子の僧侶たちも世界各地に散って平和運動を続ける。今でも「戦火が絶えないところ、紛争が続くところには、必ずといってよいほど日本山の僧侶の姿がある」と言われる。
平和運動の過程で、日達上人は仏舎利塔の建立を主導した。仏舎利塔とは、釈尊の遺骨を納めたとされる仏塔のことである。日達上人は法話の中で、仏舎利塔建立の狙いについて「世界人類普遍の要求たる世界平和と言っても、所詮は人々の心の中に、『殺すな、殺させるな、殺す法を採用するな』という、教主釈尊の授け給いし不殺生戒を守ることに尽きます。宝塔は、その不殺生戒を授くる戒壇であります」と述べている。
こうした狙いから、日本山妙法寺によって世界と日本の各地に仏舎利塔がつくられたが、日蓮出家の地とされる清澄山の清澄寺南側の旭が森に仏舎利塔が建立されたのは1969年4月27日だった。高さ30メートル。ドーム状の建造物の上に相輪をもつ白亜の塔だ。
法要では、題目、来賓あいさつ、読経、焼香があり、それを受けて吉田行典・日本山妙法寺首座が法話をおこなったが、吉田首座はその中で「世界には物質崇拝、どん欲、驕慢、暴力万能がはびこり、軍備拡張、核兵器開発が進む。日本でも、ミサイル迎撃ミサイルのイージス・アショアやステルス戦闘機F35の導入が進むなど、自衛隊が米国の世界戦略の一端を分担し、昔歩いた戦争への道を歩んでいる」と述べ、「平和に生きることが人間に生まれた者の使命。平和憲法を守ることが、人類絶滅を食い止める道になる」と呼びかけた。
地元コーラスグループによる「仏舎利塔讃歌」の奉納があり、最後に謝辞で登壇した信徒代表が「この地を、世界平和を願う人たちの集いの場としよう」と述べた。
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