自治会と寄付・募金について、やはりおかしくないですか(3)日赤と皇室の関係も改めて考えたい(続)
- 2019年 5月 26日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子
日本赤十字社には、年間にして、どのくらいの社資が集まっているのだろうか。平成29年度(2017年度)で日赤本社、千葉県支部、佐倉市地区の単位で調べてみると・・・。
いずれも決算が出ている平成29年度の数字である。佐倉市地区に関しての歳出歳入などの詳細な数字は、公開されていないことがわかった。
・佐倉市地区では臨時職員を一人置いて、社会福祉課地域福祉班職員がその事務を行っている。なぜ、地方公務員が日赤の業務を行わなければならないのかも大いなる疑問である。佐倉市で集めた社資や寄付金はすべて県支部に送り、県は、毎年、全体の11%ほどを市町村に還元していることがわかった。かつては2200万以上の社資や寄付金が集まっていたが、いまは、1700万円台を推移しているようだ。人口減や自治会組織率が低迷していることも大きく影響しているだろう。
・千葉県支部では、歳入の77~78%が社資となる。前述のように歳出の11%は地元還元、13%程度が日赤本社に収められている。いわゆる運営費は、管理業務、各事業共通管理運営費などを併せてみると1億5000万円前後、歳出総額の20%程度を占める。
・一方、日赤本社では、一般会計歳入の三分の二が社資である。これが、年々確実に減少しているので、広報に努めるとしているが、足元の、地元での社資の集め方に、「自由意思」を標榜しながら、「強制」が伴っている現実を直視し、改革しなければならないはずだ。一般会計歳出を見ると、人件費・事務費などの科目では出てこない。各事業の中に組み入れているのかはわからない。総務管理費45億と、資産管理費12億などを合わせると運営費ということになるのだろうか、20%前後になることがわかった。なお、病院、血液、福祉事業は独立の特別会計とし、退職給与資金特別会計では、平成29年度は288億の積立金、264億の交付金、基金残高は465億を超えていた。
災害への義援金は、運営・事務費などは差し引かないということであった。団体や個人からの義援金の受け皿になっているのが日赤だといえる。そもそも、戦場で、敵・味方なく負傷者の救護にあたった「博愛」精神を社是とする、1952年に厚生省の認可法人となった民間団体である。現代にあっては、政府を、国を、ひたすら「補完」するのではなく、本来の寄付文化を育て、根付かせてほしいと、願うばかりである。さらに、皇族たちの名誉職は必要なのだろうか。しかも「公務」というではないか。
日本赤十字社HPより作成
一般会計歳入決算のあらまし(平成29年度事業報告及び歳入歳出決算概要・一般会計)
・歳入総額 312億円(←平成28年度351億円)
社資収入 209億円(←平成28年度228億円)
日本赤十字社千葉県支部HPより作成
千葉県支部の事業・活動(平成29年度事業報告書)
・歳入総額 763,166,654円(←平成28年度783,331,516円)
社資総額 586,181,949円(←平成28年度613,994,940円)
佐倉市のHPより
平成29年度赤十字事業資金(社資)募集実績報告
・社資総額 17,531,766円 (←平成28年度17,864,541円)
一般 16,913,966円 (←平成28年度17,249,341円)
法人 617,800円 (←平成28年度 615,200円)
皆さまからお預かりした赤十字活動資金(社資)につきましては、全額を日本赤十字社千葉県支部へ送金を行いました。
<問い合わせ>
日本赤十字社千葉県支部 電話:043-241-7531
日本赤十字社千葉県支部佐倉市地区 電話:043-484-6135
(佐倉市福祉部社会福祉課地域福祉班内)
初出:「内野光子のブログ」2019.05.25より許可を得て転載
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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