本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(229)
- 2019年 7月 11日
- 評論・紹介・意見
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デリバティブへの感謝
私自身の人生は、「デリバティブ(金融派生商品)」とともにあったものと感じているが、実際に、「1980年代初頭」から「現在」まで、「40年近くも、この問題に悩まされ続けてきた」という状況だったからである。具体的には、「なぜ、デリバティブが大膨張したのか?」を、長年考え続けてきたわけだが、この結果として得られたものは、「お金の謎」や「時間のサイクル」、そして、「心の謎」という「私自身のライフワーク」に対する「答」でもあった。
別の言葉では、「デリバティブ」が存在しなかったら「私自身も、これほどまでに悩まされることがなかったのではないか?」ということだが、実際には、「大膨張したマネー経済」を考える過程で「お金の謎」が解け、また、「デリバティブの大膨張とその崩壊」の過程で「時間のサイクル」と「心の謎」が解明できたようにも感じている。そして、これから必要とされていることは、私自身の「心の仮説」を使いながら、「過去の歴史で、どのような権力が発生し、その結果として、どのような社会が形作られたのか?」を、詳しく検証することだと考えている。
つまり、「自然科学」と「社会科学」の発展に関する「時間的なズレ」を考えながら、「これから、どのような社会が形作られるのか?」を考えることだが、実際には、「金融大混乱」の後に、素晴らしい時代が到来する可能性を考えている。具体的には、「戦争」や「紛争」などが存在しない、「平和で豊かな社会」のことだが、この時に必要な条件としては、やはり、「哲学」や「経済学」などの「社会科学」が、今後、急激な発展を見せることとも言えるようである。
別の言葉では、世界中の人々が、「命の根」を深くすることだが、実際には、「未知の問題」、あるいは、「未解決の問題」などに対して、素直な「懐疑心」を抱くことであり、哲学者の「梅原猛氏」が主張するとおりに、「おかしいものはおかしい」と言う態度を貫くことである。つまり、私自身は、「デリバティブ」が存在したために、既存の「経済理論」に対して「不信感」を抱き、さまざまな研究を継続してきたわけだが、この過程で得られたものが、前述の「いろいろな気付き」だったのである。
そのために、現在では、「デリバティブ」に対して「感謝の念」を抱いているが、一方で、「デリバティブの存在」に気付かず「現在の状況が、今後も継続する」と理解している人々にとっては、大きな「頭痛の種」となる可能性も存在するようだ。(2019.6.18)
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マネー理論の盲点
経済学者の「マルクス」や「ケインズ」が興味を持っていたのは「貨幣論(マネー理論)」であり、私自身も、「貨幣の謎を解くことが、社会科学において重要な点である」と考えていた。しかし、最近、気づかされたことは、「マネー理論の盲点」とも言える「マネーの歴史的な役割」であり、実際には、「唯物論」と「唯心論」の「橋渡し」をする可能性だった。つまり、「西洋の時代」は「唯物論」が主な価値観となり、「自然科学」や「実体経済」が発展するわけだが、一方で、「東洋の時代」においては、「唯心論」が主な価値観となり、「社会科学」や「宗教」などの発展に繋がるものと想定されるのである。
そして、この時に重要な点は、「実体経済の成長」が、その後、「タイムラグ」をもって「マネー経済の成長」に繋がる事実であり、また、最後の段階で、「経済の金融化」という「マネーの大膨張」が発生する状況である。つまり、「実体経済」に関しては、「自然科学」が支配する領域のために、さまざまな「限界点」が存在するわけだが、一方で、「マネー経済」については、「人々の信用」という「心」や「社会科学」が支配する領域のために、往々にして、「実体経済を超えた状況」にまで大膨張が発生しやすくなるのである。
より具体的に申し上げると、「自然科学」においては、「約300年前に、ニュートンが、重力という画期的な発見をした」という状況であり、また、その後、「産業革命」や「資本主義」に繋がったことも見て取れるのである。そして、その後の展開としては、「二つの世界大戦を経て、人類史上、最大のマネーの大膨張が発生した状況」、より具体的には、私が提唱する「信用本位制」により「デリバティブが、約8京円の規模にまで膨らんだ」という状況でもあったのである。
つまり、「人類の欲望」が、未曽有の規模にまで「世界のマネー」を大膨張させ、空前の「バブル」を発生させたわけだが、当然のことながら、「どのようなバブルも、必ず弾ける運命にある」ということが「過去の歴史」が教えることである。そして、今回も、この教訓が、大きな意味を持つものと思われるが、同時に感じることは、「社会科学の基本」が、実は、「心」であり、「心の謎」を解くことが最も重要な点である可能性だった。
別の言葉では、今回の「マネーの大膨張」が、実は、「心の謎」を解明するために発生した可能性であり、実際には、「マネー理論」に、「自然科学」と「社会科学」の両方の性質が存在し、「西洋」と「東洋」の「時代の橋渡し」の役割を果たす可能性であるようにも感じている。(2019.6.19)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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